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健康

夜中に2回目が覚める人は死亡リスクが約2倍に!「夜間頻尿」改善する方法

 夜中に1回以上トイレに起きなければならず、それによって日常生活に支障をきたす「夜間頻尿」を患っている人は40才以上の男女で約4500万人を数える。国立長寿医療研究センターが約1000人の女性を対象に行った調査でも、7割以上が悩んでいるという結果だった。「年だから仕方ない」であきらめなければならないのだろうか?

夜中のトイレ、年のせいとあきらめない

「夜中と明け方、2回トイレに立つのが習慣になっています。そのせいで朝、すっきり起きられず、昼間もボーッとしてしまって…」

 ため息をつくのは、65才の主婦・三宅優子さん(仮名)。

 泌尿器科医の平澤精一さんによれば、今後そうした夜間の尿意に悩む人はさらに増えることが予想されるという。

「寿命が延び、高齢化が進むとともにコロナ禍の運動不足で下半身の筋肉が衰えたことも影響しています。“年のせい”とあきらめている人も多いですが、実はちょっとした方法で解決できることも少なくないのです」(平澤さん・以下同)

 そもそも、なぜ加齢とともに夜中にトイレに立つ回数が増えてしまうのか。

加齢とともに夜中のトイレ回数が増える理由

「大きく分けて、3つの原因があります。

 1つ目は夜に排出される尿の量自体が増える『夜間多尿』です。筋力や血管の収縮力が弱まって血液の循環が悪くなると、下半身に水がたまって脚がむくんでしまう。その状態のまま就寝時に横になると水分が上半身に移動し、心臓に負担がかかります。それを阻止するために余計な水分を排出する目的で、夜間の尿量が増えてしまいます」

 2つ目は、尿が少したまっただけでトイレに行きたくなる「過活動膀胱(かかつどうぼうこう)」。40才以上の女性に多い病気で、年を重ねて膀胱の血流が悪くなったり、骨盤内臓器を支える骨盤底筋(こつばんていきん)と呼ばれる筋肉の力が弱くなったりすることで膀胱の伸縮性が失われることや、反対に敏感に収縮しすぎてしまうことで起こる。

「最後の原因は『睡眠障害』です。眠りが浅いために尿意で目が覚めたと錯覚して夜中に何度もトイレに行ってしまう。これが習慣化すると夜間頻尿につながります」

 原因が何であれ、年齢を理由に放置すれば、取り返しのつかない結果になる可能性すらある。

トイレに起きるほど墓場が近づく

 70才以上の高齢者を5年間追跡調査した(※1)東北大学の研究では、夜中にトイレに行く回数が1回以下の人の死亡率を1とした場合、2回以上の人の死亡率は2倍も高いという。東京都健康長寿医療自律神経機能研究・研究部長の堀田晴美さんが解説する。

「これは夜中に起きて暗い部屋の中をフラフラ歩くことで、転倒するリスクが高まることが理由の1つだと考えられます。高齢者の場合、一度転倒して骨折してしまえば、そのまま寝たきりになってしまう危険性も大いにあります」(堀田さん)

 平澤さんは脳や心臓の病気との関連性を懸念する。

「夜中に温かい布団の中から出て冷たい便座に座ると、急激な温度変化で血圧が急に変動し、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞を引き起こすことがあります。排尿後に血管が拡張されて血圧が下がり、脳に送られる血液量が少なくなり酸素不足から意識を失ってしまう『排尿失神』にも要注意です。特に目が覚めたばかりの状態はそもそも低血圧であることが多いため、排尿失神が起きるリスクが高まります」

 すぐに重篤な状態にならなかったとしても、度重なる“夜中のトイレ”は少しずつ体をむしばむ。

「睡眠の質が低下し、慢性的な睡眠不足になることで仕事の能率が落ちたり人とうまくコミュニケーションが取れなくなったりと、人生や生活の質が落ちてしまうケースも散見されます。症状が悪化し、うつ病になる人すらいる。夜間頻尿は、放置すれば心身ともに大きな影響を受ける病気なのです」(平澤さん)

塩辛い食事で水分の摂りすぎに

 健康で快適な生活を送るために、夜間頻尿の改善は必須だ。平澤さんが真っ先に取り組むべきと提唱するのは、水分と塩分コントロールだ。

「原因が単純に水分の摂りすぎであることも多いのです。“水分を多く摂ると血液がサラサラになり、健康を保てる”“寝る前にコップ一杯の水を飲むと脳梗塞を予防できる”といった情報が流れていますが、実は確実な科学的エビデンスはない。

 体調を良好に保つための1日の水分量は、食事に含まれる水分を除いて『体重(kg)×20~25ml』が目安。体重60 kgの人なら1200~1500mlが適量です。暑い季節や運動で汗をたくさんかくときはその分を補う必要がありますが、適量をバランスよく摂ることを心がけましょう」(平澤さん・以下同)

 何を飲むかもポイントだ。

アルコールとカフェインに注意

「気をつけるべきは利尿作用が強いアルコールとカフェインです。特にビールは摂取した量の1.1倍の尿が出る。カフェインを含む飲料の中で盲点なのは玉露で、その量はコーヒーの2倍以上です。

 夜間のトイレの回数を減らすためにはこれらを避け、麦茶やハーブティーなどカフェインを含まないものか、含有量の少ないウーロン茶や煎茶を飲むことが必要です。また、温度はなるべく温かいものか常温を心がけてください。冷えた液体は膀胱を冷やして収縮させ、尿意を感じやすくなります」

 水分のコントロールとともに行うべきは減塩だ。

旨みや香りを活用して減塩を

「人間の体は体内の塩分を一定に保つように作られているため、摂取した塩分量が多ければそれだけ水分の摂取量も増える。塩辛いものを食べた後に喉が渇くのはそのためです。減塩のためには“旨み”や“香り”を上手に活用することが必要になります。塩やしょうゆの量を減らし、その代わりにしそやみょうが、のり、かつおぶしなどを“ちょい足し”することを意識してほしい」

運動やストレッチを習慣に

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