’21年介護保険制度改定では利用者の負担が激増!最大約10万円増の人も
認知症を患う人は年々増えている。団塊世代が後期高齢者になる2025年には700万人以上、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症の時代がやってくる。
そのような状況にもかかわらず、介護にかかる費用は今後負担が増える懸念があるのだ。まず、認知症にかかると介護費用はどのくらい必要なのか見ていこう。
認知症介護にかかるお金はどのくらい?
家族が認知症になると、様々な費用がかさむ。具体的にかかる費用は以下の通りだ。
●在宅介護にかかるお金の目安(要介護度3で介護費1割負担の場合)
・在宅介護→月額平均6万円
内訳(介護サービス利用費2万5000円、おむつや医療費など3万5000円)
※家計経済研究所「在宅介護のお金と負担調査」(http://kakeiken.jp/old_kakeiken/jp/research/kaigo2016/2016result1.html)より
・福祉施設利用→月額平均約15万~30万円、一時入居金0~約300万円
(入居一時金は前払い金として利用料を先に払う場合かかる)
・家の改修費・車いす代など→平均69万円
※生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査平成30年」(https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/h30zenkoku/2018honshi_all.pdf)
・その他
成年後見人の報酬額→月額2万~6万円
(弁護士などが成年後見人になった場合)
認知症の検査費→数千~約2万円
21年の介護保険制度ではここが変わる
その一方で、医療費・介護費の負担は増え、公的サービスは減少していく流れが鮮明だ。3年に一度行なわれる介護保険の制度改定では、利用者に負担を強いる方策が次から次へと検討・実施されているのだ。
介護アドバイザーの横井孝治氏は以下のように解説する。
「2021年の改定では導入が見送られそうですが、介護保険サービスの利用者負担原則2割(現状1割)や要介護1・2に対するサービス内容変更が今後、実施されていくのは既定路線と考えられます」
まず直近の改定で頭に入れておきたいのは、介護費用が上限額を上回った場合に払い戻される「高額介護サービス費」と施設介護の費用の一部を給付する「補足給付」の2つだ。
1:高額介護サービス費の上限が上がる!
21年4月から高額介護サービス費の所得区分が変わり、年収が高い人はこれまでより自己負担の上限額が最大で約10万円増える。
2:低所得者の施設利用料の負担が増加する!
一方、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの公的な福祉施設で介護を受けている場合、住居費、食費、光熱費など介護サービス以外について費用の給付を受けられるのが補足給付だ。
「これはまだ詳細が確定していませんが、預貯金などの『資産条件』が厳しくなります。これまではざっくり言うと1人1000万円までなら給付を受けられたのですが、今後は資産が500万円以下でないと給付されないケースも出てくる」(前出・横井氏)
→介護施設の食費が6万円も安くなるのはどんな人?|知らないと損する介護保険の話
教えてくれた人
横井孝治氏/介護アドバイザー。介護情報サイト「親ケア.com」を運営する株式会社コミュニケーター代表取締役社長。
※週刊ポスト2020年10月30日号