移動自体がレジャーになると人気!憧れの観光列車「四国まんなか千年ものがたり」「花嫁のれん」の醍醐味
「移動自体がレジャーになる観光列車の旅が今人気です」と語るのはトラベルライターの塩田典子さん。中でも注目なのは千年の歴史を持つ名所を眺められる「四国まんなか千年ものがたり」、能登のパワスポを巡る「花嫁のれん」。どちらも人気でいつか乗りたい! という人も多いんだそう。ファンも多い2つの観光列車を塩田さんの解説とともにご紹介する。
※料金は「乗車」の記載があるもの以外、乗車券・食事代を含む大人1名のセット料金です。
※料金等は2021年12月6日の取材時点のもので変更の可能性があります。
観光列車とは?
車窓からの景色が見やすく設計された広々とした座席に座り、レストランのようなサービスが受けられる列車。運賃に加え、食事代などを支払って楽しむ。
【四国まんなか千年ものがたり】車窓が次々変わる2時間半の旅
【乗車区間】大歩危 ― 乗車区間 ― 阿波川口 ― 阿波池田 ― 琴平 ― 多度津
四国の真ん中を走り、沿線には善通寺や金刀比羅宮(ことひらぐう)といった千年の歴史を持つ名所が多数あることから、この名前がつけられた。
「沿線には車では来られない秘境の駅や146本もの橋、峡谷も。景色が目まぐるしく移り変わり、飽きることがありません」(塩田さん)。
コンセプトから車両デザインまで、すべてJR四国の社員が手掛けたという。
「発着に合わせて地元の皆さんが駅でお出迎えをしてくれたり、沿線から手を振ってくださったりと、地域に愛される列車になりました。吉野川の水量が少ない冬は、大歩危・小歩危の透き通った水面を眺めるのに絶好の季節です」(JR四国・今西真穂さん)
【食事】三段のお重に詰まったごちそう
右から煮物中心の一の重、いなり寿司などのご飯を味わう二の重、和しゃぶサラダとデザートの三の重。徳島の日本料理店『味匠 藤本』が手掛ける限定メニュー。
希少な地酒を飲み比べ
8種の地酒から3種を選ぶ、おつまみ2品付きの『飲み比べセット』(2200円)。人間国宝の山下義人氏が手掛けた漆器のぐい飲みは、やわらかな口当たり。
【車内】四季をテーマにした温かみある作り
各車両のデザインは四季をイメージ。3号車は秋がテーマで、深紅のソファは大歩危(おおぼけ)・小歩危(こぼけ)の紅葉や熟れた果実を表現している。
身を乗り出せる窓向きソファも
2号車の窓向き席は、徳島の伝統工芸・藍染めをモチーフにした青色。
1号車の緑色のソファは、春に芽吹く若葉をイメージ。
【お出迎え】行く先々で熱烈歓迎
「妖怪たぬき伝説」で有名な阿波川口駅では、手作りのたぬきの被り物を着けた地元住民たちが、陽気にお出迎え。
こんぴらさんにちなんだ待合室
琴平駅の専用待合室は、金比羅宮の宮司が設計に携わりご利益満点。金の畳とご沙門(しゃもん)が。
車掌も乗務員も総出でサービス
車掌自ら記念乗車証を手渡してくれたり、途中停車駅でアテンダントが集合写真を撮ってくれたりと、温かい接客がうれしい。
【Information】
【プラン&料金】そらの郷紀行(多度津→大歩危)乗車3800円、食事5600円(要予約)/しあわせの郷紀行(大歩危→多度津)乗車3800円、食事5100円(要予約) ●各約2時間30分
https://www.jr-shikoku.co.jp/sennenmonogatari/
【花嫁のれん】可憐な列車で能登のパワスポを巡る
【乗車区間】金沢(Kanazawa)⇔ 和倉温泉(Wakuraonsen)
能登には恋路海岸や夫婦岩といった女性に人気のパワースポットが多数。そんな“幸”に満ちた土地を巡るこの列車は、婚礼の日にのれんを贈る伝統から、名がつけられた。
車内のいたるところに、輪島塗や加賀水引といった北陸の伝統工芸がほどこされている。
旅の始まりには花嫁気分の儀式を
列車名のとおり、駅ホームでのれんをくぐって出発。外装には華やかな金沢の金箔や加賀友禅モチーフが。
【車内】友禅の花咲く壁模様
車内には細い柱で区切られた和風の半個室が8つ。座席背後には友禅オールドコレクションが。
通路のじゅうたんは日本庭園の飛び石をイメージ。
【食事】老舗料亭監修の加賀の郷土料理
『和軽食セット』は、天保元年(1830年)創業の老舗料亭が手掛ける。ほかに『スイーツセット』や、能登の純米吟醸酒がついた『ほろよいセット』も。
【Information】
【プラン&料金】乗車片道1410円+特急券1390円(金沢⇔和倉温泉、通常期) 花嫁のれん2号和軽食セット(要予約)2500円/同4号 ほろよいセット(要予約)2000円 など ●約80分
https://www.jr-odekake.net/railroad/kankoutrain/area_hokuriku/hanayomenoren/
初心者が乗るべき「観光列車三か条」
トラベルライターの塩田典子さんが観光列車を選ぶ際の三か条を教えてくれた。
一.短距離の列車をチョイス
初めて観光列車に乗るなら、乗車時間2~3時間の短距離列車から選ぶのがおすすめ。
「気軽に旅の一部に取り入れられ、しかもリーズナブルです」。
二.セットにこだわらない
フルコース料理込みのセットプランだけでなく、お弁当や飲み物の持ち込みができる列車もある。気軽に乗車するのにぴったり。
三.観光地に合わせて選ぶ
「多くの観光列車は、人気観光地へのアクセスが便利です」。
行きたい観光地までの足に利用すれば、移動時間まで楽しく充実したものになる。
教えてくれた人
塩田典子さん/トラベルライター、今西真穂さん/JR四国
撮影/玉井幹郎 イラスト/murayoko
※女性セブン2022年1月6・13日号
https://josei7.com/
●走るライブキッチンで話題の「観光列車」3選 フレンチ料理や石窯ピザを目の前で!