そのサプリは効いている?「プラシボ効果」の場合も…医師が教えるサプリメントの真実
ドラックストアや通販などで、数えきれない程のサプリメントが売られている。体に良いからと摂っている人も多いと思うが、少しの期間の摂取で効かないからとやめてしまう人もいるかもしれない。そもそもサプリメントはどう付き合うべきなのか。現役医師と公益財団法人食の安全・安心財団のおふたりに、サプリメントの役割やとり入れ方などを教えてもらった。
足りないものを補うのがサプリメント
今年9月、医薬品ではないサプリメントを「新型コロナウイルス対策に効果がある」と宣伝して売った業者が書類送検される事件が起きた。
「サプリメントとは英語で『補給』という意味。本来、不足のない人、つまり1日30品目食べていて健康に自信がある人なら、のむ必要はありません。効果も実感しづらいでしょう」(内科医の秋津壽男さん)
■サプリメントには3つの種類がある
公益財団法人食の安全・安心財団理事長の唐木英明さんが解説する。
「サプリメントには、ヒト臨床試験で効果と安全性が証明された『トクホ(特定保健用食品)』、臨床試験はしていないが効果と安全性を示す証拠がある『機能性表示食品』、なんとなく効きそうなだけの“いわゆる『健康食品』”の3つがあります。その中には、免疫機能の維持に役立つという機能性表示食品もありますが、それらのサプリメントが新型コロナの予防に効くといった証拠はありません」(唐木さん・以下同)
8割の人が効いたと思い込む「プラセボ効果」だったという実験結果が!
そもそも、明らかな効果があるならば、それは「医薬品」をうたっているはず。商品に効果がないのに「効いている」と感じるなら、それは思い込みの「プラセボ効果」が起きていると考えられる。
「“痛みをやわらげる”として販売されていたとあるサプリメントの臨床試験を行ったところ、被験者の半分は有効成分の入っていない『偽薬』をのんだにもかかわらず、なんと8割の人が『痛みが軽くなった』と答えています。つまり、サプリメントの有効成分以上に、『気持ち』の方が効いたというわけです」
プラセボ効果が出やすいのは痛み、不安、不眠など、心の状態が特に影響しやすい症状だ。 一方、メリットがあるとわかっている栄養成分もある。
■効果が証明されている成分も
「免疫力を上げるのに役立つビタミンDは、血中濃度が30ng/ml以上ならコロナに感染しにくくなり、もし感染しても重症化しにくいという報告があります。腸内環境を整える乳酸菌や食物繊維のものも、免疫を司る腸を健全化する効果が期待できます」(秋津さん・以下同)
もちろん、効果があると証明されているのはその「成分」のみ。ビタミンDなどの脂溶性ビタミンは、過剰摂取することでかえって体調を崩す恐れもある。サプリメントをのむ場合は、必ず摂取量の目安を守るようにしたい。 日々、新しい健康法が次々と喧伝(けんでん)され、「健康にいい」と紹介された食材が店頭から消えたこともある。
■最低でも1年は継続を
「健康法の効果は、続けなければわかりません。5~10年続けて、やっと効果があるか、副作用がないかがわかってくる。最新の健康法に安易に飛びつかず、せめて1年は待ってみてほしい。1年後も効果があるといわれているなら、その健康法はある程度期待してもいいでしょう」
健康に早道はないようだ。
まとめ
・1日30品目食べいて、健康に自信のある人はサプリメントは必要ない
・サプリメントには『トクホ(特定保健用食品)』『機能性表示食品』『健康食品』の3つの種類がある
・「効いている」というのは思い込みの可能性も…
・ビタミンDは、血中濃度が30ng/ml以上ならコロナに感染しにくくなり、もし感染しても重症化しにくいという報告がある
・過剰摂取で体調を崩すことも。摂取量は厳守を
・せめて1年は続けてみる
教えてくれた人
秋津壽男さん/内科医、唐木英明さん/公益財団法人食の安全・安心財団理事長
※女性セブン2020年12月3日号
https://josei7.com/