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挑戦を続ける高木ブー、ももクロと新番組をスタート、画集はたちまち重版

 高木ブーさんにとって88歳の夏は、新たな「挑戦の夏」になりそうである。6月に発売された『高木ブー画集 ドリフターズとともに』は大きな話題を呼び、たちまち増刷が決まった。ニコニコ生放送では、ドリフの3人とももクロの4人が、世代を越えてトークを繰り広げる新番組がスタート。ブーさんが今後への意気込みを語る。(聞き手・石原壮一郎)

絵で喜んでもらえるのは、コントやウクレレとはまた別の嬉しさ

「ブーさんの絵はタイムマシンですね。画集をめくるうちに、毎週『8時だョ!全員集合』が楽しみだった頃の自分に戻りました。もう天国に行ったじいちゃんとばあちゃんも、記憶の中では、実家の茶の間でいっしょに笑っていました。ありがとうございます」

 画集を買ってくれた50代の男性から、こんなメッセージをもらいました。コントやウクレレで楽しんでもらうのも嬉しいけど、絵で喜んでもらうのは、また別の嬉しさだね。当時の自分に戻ったっていうのは、あの画集に対する最高のホメ言葉だよ。

 僕が絵を描くことを知った人から、よく「子どもの頃から絵が好きだったんですか」と聞かれる。ぜんぜんそんなことないんだよね。ただ子どもの頃は、飛行機の絵を描くのが好きだったな。お袋の実家が千葉県の柏で陸軍の飛行場があった。カッコいい戦闘機が飛び立ったり、また帰ってきたりする。それを描きながら「将来は飛行機乗りになりたいな」なんて思ってたんだけど、中学1年生のときに戦争が終わっちゃった。

 かなりのブランクがあって、久しぶりに絵を描いたのは40年ぐらいしてから。『ドリフ大爆笑』で雷様のコーナーが始まった直後の1986(昭和61)年の年賀状に、ふと思い立って、雷様の格好をした長さんと仲本と自分を並べた絵を描いてみた。

 いきなりそんなことをしてみようかなと思ったのは、たぶん雷様のキャラクターやコントに、特別な手ごたえを感じていたんだろうね。そのあと何年か、3人の雷様を描いた年賀状を出してたな。長さんの唇は、その頃から極端に分厚く描いてた。

長さんにはいろんな道を切り開いてもらった

 そこからバリバリ描き始めたわけでもなく、たまに気が向くと、長さんを描いて顔を般若にしたりしてた。般若の長さんは我ながらうまく描けて、「絵を描くって面白いな」と思ったのを覚えてる。

 考えてみたら、雷様の設定やキャラクターを考えてくれたのも長さんだし、特徴的な唇で絵の面白さにも気づかせてくれて、そもそもドリフに誘ってくれた。長さんは僕にいろんな道を切り開いてくれたんだな。あらためて感謝します。

 絵の本を出したおかげで、いくつかの媒体から連載のオファーが来てるみたい。まだどうなるかわからないけどね。僕の絵を書籍以外の形にしようって話もある。どうせだったら僕としては、たいへんではあるけど、新しい絵を発表させてもらえるといいな。絵にしたいアイディアはいっぱいあるし、締め切りと発表の場があればきっと怠けずに描くしね。

ももいろクローバーZと一緒の番組が始まった

 スタジオに行くのが楽しみなのが、ももいろクローバーZの4人といっしょにニコニコ生放送で始まった『もリフのじかんチャンネル ~ももいろクローバーZ×ザ・ドリフターズ~』っていう番組。月イチで僕と加藤と仲本が、ももクロの4人といろんなおしゃべりをする。MCは東京03の飯塚悟志くん。毎週の放送じゃないけど、番組が土曜日の8時から始まるっていうのがいいよね。「全員集合」を思い出しちゃう。

 年齢差があるにも程がある組み合わせだけど、番組のキャッチフレーズが「世代(じかん)を越えて交流するトークバラエティ!」だもんね。7月3日夜の初回では、ももクロに「きゅんですポーズ」を教わった。片手の親指と人差し指でハートを作るんだって。見よう見まねでやって「きゅんです」って言ったら、ももクロに「ブーさん、上手です」なんて拍手されちゃった。

 ドリフの話をする時間もたっぷりあって、もっぱら加藤が「長さんは時々セリフを忘れた」とかハナ肇さんに芸名を付けられたときのホンネとか、当時は言えなかった裏話をたくさん話してた。地上波だと多少は抑えちゃうんだけど、そこはネット配信ならではだよね。見てるファンも喜んでくれるし残しておきたい話だから、まあいいんじゃないかな。

 ニコニコは見てる人のコメントが画面にジャンジャン流れてきたりして、出てる側と見てる側の関係がテレビとはぜんぜん違うよね。新鮮な楽しさを味わってます。8月7日20時から2回目の放送があるけど、加藤に限らず僕も仲本もいろいろしゃべっちゃいそうだな。ももクロの4人とMCの飯塚くんが、またノセるのがうまいんだよね。

 コロナ禍が始まった頃は「こうなっちゃったら何にもできない」と思ったけど、そうじゃなかった。YouTubeにせよ生配信にせよ画集にせよ、この1年ぐらいで、たくさんの新しいことに挑戦できた。とっても嬉しいし、ありがたいよね。次はどんな面白いことが待っているのかな。88歳は、まだまだ育ち盛り伸び盛りです。

ブーさんからのひと言

「88歳で新しいことに挑戦できるのは嬉しいね。絵もコントもウクレレも、まだまだ頑張ります!」

高木ブー(たかぎ・ぶー)

1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『Hawaiian Christmas』『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)、『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評。ニコニコ生放送『もリフのじかんチャンネル ~ももいろクローバーZ×ザ・ドリフターズ~』に最年長で出演。「ブーさんがずっと起きていられるかどうか」にも、視聴者の関心が集まっている。

取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)

1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」が好評発売中。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。

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