密も避けられる“観光列車”が今人気!トラベルライターお勧めの「ろくもん」「或る列車」のおもてなし
豪華列車よりリーズナブルで旅慣れてなくても楽しめる「観光列車」が人気上昇中。景色を眺めながらご当地料理を味わい、停車駅では地元の趣向を凝らしたおもてなしを楽しみ…極上の2~3時間に、たまったストレスも吹き飛ぶはず!
※料金は「乗車」の記載があるもの以外、乗車券・食事代を含む大人1名のセット料金です。
※料金等は2021年12月6日の取材時点のもので変更の可能性があります。
観光列車とは?
車窓からの景色が見やすく設計された広々とした座席に座り、レストランのようなサービスが受けられる列車。運賃に加え、食事代などを支払って楽しむ。
単なる移動手段でなく乗車そのものが楽しい!
移動自体がレジャーになる観光列車の旅は、いまの時代にうれしいポイントがたくさん。
「まだ旅行に不安を感じている人には、混雑した観光地よりも、密を避けられる観光列車の旅がおすすめです」
と、トラベルライターで『AllAbout一人旅ガイド』の塩田典子さん。
「限られた乗客のみの広々とした車内で、窓や展望スペースから移りゆく景色を存分に楽しめるのが、観光列車の魅力。車内や停車駅では歓迎のイベントが催され、高級感漂う内装はホテルさながら。沿線ゆかりのコース料理や地酒を味わえる列車もあり、その土地の歴史や文化を目でも舌でも楽しめますよ」 (塩田さん)
そこで、塩田さんがお勧めする「観光列車」を2つ教えて頂いたのでご紹介する。
【ろくもん】軽井沢と長野の両観光地を効率よく巡る旅
【乗車区間】軽井沢-信濃追分-小諸-上田-屋代-長野
『ろくもん』の車体は、戦国武将・真田幸村のまとった甲冑(かっちゅう)をイメージした濃い赤。車名は真田一族の家紋である「六文銭」から付けられた。
「温泉やアウトレットなどのレジャーが人気の軽井沢と、歴史的建造物や史跡もある長野を結ぶ路線なので、両エリアの観光を楽しむ移動手段にも便利です」(塩田さん)。
発車早々、車窓正面には雄大な浅間山! 見どころは、アテンダントがその都度解説付きで教えてくれる。
車中で出会った鉄道マニアで「全国の観光列車にはほとんど乗った」という清水広志さんは、『ろくもん』の魅力について
「30回以上乗車していますが、アテンダントさんたちがサービスのために懸命に動き回る姿には、いつも感動します。気遣いの行き届いた接客は、全国でもトップレベル。お料理も、揺れる車内で美しく盛り付けるのは至難の業。乗務員さん全体のレベルの高さを感じます」と、語る。
大人気の『ろくもん』に乗るなら、狙い目は冬。
「夏から秋にかけては避暑や紅葉の時期でご予約が集中しますが、冬は比較的予約が取りやすいです。冬の澄んだ空気と美しい眺めを、ぜひお楽しみください」(しなの鉄道・経営企画課)
高貴な空間から旅が始まる
軽井沢駅旧駅舎の2階は乗客専用ラウンジ。カーテンレールや柱などには、大正時代に皇族が利用した旧軽井沢駅貴賓室の家具材が、そのまま使われている。
長野県ゆかりの戦国大名・真田一族にちなみ、戦国時代を思わせるほら貝の音色で出発。
【客室】旅館のような半個室の客室で優雅に過ごす
■半個室は障子仕切り優雅な空間をひとりじめ
2人組向きの30号車は、障子で仕切られた和風の半個室。まるで旅館のような雰囲気が味わえるうえ、密を避けて食事ができる安心感もうれしい。
■長野県産の木材をふんだんに使用
1号車にはグループ向けのソファ席が並ぶ。
2号車は窓を向いたカウンター席が中心。ひとり旅にも人気の席。
【おもてなし】お客様ひとりひとり丁寧に対応
■アテンダントが 1対1でサービス
あえて車内アナウンスを使わず、アテンダントが一席ずつ食材などを説明しながら食事や飲み物をサーブ。
■かわいい歓迎にもお目にかかれるかも!?
列車の通過に合わせて、沿線保育園の子供たちが、総出で手を振ってくれる。
■旅の思い出に名産のお土産も
下車が近づくと、長野県の米と大豆を使用したみそ蔵が作る、信州さらしなみそのお土産が手渡される。
■記念撮影もおまかせ!
途中駅では記念撮影の時間が設けられている。カメラを持って下車すると、アテンダントがシャッターを切ってくれる。
【美食】地元信州の食材を堪能
■沿線の名店の味を フルコースで
取材日のメイン料理はシナノユキマスのクルート焼き、信州プレミアム牛のローストビーフ、 季節の野菜とカマンブルーチーズ。ほかに、ホエー豚のボイルハムの前菜など、地元信州の食材にこだわったスープやデザートまで、全10品のコース。
■シェフが車内でできたてを盛り付け
長野の人気レストラン『アトリエ・ド・フロマージュ』のシェフが料理を担当。2号車のキッチンスペースから一皿ずつ提供されるため、温かい料理を温かいまま食べられる。
■ドリンクやデザートも信州の味わい
ドリンクは信州のブドウ畑のふもとで作られたワインのほか、軽井沢高原ビールや長野のりんごを使ったシードルなどから選べる。しぼりたてチーズのデザートも。
【Information】
【プラン&料金】食事つきプラン ろくもん1号(洋食・軽井沢→長野)1万5800円/同 ろくもん2・4号(和食・長野→軽井沢)1万5800円/信州プレミアムワインプラン ろくもん3号(軽井沢→長野)1万5800円 各約2時間/姥捨ナイトクルーズ(上田→長野)食事つきプラン1万7800円 ●約3時間 など
【お問い合わせ先】 ろくもん予約センター
【或る列車】現代に蘇った幻の列車が九州の名所をつなぐ
【乗車区間】博多⇔湯布院
明治39年に豪華客車として設計されたものの、時代の流れで路線を走ることなく消えた幻の車体を、模型をもとに蘇らせた列車。窓枠に唐草模様をあしらうなど当時のレトロモダンな雰囲気と、金色をふんだんに使った豪華絢爛なデザインが特徴。
「スイーツコースを提供するプランから、今年11月にフルコース料理が味わえるプランへとリニューアル。走行区間も福岡の中心地・博多と温泉地として人気の由布院を結ぶ、より観光に便利なルートへと変更されました」
【美食】ミシュラン2つ星シェフ監修
料理は東京・南青山レストラン『NARISAWA』の成澤由浩シェフが監修。九州各地の生産者を訪れて選んだ、オーガニック食材を使っている。
宮崎の「都農ワイン」や佐賀の「田島柑橘園」のみかんジュースなど、17種のドリンクは飲み放題。
【車内】クラシカルな内装
黄金色の車体が目を引く。豪華な装飾は、職人たちが時間をかけて磨き上げた。
個室の仕切り扉や窓などにあしらわれているのは、福岡の伝統工芸・大川組子。ステンドグラスとの組み合わせも美しい。
【Information】
【プラン&料金】博多⇔由布院片道2万9000円~4万1000円 ※飲食代込み・利用人数等により変動 ●約3~4時間
【問い合わせ】 JR九州 トラベルデスク
初心者の旅「観光列車三か条」
トラベルライターの塩田典子さんが観光列車を選ぶ際の三か条を教えてくれた。
1.短距離の列車をチョイス
初めて観光列車に乗るなら、乗車時間2~3時間の短距離列車から選ぶのがおすすめ。
「気軽に旅の一部に取り入れられ、しかもリーズナブルです」。都内からもアクセス良好な『ろくもん』などはまさにビギナー向け。
2.セットにこだわらない
フルコース料理込みのセットプランだけでなく、お弁当や飲み物の持ち込みができる列車もある。気軽に乗車するのにぴったり。乗車券だけ買って乗り、車内で好きなおつまみやお酒を買うのも◎。
3.観光地に合わせて選ぶ
「多くの観光列車は、人気観光地へのアクセスが便利です」。
行きたい観光地までの足に利用すれば、移動時間まで楽しく充実したものになる。香川県のこんぴらさんを訪ねるなら、四国の観光列車が便利。
教えてくれた人
塩田典子さん/トラベルライター、しなの鉄道・経営企画課
撮影/玉井幹郎
※女性セブン2022年1月6・13日号
https://josei7.com/
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