免疫力をアップする世界の調理法|「ヨーグルトはスープ」「ブロッコリーは揚げて」
ヨーグルトやビタミン豊富な野菜、発酵食品など免疫力を高める食材。日本でおなじみの食材も、世界ではまったく違う調理法で、免疫力アップ料理として食卓に並んでいる。世界の料理に詳しい専門家のみなさんに、その調理法や食べ方について教えてもらった。
ヨーロッパならではの食材と調理法
パリ在住のジャーナリスト・羽生のり子さんは、ヨーロッパならではの調理法を紹介。
「自粛期間中は日光を浴びる時間が減り、ビタミンDの不足が問題になっていました。そのためフランスでは、ビタミンDが豊富な青魚を週に1~2回食べることが推奨されています。ヨーロッパには、『キッパー(燻製ニシン)』を牛乳で煮た伝統料理があり、ロンドンの高級ホテルの朝食にも出てきます。切り身をパンにのせて食べるのが一般的です。また、ビタミンDが多いしいたけも人気の食品で、フランスではマッシュルームより高価です」
料理研究家で『ビーツ、私のふだん料理』(扶桑社)著者の荻野恭子さんも、定番野菜の意外な調理法を明かす。
「大根の一種であるビーツは、ロシア料理のボルシチに欠かせない野菜。ヨーロッパでは丸ごとオーブンで焼いたり、フレッシュジュースにも。免疫活性作用があるβカロテンが豊富なにんじんは、イランでは細切りにして米と炊きこみ、ピラフにするのがメジャー。ほかにも、地中海沿岸ではブロッコリーは茹でると栄養が流れ出てしまうので、ミネストローネにして煮汁まで食べる。“揚げブロッコリー”にして塩とレモンで食べることもよくあります。茹でるより、揚げる方が栄養価をキープできるからです」
ヨーグルトは「冷製スープ」にしてたっぷり摂取
ヨーグルト発祥の地といわれるブルガリアでは、ヨーグルトをそのまま食べるだけでなく、冷製スープにする。
「ボウルにヨーグルトと水を入れて混ぜ、きゅうりの薄切りとくるみのみじん切りを入れて『タラトル』というスープにします。現地では身近な家庭料理です。飽きることなく、ヨーグルトをたっぷり摂取できるのでおすすめです。エジプトの名物料理『モロヘイヤのスープ』も、ウイルスを撃退するビタミンAが豊富。鶏ガラスープに、にんにくで炒めたモロヘイヤが入っているシンプルな料理です」(管理栄養士の菊池真由子さん)
日本人の基本は和食
世界には、私たちが見たこともないような食品や料理がたくさんあるが、日本人にとっては、やはり和食が基本だ。名古屋学芸大学健康・栄養研究所所長で『100歳まで自然に元気な和食の流儀』(白秋者)著者の下方浩史さんが話す。
「日本食は、漬けもの、納豆、みそ、しょうゆと発酵食品が多く、魚介類には免疫機能に重要なビタミンD、亜鉛、セレンが含まれます。私たちは和食を食べているだけで、自然に免疫機能が高まっているのです」
バランスのいい和食を食べるだけでも充分だが、免疫力は、さまざまな「菌」を取り入れるほど強力になる。
「海外の食品には、日本の食品にはない菌があります。それらを和食と組み合わせることで、相乗効果が期待できるのです」(管理栄養士の中沢るみさん)
自由に海外旅行を楽しめる日が来るまで、世界の食品を食べて強い免疫力を養いたい。
※女性セブン2020年6月18日号
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