お酒の前に食べるべき最高のおつまみBest10|二日酔い防ぐ飲み方を医師が提言
家飲みが増加している今、ついつい飲み過ぎて次の日は二日酔い、胃がムカムカするという人も多いだろう。『酒好き医師が教える 最高の飲み方』を監修する医師の浅部伸一さんら専門家に、お酒を飲む前に食べるといい食品について教えてもらった。二日酔いを防ぐ「最高のおつまみ」1位は?
空腹でアルコール摂取は御法度
長引くコロナ禍、毎日の晩酌だけが楽しみだという人は少なくないだろう。
「お酒の前に牛乳を飲めば、胃に膜を張って、アルコールの吸収が遅くなる」「ウコンが入った飲料を飲めば、二日酔いにならない」―― お酒にまつわる噂はさまざまあるが、何よりご法度なのは空腹でアルコールを摂取することだ。
『酒好き医師が教える 最高の飲み方』(日経BP社)を監修する肝臓・消化器病専門医の浅部伸一さんが説明する。
「胃は固形物である食べ物が入ると、胃の出口を閉じて、消化を進めてから小腸に送ります。しかし、アルコールの場合は液体ですから、空っぽの胃に流し込むと、そのまま通過して小腸へ流れてしまう。小腸の方がアルコールを吸収しやすいため、急激に酔いが回り、悪酔いしたり、二日酔いの原因にもなります」(浅部さん・以下同)
医師が教える「最高のおつまみ」とは
アルコールには脳への麻酔作用があり、早い段階で酔ってしまうと、理性が損なわれて、飲みすぎにつながりやすい。
健康的に飲酒するためには、必ず先に何かを食べておくことだ。なかでも理想とされるのは、脂肪分とたんぱく質を多く含む食品だ。
居酒屋メニューの定番であるチーズやポテトサラダ、揚げ出し豆腐などは、まさに最高のおつまみだという。
「脂肪分は胃の中にとどまる時間が長く、アルコールが小腸に流れるスピードをゆっくりにします。さらに、たんぱく質は脂肪と同様の作用に加え、アルコールの分解にも一役買うので、より理想的なおつまみと言えるでしょう」
ただし、たんぱく質と脂肪を含む牛乳が胃に膜を張る効果はあまり期待できない。
また、「肝臓を強くする」といわれる「ウコン」についても、現状でははっきりした医学的な根拠はなく、その効果に過剰な期待はしない方がよさそうだ。それよりも、良質な油を含み、たんぱく質が豊富な魚介類を食べた方がいい。
「魚に含まれるDHAやEPAなどの良質な脂肪酸は生で食べるのが効率的。焼き魚で食べるより、カルパッチョやお刺身がおすすめです」(管理栄養士理恵子理恵子さん)
おいしいおつまみでお腹を満たした後でも、健康的にお酒を楽しむためには「深酒」は厳禁だ。
「二日酔いの主な原因は、体の処理能力を超えるアルコールの摂取です」(浅部さん)
食事の始まりと同じくらい、食事の終わり方も意識したい。
お酒中心の前に食べるべき食品ベスト10
「お酒」のスペシャリストである浅部さんが提言する、お酒を飲む前に食べるといい食品をランキング形式で紹介。
★10位 アヒージョ
脂肪分をたっぷり含むアヒージョは、最初のおつまみにぴったり。具材が魚介ならたんぱく質を、きのこや野菜なら食物繊維を摂取できる。
★9位 牛乳
動物由来のたんぱく質と脂肪を含んでいるものの、液体のため胃にとどまりにくい。ただし、外出先で固形物を食べる余裕がないときなどは、手軽に飲めるのでいい。また、「牛乳が胃に膜を張る」といわれるが、エビデンスはない。
★8位 納豆
植物性たんぱく質と食物繊維が豊富に含まれるだけでなく、納豆特有のネバネバ成分が胃の粘膜を保護。飲む前に食べておくことで、飲みすぎた翌日に起こりやすい胃の不快感を軽減してくれる。
★7位 ナッツ類
特に、くるみは血液をサラサラにして動脈硬化を予防してくれるオメガ3系脂肪酸の含有量が高い。脂肪分が豊富でカロリーは高めなので数粒をよく噛んで。
★6位 ポテトサラダ
マヨネーズの脂肪分が胃腸でのアルコールの吸収を抑えるほか、食物繊維が含まれるじゃがいもが胃の中に長くとどまり、アルコールが小腸へ流れるのを抑える。
★5位 揚げ出し豆腐
枝豆同様、大豆由来の植物性たんぱく質が豊富。アルコールの吸収をゆるやかにする。脂肪分も含有するほか、半固形の食品でボリュームがあるため、飲みすぎの防止になる効果も。
★4位 枝豆
植物性たんぱく質が豊富。少量の脂肪分と豊富な食物繊維を含んでおり、ともにアルコールの吸収をゆるやかにしてくれる。カロリーが低いことも高ポイント。
★3位 から揚げ
鶏肉のたんぱく質は、小腸でアミノ酸に分解、吸収される。肝臓へ運ばれたアミノ酸は、アルコールの代謝促進、解毒作用など、肝機能を高める効果が。ただし、揚げ物はカロリーが高いので量に注意を。
★2位 チーズ
脂肪とたんぱく質の両方を含んでいるため消化がゆっくりで、胃の中に長くとどまってアルコールの吸収をゆるやかにする。満腹感も高い食品のため、飲むペースが抑えられる効果も。
★1位 魚介類のカルパッチョ
魚介類やオリーブオイルの脂肪分は、アルコールが胃から小腸へと流れる速度を穏やかにしてくれる。さらに、魚介類に豊富なたんぱく質は脂肪分の働きをサポートするだけでなく、アルコールの分解に働きかける。
教えてくれた人
浅部伸一さん/肝臓・消化器病専門医、管理栄養士・望月理恵子さん
※女性セブン2021年6月3日号