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健康

《がんリスクも》「座り時間の長さは寿命にも影響する」国際治療家・木谷将志さんが解説する数々のデータ

 デスクワーク、テレビ視聴、食事の時間……。気づけば1日の大半を座って過ごしている。そんな現代人の生活習慣が、実は健康寿命を縮める大きなリスクになっていることをご存じだろうか。

 世界のトップアスリートから絶大な信頼を寄せられる国際治療家の木谷将志さんは、腰痛や慢性疲労の原因として「股関節のつまり」に着目。その大きな要因が「座りっぱなし」だという。さらに木谷さんは、日本国内外の研究データを引きながら、座る時間の長さと死亡リスクの関係についても警鐘を鳴らす。

 健康診断の数値が良好でも安心できない理由とは。木谷さんが世界最高峰のリカバリー術を一般向けにアレンジした著書『世界が認めた神リカバリー』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。

教えてくれた人

国際治療家/My Natural Clinicディレクター・木谷将志さん

世界のトップアスリートから厚い支持を得る治療家。プレミアリーガーを筆頭に、世界中のサッカー代表選手とプライベート契約を結ぶ。クライアントには欧州の代表チームのキャプテンや国民的人気選手も名を連ねる。英国を拠点にしながら欧州各国や米国に赴き、足も使う独自の施術でリカバリー治療に当たっている。
日本時代は柔道整復師として10年以上にわたりJリーガー、プロ野球選手、大相撲力士ら幅広いトップアスリートを施術。治療をきっかけに吉田麻也選手と出会ったことで後年、専属トレーナーに。2020東京オリンピックや2022カタールW杯などで、当時日本代表キャプテンの吉田選手を全面的にバックアップした。多数の日本代表選手からも熱心に支持されており、トップ選手たちを陰で支える。
ヨーロッパ最大規模の日本人治療院「My Natural Clinic」も経営しており、日本の治療技術の高さを発信しながら、日本人治療家が国際的に活躍できる環境づくりにも力を注いでいる。

 * * * 

長く座る人ほど「がん死亡率」が高い

 股関節がつまる原因になっている「座りっぱなし」。

 これがいかにリスキーな状況を生むかお話ししたい。

「座りっぱなし」が悪い理由はたくさんあるが、死亡率がはっきりと上がるのだ。

 脅したいわけではないが、「座り時間」の増加は「がん」すら招きかねないのである。

 2020年、「長い時間座り続けているとがんのリスクが高まる可能性がある」とアメリカの医学誌『JAMA』で報告書が発表されている。

 報告書の主筆、スーザン・ギルクリスト准教授(アメリカ・テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)によれば、この研究は「動かないことと、がんによる死亡の間に強い関連が明らかに見られた最初の研究」であるとされている。

 その研究では、2009年から13年間、約8000人の参加者に7日間連続で起床中に追跡装置を装着させている(調査開始時、がん患者はゼロ)。

 5年間の追跡調査の結果、「最も座りがちな人々」は「最も座らない人たち」と比較して、がんで死亡するリスクが82%も高いことが明らかになった。

 これには年齢や性別、疾病状態も勘案されている。

 言い換えると、「最も座りがちな人々」は「最も座らない人たち」の約1.8倍、がん死亡リスクが高いということになる。

「座りっぱなし」は寿命まで縮める

「座り時間」の長さは、がんリスクどころか寿命の長さにもダイレクトに影響するのである。

 2021年、京都府立医科大学の小山晃英氏らの研究グループによって、6万人を超える日本人を対象とした「日中の座位時間と死亡リスクとの大規模研究」の結果が報告されている。

 この研究によると、仕事および余暇の時間を含む全ての日中の座位時間が長いほど、死亡リスクが高まることが明らかになった。

 特に「1日9時間以上座っている人」は、将来、死亡リスクが高くなるとされている。

 死亡リスクというと「生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)を抱える人ほど高くなるもの」というイメージがあるかもしれない。

 しかし生活習慣病のない人でも、同様の傾向があった。

 この結果はなかなか衝撃的だ。

 たとえ健康診断などの数値がどれだけ健全であっても、座りっぱなしなら死亡リスクは上がるというわけだ。

 もうひとつだけ、データを紹介する。

 オーストラリアの成人男女22万2497人を対象とした調査がある。

 それによると「座っている時間」が4時間未満の人に比べ、4~8時間、8~11時間、11時間以上と長くなるにつれて死亡リスクが高まっている。

「1日11時間以上座っている人」と「1日4時間未満しか座らない人」を比べると、死亡リスクは40%も上昇している。

「11時間とは長い」と思われるかもしれないが、デスクワークに通勤通学の移動、動画視聴や食事の時間なども加えると、11時間以上座って過ごす現代人は、決して珍しくはない。

 このように、「座り時間」のリスクについては数々のエビデンスが存在する。

「股関節のつまり改善」のみならず、健康寿命を長くするためにも、なるべく座っている時間を短くするように意識したい。

 たとえばカナダでは身体活動に関するガイドラインが策定され、「1日8時間以上は座らないように」と定められている。

 日本にはこのようなルールはないが、30分、1時間と座ったら、意識的に5~10分ほど立ったり歩いたりしてみよう。

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