高齢者におすすめのベッドとは?選び方や気になる電動ベッドなど睡眠コンサルタントが解説
高齢になると布団の寝起きは足腰に負担がかかるもの。「そろそろベッドにしたほうがいい?」と考えている人のために、睡眠コンサルタントの友野なおさんに、高齢者のベッド選びについて教えてもらった。これから買い換えるなら“電動ベッド”がおすすめの理由とは…。
高齢者にベッド生活がおすすめの理由
高齢者の寝室は“布団”を使っているという人も多いかもしれないが、睡眠コンサルタントの友野なおさんは、
「足腰への負担を考えると、布団よりもベッドのほうがおすすめです」
と語る。
「布団での寝起きは、しゃがんだり立ち上がったりという動きが必要。これは筋力が衰えてきた高齢者にとって大きな負担になるし、ケガのリスクも…。足腰はもちろん膝の負担を軽減するためにも、布団よりベッドがおすすめです。
寝起きがスムーズになることで起きた後の行動もラクになり、QOL(Quality of Life:生活の質)の向上にもつながると思います」(友野さん、以下同)
また、介護する人にとっても腰に負担がかからないので、まさに両者にメリットが大きい。
いつからベッドにすべき?
では、いつごろからベッドへの切り替えを考えるべきだろうか。
「目安として、
・床から立ち上がるのがしんどい
・膝や腰が辛いといった状態
になったら、布団からベッドへの切り替えどきかもしれません。
『体力が落ちた…』と落ち込むのではなく、『ベッドに切り替えることで前より動きやすくなる』とポジティブに考えてほしいと思います」
高齢者におすすめのベッド選び3つのポイント
健康長寿には良い睡眠が欠かせないと友野さんは語る。いつまでも元気でいるために早いうちに体に合ったベッドで、かつ将来を見据えたものを選んでおけば、やがて介護が必要なときにも役立つ。
高齢者向けのベッドの選び方について友野さんに教えてもらった。ポイントは、以下の3つ。
1.高さは?
「ベッドは膝の位置よりもやや高めを選ぶと立ち上がるときに安全です。ただし、座った時に足がブラブラしない高さに。座ってみて両足で立ち上がれる高さかどうか、チェックしましょう」
ベッド自体に高さを調節できる機能があるタイプも。また、マットレスの高さで調節する方法もある。
「車いすを使う生活の場合は、ベッドと車いすの移動がストレスなく行える高さに調節するといいでしょう」
2.大きさは?
「一般的な“介護用”のベッドは、通常のベッドよりも幅が狭めになっていて、幅81cmと90㎝のタイプがあります。幅が狭いほうが介護する人の作業がしやすいとされています。
小柄な人(150㎝以下)の場合は、81㎝サイズでもいいのですが、部屋に余裕があるなら幅90cmタイプを選んでおくといいでしょう。81cmタイプでもフレームなどを入れると、幅90㎝×長さ190㎝くらいになります。
3.部屋に置ける?
「介護が必要になったときを考えると、ベッドの周りにスペースを空けておくほうが介助はしやすいんです。壁際にぴったりくっつけてしまうと、片側からしか介助できなくなってしまいます。
人が移動するには60~80㎝、車いすで移動する場合は1メートルくらいの余裕が必要になるため、購入前に部屋とベッドのサイズを検討しておきましょう」
→大地震発生!運命の選択|ベッドと家具の配置安全なのはどっち?
電動ベッドのメリットとは
「介護用の電動ベッドは、リクライニング機能で寝起きがさらに簡単にできるようサポートしてくれます。起き上がるのがラクになると、次の行動がしやすくなります。
また、上体を起こすと景色が変わりますし、呼吸もしやすくなってリフレッシュできるなどのメリットも。
電動ベッドには、足を上げるフットリフト機能があるものも。足のむくみや疲れを軽減してくれたり、ケースに応じて高さが変えられる高さ調節機能が付いたものもあります。
また、最近の電動ベッドは、デザインがおしゃれなものもあり、すぐに介護が必要ではない人も『いずれ使うのなら』と、早いうちから電動ベッドを購入するケースも増えています」
そこで友野さんおすすめの電動ベッドを教えてもらった。高齢者の暮らしを快適にしてくれて、インテリアにもフィットするおしゃれな電動ベッドをピックアップ。
高齢者向けの電動ベッド5選
「介護ベッドといっても、いかにも介護用といったがっしりしたタイプだけでなく、最近は見た目には普通のベッドと変わらないものが増えてきました。
リクライニングやフットレストなどは、介護が必要でない方にとっても便利で快適な機能なので、健康なシニアにもぜひ使ってみてほしいですね」
介護が始まったときには、手すりやテーブルなどを追加していくという方法もある。要介護の人には、介護保険が適用になることもあるので、ケアマネージャーに相談を。
→プロが教える在宅介護のヒント 福祉用具専門相談員・山上智史さん<第1回>
※価格はすべて税込み。介護・介助用の特殊寝台としての条件を満たしたものは非課税となる。
1. パラマウントベッド 「インタイム1000シリーズ」
「介護用ベッドのパイオニア、パラマウンベッドによる電動ベッド。シンプルなデザインで、パッと見ただけでは通常のベッドと変わりませんが、リクライニング(背上げ機能)、フットレスト(膝上げ機能)、高さ調節など多様な機能が付いて、動きと眠りが快適になるようサポートしてくれます」
機能だけでなく、サイズやデザインがとても豊富。予算や好み、部屋の雰囲気に合わせて自由にカスタマイズできる。オプションでテーブルやバーも取り付け可能。
【データ】
商品名:パラマウントベッド 「インタイム1000シリーズ」
全長:203.5cm×全幅100.5cm
価格:14万5000円~(非課税)
https://intime.paramount.co.jp/item/intime1000/
2. 西川 電動リクライニングベッド(特殊寝台)
寝具の老舗である西川が、パナソニックとコラボして作った電動リクライニングベッド。
「家電メーカーさんとの共同開発だけあって、動きがなめらかできめ細かいのが特徴。体のカーブに合った自然な姿勢に導いてくれるので、無理のないラクな体勢がキープできます」
もちろんテーブルやサイドレールなど、必要に応じたオプションも取り付け可能。無駄を省いたスタイリッシュなデザインで、部屋にも合わせやすい。
【データ】
商品名:西川 電動リクライニングベッド(特殊寝台)
全長:205.2cm×全幅99.8cm
価格:50万円(ベッド&マットレス・非課税)
https://www.andfree.jp/product/reclining.html
3. フランスベッド イーゼル(シングルサイズ)
「歴史ある日本生れのベッドメーカーで、それだけに日本人の体型に合ったベッドを研究し続けてきた信頼のブランドです。
特に私がフランスベッドさんでおすすめするのが、高反発タイプのマットレス。高齢者にとっては、適度な高反発マットレスのほうが、体が沈みすぎず寝がえりがしやすいんです。高品質なマットレス付きでこの価格は、とてもコスパがいいと思います」。
2本のサイドレールも付いて、起き上がりもさらに安心。
【データ】
商品名:フランスベッド イーゼル(シングルサイズ)
全長:202cm×全幅98cm
価格:12万6800円(非課税)
https://medical.francebed.co.jp/kaigoyouhinonline/item/201142213.html
4. ニトリ 背と脚が独立可動する電動ベッド
「これは本当にお値段以上の価値がある」と口コミでも評判の電動ベッド。
まず頭部を持ち上げ、次に上体が上がるしくみで、やさしく抱きかかえられるような自然な感覚で起き上がれる。フットリフトも可能。必要最小限な機能なだけに、リモコンもとてもわかりやすい。ベッド中央部分から折りたたむことができ、コンパクトに収納できる。多層構造のボリュームあるマットレス付き。
【データ】
商品名:ニトリ 背と脚が独立可動する電動ベッド
全長:194cm×全幅104cm
価格:5万4780円
https://www.nitori-net.jp/ec/product/2040035s/
5. アイリスオーヤマ 折りたたみ電動リクライニングベッド
背もたれと脚が連動して動くタイプで、体がずり落ちることなく安定感のある姿勢をキープすることができる。
マットレスは点で支える設計で体圧分散しやすく、体重のかかりやすい腰の部分は特に硬めのウレタンを使用。へたりにくいので長く快適に使える。力を入れずに折りたたむことが可能で、省スペースにもなる。手すり付き。
【データ】
商品名:アイリスオーヤマ 折りたたみ電動リクライニングベッド
全長:203.0cm×全幅97.5cm
価格:4万480円※
https://www.irisplaza.co.jp/index.php?KB=SHOSAI&SID=K535774
※2020年12月3日編集部調べ。
高齢者におすすめのベッドでいつまでも元気に
高齢者の睡眠には、布団よりベッドがおすすめ。さらに、電動ベッドなら寝起きがラクで快適に。「寝起きが辛い…」と布団から出るのが億劫になってしまうと活動量が減ってしまいかねない。いつまでも自立した生活を送るため、そして介護する人のために、ベッドを検討してみてはいかがだろうか。
教えてくれた人
睡眠コンサルタント 友野なおさん
睡眠コンサルタント。睡眠の改善より、15㎏のダイエットと重度のパニック障害を克服した経験から、睡眠を専門的に研究するように。企業のコンサルのほか執筆やメディア出演も多数。ブログでは、質の良い睡眠や気持ちのいい目覚めについてのヒントを数多く掲載。公式サイト http://tomononao.com/
取材・文/中条礼子
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