感染源は家族が大半!老親との接触には注意が必要。規制緩和後も帰省は慎重に
新型コロナウイルス発生の真冬から春を経て初夏にさしかかっても、自宅の窓から季節の移ろいを眺めるだけの日々が、いまだ続く。ただ、そんなストレスフルな生活にも、ようやく光明が見え始めた。
新型コロナの新規感染者数は、全国的に明らかに減少傾向に入った。たしかに逼迫した医療現場を立て直すために政府は緊急事態宣言を5月末まで延長。しかし、さらなる感染者減が確認できるなどすれば、期間内でも宣言を解除する方針だ。
クラスターは家庭内で発生している
しかし、油断してはいけない。これまでクラスター(感染集団)の発生は「夜の街」やカラオケ、スポーツジムなど「3密」の場とされてきた。しかし、現在進行形でクラスターが発生しているのは、実は「家庭内感染」なのだ。
→父の職場でクラスター発生!そのとき我が家は…家庭内隔離で大混乱
感染者が突出して多い東京都を例にとると、3月下旬の段階で家庭内感染はレアケースとみられていた。ところが、5月2日には、新規感染者の160人のうち、感染経路が判明した90人弱の中で実に33人が家庭内感染だったことが明らかになった。
東京都福祉保健局の担当者はその日の会見で「4月24日時点では、家庭内感染がおよそ14%だったが、5月1日には38%まで上がっている。家庭内感染が広がっている」と危惧した。
埼玉県でも、3月は36%だった勤務先や飲食店などでの感染が、4月は23%に低下。一方、3月は10%だった家庭内感染が、4月は21%に倍増した。
若者が身内の高齢者にうつす
家庭内感染の中で最も警戒すべきは、重症化リスクの高い高齢者や持病を持つ人への感染だ。重症患者の増加は、医療崩壊につながりかねない。
新型コロナで3万人近い死者が出たイタリア。65才以上が占める割合が22.8%とEU内では最も高いことが災いしたとされる。
「イタリアでは70才以上の高齢者が感染者全体の約4割を占め、死者のうち9割を占めています。それは、高齢化率が高いことだけが原因ではありません。イタリアは慣習的に、リタイア世代と現役世代と子供たちが3世代にわたって一緒に暮らす大所帯が多いことでも知られています。若い世代が外出先で感染し、同居するお年寄りに家庭内感染で広め、医療崩壊に陥ったと推測されます」(前出・医療ジャーナリスト)
イタリアを抜き、65才以上が人口に占める割合が28.4%の「超高齢化社会」である日本だが、幸いにも核家族化が進んでいて、高齢者と若年層の同居率は高くない。それでも、3世代同居率が高い地方では、家庭内感染のリスクが必然的に大きくなる。
4月下旬、島根県では30代男性が家庭内クラスターの引き金になった。同居する80代男性、50代男性、50代女性、20代女性、乳幼児の男児が次々と陽性と判定されたのだ。
もちろん注意すべきは同居ばかりではない。4月上旬、山形県新庄市で家族・親族の集まりに参加していた60代男性のほか、乳幼児を含む5人が感染した。
「その集まりには、60代男性の息子が東京から帰省して参加していました。家庭内クラスターの感染源となったのはその息子とみられています」(地元紙記者)
緊急事態宣言の緩和とともに、ゴールデンウイークに見送った里帰りを希望する人が増えるはずだ。だが、実家への帰省は大きなリスクとなることを肝に銘ずるべきだろう。
※女性セブン5月21・28日号
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