SDGsで注目!みりんの老舗企業が開発した大豆と酒粕入りのグラノーラ誕生秘話
「日の出みりん」などを手がける創業120年の調味料メーカー『キング醸造』。同社のみりんや日本酒の製造過程において発生する、副産物である醸造粕は年間数百tに及ぶという。それらをスイーツなどの原料にし、有効活用するエシカル(※地球環境や人、社会、地域に配慮した考え方)なブランド『ORYZAE JOY(オリゼージョイ)』を昨年2月に設立した。
そのきっかけをプロジェクトリーダーの竹山慎一郎さんに聞いた。
地球にも身体にも優しい食品が誕生
「弊社は1900年に創業し2020年で120周年。その節目に、培ってきた技術を活用し、次の成長へとつながる事業を始めたいという思いがありました。
みりん粕や酒粕などの醸造粕は日持ちせず、加工にも手間がかかるため食品への転用が難しいのですが、食物繊維やアミノ酸、ビタミン類などが多く含まれるスーパーフード。それらの栄養素を手軽に摂取できる食品を作りたいという願いがありました」
そこで独自製法により醸造粕のパウダー化に成功。有効活用への扉が開いたのだ。
「生の醸造粕は水分量、硬さなどがそれぞれ違います。しかしパウダー化により一定の状態を保ち、常温保存も可能に。品質や風味が安定したため加工が容易になり、ショコラクランチなどのスイーツやスムージーの素などに活用できました」(竹山さん)
コクのある味わいと、発酵食品としての機能を併せ持つブランドが誕生したのだ。
女性に必要な栄養素が豊富
昨年11月には大麦グラノーラや北海道産黒大豆などにパウダー化した酒粕を加えた新商品『お豆グラノーラ』を開発。肌や髪、爪に必要なたんぱく質と、腸活をサポートする発酵食品の力で美しく健康的な体作りを促す。
お豆グラノーラの特徴について開発担当の蕨野裕哉さんはこう語る。
「黒大豆、大豆、小豆と豆がふんだんに入っていて、ゴリゴリとした食感で食べ応えある商品です。大豆イソフラボンやたんぱく質など女性にうれしい成分が多く含まれるため、一食置き換えるだけで不足しがちな栄養素を無理なく摂取できます。また、酒粕パウダーを加えたためコクのある味わいに。大麦のグラノーラなので食物繊維も豊富です」
味も好評だという。
「酒粕が入っているため、まろやかな味わい。お客様からは『よい香りがする』『味に深みがある』といった声を多くいただいています。開発時には酒粕が苦手なメンバーが集まり微調整を繰り返しました。独特の味や香りは気にならず、まろやかさや深みの出る絶妙な配合を実現したのです」(竹山さん)
最後におすすめの食べ方を聞いた。
「牛乳にかけて召し上がるかたが多いですが、寒い時期はホットミルクがおすすめです。そのままポリポリ食べてもおいしいという声もいただいています」(蕨野さん)
環境にも体にもよい商品なのだ。
【データ】
『ORYZAE JOY お豆グラノーラ』1袋200g1404円/発酵食品になじみのある客層だけでなく、栄養バランスが気になり健康的な体を目指す人の需要に対応している。ネットのみの販売。https://oryzae-joy.jp/
取材/加藤みのり、文/藤岡加奈子
※女性セブン2022年2月3日号
https://josei7.com/
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