医師がすすめるお酒の飲み方「飲み始めは枝豆よりポテサラ」「ラムネで肝臓を応援」
お酒のおとも“おつまみ”は、食べるタイミングや調理内容によって酔い方や健康効果が全然違うと、知っていましたか。そこで、アルコールについて詳しい医師が、おすすめのおつまみや食べ方、注意すべきポイントなどを教えてくれました。
空腹での飲酒は酔いやすい
空腹での飲酒が酔いやすいのは、吸収の速い小腸にアルコールがあっという間に到達するからだ。酒を飲むとアルコールは食道から胃に到達し、十二指腸、小腸と順に流れていくが、胃に内容物がないと、小腸に到達するまでの時間が早まる。
「アルコールは胃ではゆっくりと吸収されますが、小腸では吸収のスピードが加速します。そのため、空腹で飲酒するとアルコールが短時間で小腸へ到達し、どんどん血液中に入り込み、血中アルコール濃度が高くなるため酔いが強くなってしまうのです」(久里浜医療センター院長・樋口進さん)
横浜市立大学附属病院准教授の米田正人さんも指摘する。
「空腹での飲酒は、わずか1時間足らずで泥酔する場合もある危険な飲み方。そこで、お酒を飲む前や序盤に、食物繊維や脂質など胃に滞留しやすい栄養素を入れておくと、アルコールの吸収が相対的に弱まり、急激な血中アルコール濃度の上昇を抑えられます」
序盤にお腹に入れておきたいのはポテトサラダ
居酒屋などで最初に注文するとよい品は何か?
「食物繊維と脂質を含むメニューの代表がポテトサラダです。じゃがいもなどのいも類は食物繊維が豊富で、マヨネーズの脂肪分がアルコール吸収を防いでくれます」(米田さん)
枝豆を注文するのは“宴もたけなわ”なときがよい
枝豆はお通しでよく出されるが、それとは別のタイミングで食するのがおすすめだ。
「実は中盤以降がおすすめです。枝豆に含まれるたんぱく質やビタミンB1がアルコールの分解を助けてくれるからです」(米田さん)
たこの刺身も酒飲みには効く
「たこには肝臓の働きを活発にしてくれるタウリンが豊富に含まれています。いかや貝類、甲殻類なども同様の効果があります」(米田さん)
タウリンは熱に弱いため、刺身など生で食べるのがいいという。
トマトやトマトジュースを積極的に摂る
サラダやパスタ、ジュースなどでトマトを摂取すると、血中アルコール濃度の急激な上昇を抑えてくれる。
「トマトはアルコール代謝に効果的という研究結果があります。実験で、約100mlの甲類焼酎を飲む際に、約160mlのトマトジュース3缶と一緒に飲んだ場合と、同量の水と飲んだ場合の血中アルコール濃度を比べました。すると、トマトジュースの場合は約3割低い数値でした。さらに、アルコールが消失するまでの時間も約50分早まるという結果になりました」(秋津医院院長・秋津壽男さん)
トマトのリコピンという成分は熱に強く、煮込み料理であっても効果が見込めるという。
チーズリゾットはシメに有効
酒が進むと、アルコールを分解するために肝臓がエネルギーを欲している。
「ラーメンやうどん、雑炊など糖質を含むメニューは悪酔い対策に適しています。ただし、1人前だとカロリーオーバーになるため、シェアするといいでしょう。
また、チーズは肝機能を高めるメチオニンが豊富です。チーズリゾットは肝機能をサポートしてくれるうえ、炭水化物が肝臓のエネルギーとなります」(米田さん)
フルーツで果糖を摂ろう
「お酒を分解するエネルギーが不足していると、肝臓でのアルコール代謝が進みません。そんなときは、てっとり早くエネルギーに変換される糖質を摂取するとよいでしょう。なかでも、果物やはちみつに含まれる果糖は、肝臓でのみ使われるエネルギーで、アルコールを効率よく分解してくれます」(米田さん)
果物を使ったカクテルやフルーツサワーなどに飲み物を切り替えたり、はちみつを使ったデザートを注文するとビタミン類や糖分も摂取できる。
しじみのみそ汁は当日に飲む
「二日酔いにはしじみのみそ汁がいい」とよく聞くが、翌朝に飲むよりも、酒を飲む前、もしくは飲みながら、がおすすめだ。
「しじみに含まれるオルニチンが肝臓の代謝や解毒作用をサポートしてくれます。体内に入ったアルコールは胃腸で吸収され、血液によって肝臓に運ばれます。そしてアセトアルデヒドになり、酢酸という順で分解されますが、アセトアルデヒドに変える段階で肝臓に大きな負担がかかるのです。ですから、しじみのみそ汁は翌朝を待たずして、飲酒の最中や就寝する前に摂るとよいでしょう」(米田さん)
ラムネを食べて肝臓を応援
肝臓がアルコールを分解するとブドウ糖の産生が抑制され、低血糖状態となる。
「ラムネはブドウ糖の塊(かたまり)のようなもの。アルコール分解のために肝臓が使うエネルギーを効率よく補給できます」(米田さん)
教えてくれた人
久里浜医療センター院長 樋口進さん
横浜市立大学附属病院准教授 米田正人さん
秋津医院院長 秋津壽男さん
取材・文/藤岡加奈子
※女性セブン2022年2月3日号
https://josei7.com/
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