ハンドソープを3倍に薄めてもウイルスが消えた！感染制御学の研究に裏打ちされた対策グッズ

　消毒液不足の“救世主”は、実は家庭に眠っているという。ウイルス感染制御学の専門家が、ある研究結果を発表した。研究でわかったウイルス対策グッズをまとめた。続く難局を乗り越えるため、ぜひご覧いただきたい。

　相変わらず街のドラッグストアからはアルコールなどの消毒液は姿を消したまま。ネット通販で売られてはいるものの価格は高騰している。手指の消毒だけでなく、身の回りのものの消毒殺菌のために使える“身近なもの”はないのだろうか―

　そんな悩みを持つ人のために、4月中旬、北里大学大村智記念研究所の片山和彦教授（ウイルス感染制御学）のグループが、日用品を対象にした新型コロナウイルスの「不活化効果」の研究を発表した。「不活化」とはウイルスの構造を破壊し感染力を失わせ、死滅させることをいう。

　この実験が興味深いのは、いわゆる「消毒液」ではなく、どの家庭にも常備してあるような、エタノールや界面活性剤を含んだ市販の製品などを対象に、ウイルス除去の効果があるかを確かめた点だろう。片山さんは次のように説明する。

「新型コロナウイルスは『エンベロープ』と呼ばれる脂質を含む膜に包まれています。エタノールや界面活性剤は、その脂質成分に反応してエンベロープを破壊することで、ウイルスの感染力を失わせます。同等の成分が含まれていれば、実験をした製品と同じ効果を得られるかもしれませんが、今回公表した製品以外は実験を行っていないので確実な保証はできません。製品名を公開したのは、間違いなく効果のある製品を使っていただきたいからです」

ハンドソープは3倍に薄めてもOK

　実験方法は次のとおりだ。約1万個の新型コロナウイルスが入った溶液に各製品を加え、1分間または10分間放置。その際、製品に記載された使い方を参考に、洗剤など希釈が必要なものは希釈して使った。　

　具体的な結果は以下にまとめた。研究ではスーパーやドラッグストアに充分に在庫がある商品でも効果があることがわかったので、さっそく使ってみようと思った人も多いだろう。特に“お得”な情報だったのは、『ビオレu薬用泡ハンドソープ』『ビオレガード薬用泡ハンドソープ』などの手洗い石けんは、3倍に薄めたものでも不活化効果があったことだろう。今後、ハンドソープを薄めて使えば、ストック切れを避けられるし、何よりリーズナブルだ。