5秒で簡単!肩こり度チェック|人差し指の形でこりやすい人・こりにくい人がわかる
マッサージしてもなかなか楽にならない、やっかいな肩こりに、どう対峙するべきか。理学療法士の財前知典さんは、自分が肩こりになりやすい体質かどうかを見極めることから始めるのを推奨する。まずは、簡単にできる肩こり度のチェックをしてみよう!
5秒でできる!肩こり度チェック法
「実際は肩がこっているのに自覚がない人も多く、気がつかないうちに体が蝕まれていくパターンも多い。
人差し指の形で肩こりになりやすいかどうかがすぐにわかるため、まずはこの方法で確かめてみてください。
手のひらを上に向け、人差し指を丸めたときに、すき間ができず、ほかの指もまっすぐ伸びている場合は肩がこりづらく、健康な状態です。しかし、しっかり握れず、ほかの指もまっすぐに伸ばせない場合、重篤な状態であるサインになります(下図参照)」
イラスト上→「こりやすい人」。人差し指をしっかり丸められず、ほかの指もまっすぐに伸ばせない場合、肩こりが重篤な状態であるサイン。
イラスト下→「こりにくい人」。人差し指を丸めたときに、すき間ができず、ほかの指もまっすぐ伸びている場合は肩がこりづらく、健康な状態。
自分が「こりやすい」体質だとわかったら、早速対策を取っていきたい。
「こりやすい」体質の人は…姿勢の改善を
酒井さんは、いちばん重要なのは姿勢の改善だと主張する。
「いすに座るときは、深く腰掛けるのがポイントです。それによって骨盤を立てることができるので、脊椎の動きに大きく関連する『仙腸関節』がゆるみ、肩の筋肉がほぐれることにつながります」
首や肩に負担をかけないパソコン作業の座り姿勢
「低すぎるいすはNG。座ったときに、ひざの角度が90度より少し開くくらいの高さがベストです。
骨盤を立てたら、あごを引いてください。腰がすっと伸びて首への負担も減り、体が楽になります。
パソコン作業をするときは、うつむいた姿勢で肩に負担をかけることがないように、画面を目線と同じ高さに持ってきてください。マウスをなるべく外側に置いて使うと、肩が開きやすく巻き肩になりづらいためおすすめです」 (酒井さん)
肩こりはお風呂で体を温めて、血行を改善するのも有効だ。
「入浴時はしっかりと首までつかってほしい。これから暖かくなると、シャワーだけという人もいますが、こりを改善するにはしっかり首筋まで温めることが大切です」(酒井さん)
マッサージで根本的な解決はできない
マッサージによってこり固まった一部の筋肉をほぐしても、ほぐれた筋肉が体を支えるためさらに緊張状態が強くなり、さらなる肩こりにつながることがあるという。
また、一部の筋肉だけが大きくゆるむことで体のバランスが崩れ、ゆがみが生じるケースや、強いもみほぐしによって、筋肉が傷つく場合もあるというから注意が必要だ。
マッサージで一部の筋肉をほぐすことが根本的な解決にならないのは、多くの場合、体のこりは実際にこっている部分以外の箇所に原因があることも理由になる。戸田整形外科リウマチ科クリニック院長で整形外科医の戸田佳孝さんが解説する。
「たとえば肩こりは、慢性的な猫背によって頭の重さを首の骨だけで支えきれないために起きているケースが多い。あごを引いて背筋を伸ばした姿勢を保つことができていれば、頭の重さは頸椎の真上にくるため首の骨で支えられますが、パソコンやスマホなどを触るとき、どうしても頭やあごが前に出てしまう。すると頭を後ろに引こうとして肩の筋肉に負担がかかり、常に筋肉が緊張状態でこってしまうのです」
柔道整復師で整体院「和-KAZU」院長の迫田和也さんも肩こりの原因は猫背にあると声をそろえる。
「デスクワークなどで猫背や前のめりの姿勢が続くと、肩から胸にかけてついている筋肉がこり固まり、わきの下の筋肉が収縮して硬くなります。
つまり、痛むのが肩ではあっても、筋肉がこり固まっている本当の“患部”は胸のまわりやわきの下だということ。ここの筋肉をほぐさなければ肩は楽になりません。
このように体の痛みの原因はほとんどが“そこ”にはない。肩こりと並んでつらさを訴える人の多い腰痛も、腰そのものに原因があるのではなく股関節が硬くなり、太ももやお尻が張っていることが原因であるケースが多く見受けられます」
「目」からくる肩こりは手術で改善するケースも
目からくる、こりもある。吉祥寺森岡眼科院長で眼科医の森岡清史さんは、まばたきが減ると肩がこると主張する。
「まばたきの回数が減ると、まぶたの筋肉が動かないため、目の筋肉は常に緊張状態にさらされます。顔の筋肉は肩とつながっており、おでこから頭皮、首、肩へと緊張が伝わり、肩こりが誘発されると考えられます。実際に眼瞼下垂になるとまぶたが下がって、まばたきの回数が減りますが、私の経験では、眼瞼下垂の手術を受けた9割以上の人の肩こりが治っています」
つまり、スマホやパソコンを凝視してまぶたが緊張することで、肩こりを発症している可能性があるということ。
「巻き肩」でさまざまな不調に…
気をつけるべきことはまだある。体の内部の不調や大きな病気が原因でこりが生じる事例もある。さかいクリニックグループ院長の酒井慎太さんが指摘する。
「肩こりになる人の多くは、ストレートネックで肩が内側に入ってしまう、“巻き肩”の状態です。巻き肩になることによって胸骨の関節も詰まり、内臓や肺が圧迫されます。
そのため、逆流性食道炎や喘息になりやすい。さらに肩こりが長く続けば、吐き気や耳鳴り、顎関節症、気分障害などの症状がある自律神経失調症や、ひどい場合は脳梗塞を発症するケースすらあります」
ほかにも体がこり固まることで血流が悪くなり、腸内環境が悪化したり血圧に影響があったりするケースもある。また、当初は軽い肩こりだったはずが、長期間放置してしまった結果、重篤な状態になる事例も存在する。戸田さんが解説する。
「ひどい肩こりだと思って放置していると、頸椎椎間板ヘルニアを発症することがあります。肩だけでなく手や足にしびれを感じたり、運動麻痺を感じたりすることがあるならば、頸椎の部分で手や足の神経が圧迫されている可能性が。頸椎は頭を支えているため、肩こりになるような姿勢を続けていると、椎骨の間にある椎間板が押しつぶされてしまって、ひどい場合は半身不随になることもあります」
早速、生活習慣を改めたい。
教えてくれた人
理学療法士・財前知典さん、柔道整復師で整体院「和-KAZU」院長・迫田和也さん、吉祥寺森岡眼科院長 眼科医・森岡清史さん
イラスト/つぼゆり
※女性セブン2021年4月29日号
https://josei7.com/
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