介護サービスは案外多い!知って得する公的制度、自治体・民間の支援を紹介
介護にかかるお金が心配。そんな時に最初に思い出してほしいのが「地域包括支援センター」の存在だ。地域包括支援センターは、市町村の中学校区ごとにある高齢者支援のよろず相談所。介護保険の申請手続きのほか、サービス内容やケアマネジャー(ケアマネ)なども紹介してくれる。
申請をすると認定調査を経て要介護認定が行われ、要介護度(非該当、要支援1・2、要介護1~5の8段階)が決められる。そして、要介護度が決まると、1か月に使えるサービスの限度額がわかるので、ケアマネと相談しながらケアプランを立てられる。
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費用に関していうと、介護保険のほかにも、市町村が独自に行っている高齢者サービスはけっこうある。また、働きながら介護するための介護休暇など、勤務先の制度も知っておくとよいだろう。
介護休業・休暇は認められた権利
2011年10月から1年間に、家族の介護・看護をするために仕事を辞めた人は全国で約10万人(総務省統計局「平成24年就業構造基本調査」)。社会保険労務士の井戸美枝さんはこう語る。
「介護離職する人を減らすために育児・介護休業法が改正され、2017年1月から介護休業や介護休暇が取りやすくなりました」
介護休業は介護をするための休業制度で、休業期間は介護が必要な家族1人につき、3回を限度に通算93日間。休業中は雇用保険から給与の67%の介護休業給付がもらえる。これとは別に、年間5日間の介護休暇も半日単位で取得できる(有給か無給かは会社によって異なる)。
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仕事と介護の両立を!自分らしい働き方を応援する「改正育児・介護休業法」を解説
航空会社の「介護割引運賃」、民間の「食事宅配」「ごみの回収」などの支援も
また、遠距離介護の強い味方が、航空会社の「介護割引運賃」。
介護のために飛行機を利用する人に対して運賃を40%程度、割り引いてくれるので上手に活用しよう。
要介護認定を受けても「非該当」となると、介護保険のサービスは利用できない。
だが、自治体によっては介護保険の認定を取らなくても、配食や買い物などの家事支援、介護予防のための体操教室、ごみの回収支援などを行っているところもある。ひとり暮らしの高齢者の栄養管理は、コンビニや生協、食品メーカーなどの弁当や食材の配達を利用する手も。
警備会社やタクシー会社の見守りサービスは、自宅に設置した緊急通報ボタンを押すと、駆けつけ確認や救急車の手配をしてくれる。民間サービスの利用に対して補助をしてくれる自治体もある。
家のバリアフリー化にも介護保険は適用 福祉用具もレンタルできる
在宅介護を支援するために、介護保険では住宅の改修や福祉用具のレンタルにも給付を行っている。廊下やトイレの手すりの取り付け、玄関の段差をなくすスロープ工事など住宅の改修をした場合に、20万円を限度に支払った費用の8~9割を払い戻してくれる。
また、車いすや電動ベッドなどの福祉用具はレンタル費用の1~2割で利用できる。レンタルになじまない排泄や入浴などに使う便座や風呂用の椅子などは、指定された事業者から購入すると費用の補助がある(払い戻し限度額は8万~9万円)。いずれも事前の申請が必要なのでケアマネに相談を。
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プロが教える在宅介護のヒント 福祉用具専門相談員・山上智史さん<第1回>
解説:井戸美枝
年金・社会保障問題を専門とし、著書に『【図解】2018年度版 介護保険の改正 早わかりガイド』(日本実業出版社)など多数。
※女性セブン2018年3月8日号
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