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女性の肌悩み1位は毛穴!花粉やマスクで開いてしまった毛穴の対処法を皮膚科医が指南

「春がきらい」という人は意外と多い。ひどい花粉症や安定しない気温、急に強くなる紫外線。春は、こうしたストレスが一気に肌に出る季節でもある。なかでもぽっかり開いた毛穴は、女性の永遠の敵。この春こそ、毛穴との闘いに終止符を!

 今年1月に行われた常盤薬品工業のアンケート調査によれば、女性が抱える肌悩みのワースト1位は「毛穴」で、6割以上が悩んでいることがわかった。小鼻にポツポツとできる黒ずみやほおの凹凸など、毛穴に悩む人は世代を問わない。特にいまの時期は、毛穴の開きが加速しやすい。

 恵比寿形成外科・美容クリニック院長の西嶌順子さんによれば、毛穴が目立つ最たる原因は、角質の異常だという。

「そもそも毛穴は、年齢や環境に左右されて広がったり閉じたりすることはありません。本来、角質は約28~40日周期で新しいものに入れ替わります。ところが、これが何らかの原因でうまくいかなくなると、不完全で未熟な角質が肌表面に出てきます。そうした未熟な角質は水分を保持する能力が低い“不良品”で、乾燥や刺激によるダメージを受けやすく、毛穴をデコボコに見せるのです」

 この現象は「不全角化」といい、肌の保湿が改善のカギ。だが、やみくもに化粧水やクリームをたっぷりつければいいというものではない。冬の間の間違った保湿ケアが、春の毛穴を目立たせる一因になっている可能性も高いのだ。

「春は、体温が上がって皮脂も増え、毛穴が目立つ原因の1つである黒にきびが悪化しやすい季節といえます。冬、乾燥するからといって過剰に保湿すると、保湿剤に含まれる合成界面活性剤が肌のバリア機能を壊してかえって乾燥を激化させ、肌は乾燥を防ごうと皮脂を分泌します。その結果、増えすぎた皮脂が毛穴の中で酸化し、黒にきびになります」(西嶌さん)

 黒にきびが悪化すると炎症や膿を伴い、適切に治療しなければ痕になることもある。

 一方で、年齢を重ねることによる肌のたるみも、毛穴を目立たせる一因だ。肌内部のコラーゲンが減少して毛穴を支える力が低下し、重力で下に引っ張られることで、しずく形に開いて見える。これも同様に、適切な保湿やコラーゲンの生成にかかわるたんぱく質や鉄分、ビタミンの摂取などで改善が見込める。

あなたの毛穴は大丈夫?

●たるんだ毛穴…コラーゲンが減少して毛穴を支えられなくなり、毛穴がゆるんで見える。

●開いた毛穴…未熟なままの角質が表面に出てきてしまい、デコボコと毛穴が開いて見える。

●正常な毛穴…肌のバリア機能が正しく働いており、毛穴が引き締まって目立たない。

花粉とマスクで毛穴に大ダメージ

 青山ヒフ科クリニック院長の亀山孝一郎さんによれば、春の毛穴開きの大きな原因に「花粉」がある。

「花粉は、肌の角質層に入り込んでバリア機能を壊します。花粉症で何度も鼻をかんだり目をこすったりする刺激も肌を傷める。また、急激な日照時間の変化による自律神経の乱れは皮脂を増やして乾燥肌を激化させるほか、紫外線量が冬と比べて増加することも原因です」(亀山さん)

 一説によれば、マスクで隠れているほお、鼻、あごの方が、紫外線によるダメージは大きい。

「マスクの摩擦によって日焼け止めが落ちやすいため、春はマスクで隠れている部分こそ、日焼け止めをこまめに塗り直す必要があります。UV効果をうたっているマスクもありますが、100%防ぐことは難しい。帽子や日傘は春から使いはじめた方がいいでしょう」(西嶌さん)

 UV効果のあるマスクのほか、肌を刺激しにくい素材のマスクもあるが、実は、どんなに良質なマスクでも、肌にとっては大きなストレスになる。

「ただマスクをつけているということ自体が、肌にとってはマイナスです。ストレスホルモンのサブスタンスPが分泌されて炎症反応が起こり、皮脂分泌が活発になって毛穴が目立ちます。場合によっては、赤ら顔やじんましん、痛み、かゆみなどが出ることもあります」(亀山さん)

 さらに、暖かくなると、マスクの中は汗や呼吸で高温多湿になる。汗で蒸れると細菌が繁殖しやすくなって赤にきびの温床になるほか、蒸れたマスクを外すと、その瞬間に一気に水分が蒸発して激しい乾燥を招く。春のマスクは、毛穴にとっては最悪の環境をつくり出してしまうのだ。

ビタミンCは食べて、のんで、塗る!

 だが、いくらマスクが毛穴を開かせるといっても、ノーマスクで暮らすわけにはいかない。西嶌さんは、外しても問題ない場面でのみ、できるだけマスクを外すだけでも、肌へのダメージを格段に減らすことができると語る。

「可能なら、こまめにマスクの下の汗を拭き取ったり、日焼け止めを塗り直すなどの応急処置を。マスクで擦れやすいほお骨の部分などは、あらかじめワセリンやクリームなどを塗っておくことで、保湿しながら摩擦を軽減できます」(西嶌さん・以下同)

 そして、ただでさえマスクでストレスがかかっている肌をいたわるスキンケアを。メイクを落としたり洗顔したりするとき、ゴシゴシと擦るのは絶対に避けるべきだ。

「肌のバリア機能を壊す合成界面活性剤は、ほとんどのクレンジング剤に含まれているので、なるべく使わないこと。石けんで落とせるファンデーションや日焼け止めなどを使用し、純石けんで落としてください。純石けんは天然の界面活性剤で、洗顔後に肌に残ると、肌の常在菌のえさになるので、バリア機能を壊しにくい。すすぎは肌に必要な皮脂を落としすぎないよう、体温より少し低い34~35℃のぬるま湯で行いましょう」

 正しい洗顔を続けることで、肌の不全角化を正常にすることができる。並行して、余分な皮脂の分泌を抑え、コラーゲンを減らさないよう、内側からのケアも必要。余分な皮脂を増やす動物性脂肪は摂りすぎないように注意し、食事とスキンケアで、たんぱく質やビタミンを積極的に摂ることだ。

 コラーゲンはたんぱく質の一種のため、良質なたんぱく質を摂ることは、たるみ毛穴の改善にも役立つ。一方で、ビタミンCは過剰な皮脂の分泌を抑え、肌のコラーゲンの生成に役立つことがわかっている。

「ビタミンCはストレスや免疫にもかかわっており、全身のさまざまな器官で必要とされる栄養素。肌は命に直結する器官ではないため、体内のビタミンCは、かぜをひいたときの粘膜の修復やストレスを感じたときなどに優先的に消費されて、肌は後回しになってしまう。だからこそ、食事やサプリメントで積極的に摂ることはもちろん、ビタミンC配合の化粧水や美容液、クリームなどを使用して、内側と外側から補給することが大切です」(亀山さん・以下同)

 ビタミンCは体内でつくることができず、毎日消費されるものなので、積極的に摂取する必要がある。ただし、一度に大量に摂りすぎると尿として排出されてしまうため、毎食でビタミン豊富な緑黄色野菜やいも類などを積極的に食べるか、サプリメントで補うようにするといい。サプリメントで摂るなら、空腹時よりも食後の方がゆっくりと吸収されるので、より効果的だという。

「ビタミンCのほかにも、肌の代謝を促すビタミンAやビタミンB2、B6、高い抗酸化力を持つビタミンEも併せて摂取することをおすすめします」

 そして、自律神経やホルモンバランスの乱れは皮脂を過剰に分泌させるため、毎日6時間以上の睡眠を取ることや、ストレスを発散することも重要だ。

★自分で治せる! 春の毛穴撃退法

毛穴を改善するクレンジング、洗顔、マスク、生活習慣のケア法リスト

【クレンジング・洗顔】

・石けんで落ちるタイプのファンデーションや日焼け止めなどを使い、合成界面活性剤を含むクレンジング剤はできるだけ使わない。

・洗顔は純石けんで行い、すすぎの温度は34~35℃程度に。メイク落とし時・洗顔時ともに肌を擦らないようにする。皮脂量が多くなければ、朝はお湯だけで洗ってもよい。

・スキンケアもできるだけ合成界面活性剤を含まないものを選び、ビタミンC配合のものを使う。

【マスク】

・マスクで隠れる部分にも忘れずに日焼け止めを塗り、こまめな塗り直しをする。マスクを外しても問題ない場面では外す。

・マスクの下に汗をかいたらこまめに拭き取る。

【生活習慣】

・毎日6時間以上の睡眠を取る。

・動物性脂肪を摂りすぎないようにする。ビタミンCのほか、A、B群、Eを積極的に摂る。サプリメントで摂る際はできれば食後に。

・人と話す、体を動かすなど、ストレスを発散する。

 亀山さんは、一度開いてしまった毛穴も、正しいスキンケアと栄養摂取で肌のバリア機能を高め、ストレスを発散することで、ゆっくりだが確実に改善できると話す。今年こそ、肌悩みのない春を迎えよう。

教えてくれた人

西嶌(にしじま)順子さん/恵比寿形成外科・美容クリニック院長、亀山孝一郎さん/青山ヒフ科クリニック院長

※女性セブン2022年4月21日号
https://josei7.com/

●マスク生活が招く肌の乾燥対策 美肌のために今日からできる3つのこと【皮膚科医監修】

●肌のシミとしわ 種類と原因別対処法、クリニックでの施術用語を専門家が解説

●70才美容皮膚科医の“美肌鍋”レシピ「塩麹レモン鍋でお肌も体も喜ぶ栄養をしっかり摂る」

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