冬の”お尻ケア” むくみや冷えに尾骨周辺をほぐしてめぐりのいい体へ【鍼灸師監修】
「自分のお尻の状態を知らない人が多すぎる」と“お尻先生”の異名を持つ、鍼灸師の田口咲さんは言う。常に目に入る顔や髪の毛、脚にくらべ、お尻はふだん見ることが少ない分、ついケアを怠りがち。でも、実は女性の美と健康のカギを握る重要なポイントなのです。
尾骨は全身を整える起点になる
脊髄の最下端の骨=尾骨もお尻の重要ポイントだ。脊椎内にある中枢神経の脊髄は脳までつながり、そこを髄液という体液が流れている。髄液には脳や脊髄を保護する働きや、栄養やホルモンを運ぶ役割がある。
「尾骨には、脊髄とつながる糸のような組織“終糸(しゅうし)”が伸びています。尾骨にゆがみなどの不具合が生じると、それにつながる終糸や脊髄にも影響し、髄液の流れが滞り、さまざまな不調を起こす可能性があるのです。このため尾骨を刺激して整えることは、全身の健康に大きく役立ちます。
ほぐすべき場所がわかれば、特別な道具がなくても自分でケアできます。1回3分ほどで効果を実感。3日目には変化も感じられると思います」
尾骨周辺は脊髄につながる、全身を整えるポイント
髄液は、脊椎の中にある脊髄のまわりを流れ、脳のまわりをぐるりと一周するようにして循環している。
尾骨周辺をほぐすメリット
尾骨は仙骨の下端部分にあるとがった骨で、仙骨とともに姿勢を安定させる役割を持っている。終糸という糸状の組織で脊髄につながっており、髄液の流れにも影響する。
「尾骨周辺をほぐすと髄液の流れがよくなり、全身のめぐりが改善されます。頭のむくみが改善して小顔になったり、肌の乾燥、肩こり、頭痛、冷えなどさまざまなトラブルの改善につながります」(田口さん)
尾骨周辺のほぐし方
難しいエクササイズも、時間をかけてのケアも必要なし。気づいたときに刺激をすればOKというからうれしい限り。さっそく実践してみよう!
【1】両ひざを軽く曲げて床に座る
床に座って背筋を伸ばしたら、両ひざを軽く曲げる。手を体の後ろに軽くつくと、背筋が伸びやすい。
【2】タオルを丸めてお尻ではさむ
ハンドタオルなど小さめのタオルを半分に折ってから丸めて棒状にする。お尻の割れ目の下に丸めたタオルを縦に置き、左右のお尻ではさむ。
【3】体を後ろに倒し、骨盤を前後に動かす
両手を体の後ろに置いて上体を倒す。両ひじを曲げて骨盤を後ろに傾け、尾骨の部分にタオルを押し当てて刺激する。次に両ひじを伸ばして骨盤を元の位置に戻す。この前後運動を5回繰り返す。
★椅子に座ってもOK!
椅子に浅く腰かけて【2】と同様にタオルをお尻の下に置き、座面の後ろ部分を両手で持って体を後ろに倒し、骨盤を前後に動かして尾骨を刺激してもよい。
教えてくれた人
田口咲さん/鍼灸師
「鍼美salonゑまひ~EMAI~」代表。著書は『全身きれいになりたければ、お尻だけほぐせばいい!』(講談社)。
取材・文/山下和恵 イラスト/藤井昌子
※女性セブン2022年12月9日号
https://josei7.com/
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