マスク酸欠を防ぐ横隔膜ほぐしや肌荒れなどマスク生活のリスク対策【専門医監修】
長引くマスク生活による弊害――。摩擦による皮膚の炎症や大人にきびなど肌の老化をはじめ、マスク着用による酸欠で高血圧や心臓病、認知症のリスクを上げるとも。マスクによる老化や病を防ぐための対策を、専門家に聞いた。
肌荒れを防ぐマスクの選び方
もしいまの肌や体の不調がマスクのせいなのであれば、いますぐ取って深呼吸したいところだが、まだしばらく、“ノーマスク生活”は難しい。
どうすればマスクをつけながら老化を防げるのか。
皮膚科医の柴亜伊子さんは、感染者数が多く、変異種も出ているいまは、予防の観点から三層構造の不織布のマスクをすすめるが、人それぞれ異なる肌の調子を見ながら選ぶことも大切だと話す。
→正しいマスク選びと使い方7つのルールをおさらい|フェイスシールドの効果は?
●不織布の下に布マスクを挟む
「つけてみてチクチクするものは避けてください。シルク配合のものは肌触りがよく、おすすめです。肌荒れに悩む人は不織布の下に布マスクを挟むなどの対策を取るのもいいでしょう」(柴さん)
サイズも重要だ。せたがや内科・神経内科クリニック院長の久手堅司さんが言う。
●つけたときに“引っぱられている感”のないものを選ぶ
「つけてみてサイズが小さく感じるものは、耳に負担がかかります。つけたときに“引っぱられている感”のないものがいいでしょう」(久手堅さん)
着用するときには歯を食いしばらないこと、家にひとりでいる時間はまめに外してリラックスすることも大切だ。
老化予防の食生活|魚と緑黄色野菜
柴さんは、老化予防のためには、食生活の改善が重要とも。
「たんぱく質やビタミン、ミネラルなど、肌に必要な栄養素を摂取するために、卵や肉、魚、そして野菜をバランスよく食べてほしい。
なかでも魚介類は必須です。美肌に必要なたんぱく質やビタミン、ミネラルが豊富なうえ、魚が含有する良質な油分のEPAは、血液をサラサラにする働きや抗炎症作用があるため、肌の炎症も起こりづらくなります。
野菜は緑黄色野菜を中心にたっぷり摂りたい。食物繊維は腸内環境の改善に役立ち、ビタミンCやポリフェノールの抗酸化作用も見逃せない。アンチエジングの観点からも重要です」(柴さん)
たるみ改善はセルフケアで
たるみの改善にはマッサージなどのセルフケアを積極的に取り入れたい。
「マスクの着用が長期化すると、口を大きく開く機会が減り、口まわりの刺激がなくなってほうれい線が濃くなったり口角が垂れたりして老け見えの原因になります。これは顔まわりを定期的に刺激することで改善できます。口を閉じたまま、ほほを膨らませたりすぼめたりする、口角を引き上げながらマッサージするなどのケアを日常的に行ってください」(久手堅さん)
京谷さんはマスク酸欠から体を守るための「横隔膜ほぐし」をすすめる。
マスク酸欠から体を守る「横隔膜ほぐし」とは?
「手の圧と腹式呼吸の合わせ技で、固く縮んで動きづらくなっている横隔膜をスムーズに動かすストレッチです。酸素の供給量が増えて、全身の血液循環がよくなるだけでなく、腸も刺激されるため便通がよくなって免疫力も上がります。腸内環境が整えばさらに、美肌になるはずです」
やり方は、以下を参考に。
■マスク酸欠から体を守る!「横隔膜ほぐし」
●手を置くポイント
イラストのA~Cのポイントに順番に手を置いていきながら上体をしっかり前に倒して呼吸することで、手の圧力と腹式呼吸の両面から横隔膜を刺激する。
【1】まずは背もたれにもたれかからないように椅子に浅く腰掛ける。みぞおちあたりのポイント<A>に両手の指を置きながら3秒かけて鼻から息をたっぷり吸い込み、お腹を膨らませる。
【2】親指以外の4本の指を使ってポイント<A>をグッと押しながら体を前へ傾け、10秒間かけて息を吐きながらお腹をへこませる。息を吐ききったら上体を戻す。ここまでの動作を3回繰り返す。
【3】ポイント<B><C>も同じ動作を3回ずつ繰り返す。最後は、胸の中央部にある胸骨をさする。痛みを感じた場所があれば、その部分を4本の指を使って左右に1分ほど刺激する。
“マスクを取っても美人”を目指したい。
教えてくれた人
皮膚科医・柴亜伊子さん、せたがや内科・神経内科クリニック院長・久手堅司さん、楽健道協会代表理事・京谷達矢さん
イラスト/つぼゆり
※女性セブン2021年2月11日号
https://josei7.com/