「いわし」「さば」健康料理術|老化防止、血糖値改善、不眠やうつ対策にレシピ5品
旬の青魚には脳や体にうれしい栄養素がたっぷり。生でも焼いてもおいしいけれど、ほかの食材と合わせて料理すれば最強のパワーフードとなる。そこで、医師監修による、体にいい青魚の健康効果をより高める調理法とともに、今回はいわしとさばを使った、元気になるプロ直伝のレシピを揃えた。
青魚とは背中が青く、身の赤い魚を指す。今が旬のいわし、さば、ぶり、さんまのEPA含有量は、魚の中でもトップクラスのものばかり(文部科学省「日本食品標準成分表」より)。青魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(イコサペンタエン酸)には、以下のような健康効果があるといわれる。
DHA、EPAの健康効果
■血糖値を改善
食べ物が胃から小腸に送られる時間を遅くしてくれるので、血糖値の上昇が穏やかになり糖尿病予防に。
■老化を防止
脳内の血流をよくし、記憶力や観察力など脳機能を高めてくれる。物忘れや認知症予防になるという発表も。
■不眠・うつ対策
「幸せホルモン」と言われるセロトニンの分泌を促すことから、心の免疫力を高めリラックスした気持ちに。
■血圧の改善
血管を柔らかくし、血中の脂質を減らしてくれるため、血液の流れがよくなり、血圧が下がり動脈硬化予防
■免疫力のアップ
抗炎症作用により腸内環境を整えることで免疫力がアップ。ひいてはがん予防やアレルギー改善につながる。
■肥満・肌荒れ対策
腸内環境が整いお通じがよくなる。ダイエット効果だけでなく老廃物が排出されて美肌にもつながる。
体にいいオメガ3系脂肪酸を安価な青魚でたっぷり摂る
「青魚の脂に含まれるDHAとEPAはどちらも体内で作ることができない必須脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)。とくに成人には、血管や血流の健康を改善してくれるEPAが不可欠な栄養素です」
こう語るのは、生活習慣病、甲状腺疾患、更年期障害などが専門で近著に『医者の新常識 病気にならない最高の食べ方』(さくら舎)がある、工藤内科副院長の工藤孝文さんだ。
同じオメガ3系脂肪酸に、アマニ油やえごま油もあるが、高価で使い慣れない人も多い。その点、旬の青魚はスーパーで手軽に購入でき、たんぱく質などの栄養素も摂れる。
「脂が魚の体内にあるため酸化しづらく、栄養素を丸ごと摂れるのがメリットです」(工藤さん)
DHAとEPAを効率よく摂るには生食が理想だが、熱を加えるなら揚げものより焼きもので。さらにほかの食材と組み合わせて、より効果的に栄養素を取り入れよう。
青魚をより効果的に食べるには? Q&A
せっかく青魚を食べるなら、より効果的な食べ方を知りたいところ。そこで、食べ方にまつわる疑問を3つ、工藤さんに解説してもらった。
Q.魚によって健康効果は違うの?
DHA、EPAの含有量は異なるが、栄養の質や効果は同じ。含有量の多い魚を選ぶのもよいが、入手しやすい魚を継続的に食べることが大切。
Q.どんな調理法が効果的?
新鮮なほど栄養が豊富なため、生食が一番。加熱の場合、グリル→フライパン→揚げるの順でDHA、EPAが減少(※)。煮ものは煮汁も利用して。
※生食を100%とした場合のDHA・EPAの残る割合。グリル90%>フライパン80%>揚げる50%
Q.1日にどれだけ食べればいい?
DHA、EPAは成人で1日1g以上摂取が目標。あじ、いわしなら1尾(約100g)、さば缶なら70g(約1/2缶)が目安。夜より朝食べるのが理想的。
もっと元気になる「いわし」と「さば」レシピ
ここからは、いわしとさばの健康効果をより高めてくれる“相棒”食材との手軽な調理法をご紹介。食べ合わせのコツを押さえればアレンジも可能。青魚料理のレパートリーがさらに広がります。
■いわしの選び方
比較的安価なのにEPA含有量は全ての魚の中でトップ。斑点が鮮やかでどっしり太ったものほど脂のりがいい。
■さばの選び方
「今年はとくに脂がのって美味」とプロも太鼓判を押す青魚。目が澄んでいて太くハリのあるものを選ぶ。
【免疫力アップに】いわし丸ごとパッツァ
※以下、レシピの材料はすべて2人分。めんつゆはストレートを使用。
ミニトマトなど緑黄色野菜やにんにく、オリーブオイルは抗酸化作用を持つ。さらにかぶなど根菜の食物繊維が腸内環境を整えてくれ、ダブルで免疫力強化に。
(材料)
いわし…4尾 あさり(殻つき)…100g かぶ(中)…1個 ミニトマト…8個 にんにく…1片 白ワイン…大さじ4 オリーブオイル…大さじ1 塩・こしょう…各適量
(作り方)
【1】いわしは内臓をぬき、塩を振って10分おき、洗い流したらふきとって塩、こしょうする。にんにくは薄切りに、かぶは8つに切り、葉は4㎝長さに切る。
【2】フライパンにオリーブオイル、にんにくを熱し、いわしを両面焼き、火が通ったらあさり、ミニトマト、かぶを加える。白ワインを振り、ふたをして7~8分蒸し焼きにする。
【老化防止に】いわしのカレー蒲焼丼
ブロッコリーやパプリカのカロテン、オリーブオイルの抗酸化作用が肌の老化を防止。ブロッコリーの葉酸は認知症予防にも。卵黄のコリンは脳機能アップ。
(材料)
いわし(開き)…4尾 <A カレー粉…小さじ1 小麦粉…大さじ2> <B めんつゆ・みりん…各大さじ2 水…大さじ4 チューブしょうが…小さじ1> ブロッコリー…50g パプリカ…1/4個 オリーブオイル…大さじ1 温泉卵…2個 雑穀ごはん(レトルト)…2パック
(作り方)
【1】いわしにAをまぶす。ブロッコリーは小房にし、パプリカは乱切りにする。
【2】フライパンにオリーブオイルを熱し、【1】を焼く。Bを加え、軽く煮詰める。
【3】器に雑穀ご飯と【2】を盛り、温泉卵を添え、煮汁をかける。
【血糖値改善に】いわしとにんじんのラペ
にんじんにたっぷり含まれる食物繊維、抗酸化ビタミンが血糖値の上昇を緩やかにしてくれる。主食は繊維の多い雑穀パンやライ麦パンがおすすめ。
(材料)
いわし(刺身用)…100g にんじん…1本 <Aはちみつ…大さじ2 レモン汁…大さじ3 オリーブオイル…大さじ1・1/2塩・こしょう…各少量 レーズン…大さじ2> パセリ・胚芽パン…各適量
(作り方)
【1】にんじんはせん切りにし、塩小さじ1/2(分量外)を振りかけしんなりするまでおく。
【2】ボウルにAを混ぜ、細切りにしたいわし、水気を絞った【1】を加えて和える。1時間以上冷蔵庫で寝かせたあと器に盛り、パセリのみじん切りを振り、胚芽パンを添える。
【肥満・肌荒れ対策に】さばと豆腐のキムチ煮
豆腐のビタミンB群が肌のツヤと潤いをキープ。キムチは乳酸菌と食物繊維で腸内環境を改善し、さらにカプサイシンが脂肪を燃焼させてダイエットにも。
(材料)
さば(切り身)…2切れ 木綿豆腐…1/2丁 長ねぎ…1/2本 キムチ…100g <A めんつゆ…大さじ3 水…1カップ>
(作り方)
【1】木綿豆腐は一口大に切る。長ねぎは斜めに切る。
【2】鍋にキムチ、Aを煮立て、さば、木綿豆腐、長ねぎを入れ、落としぶたをして6~7分煮る。
【不眠・うつ対策に】さばと豆のクリームペンネ
バター、牛乳、チーズなど乳製品、また豆類のトリプトファンが快眠を導くセロトニンの分泌を助けてくれる。玉ねぎの香り成分も不眠改善に。
(材料)
さば(3枚おろし)…1/2尾 ペンネ…120g ミックスビーンズ(水煮)…1パック(50g) たまねぎ…1/4個 チューブ入りにんにく…小さじ1/2 小麦粉…大さじ2 バター…20g 顆粒コンソメ…小さじ1/2 牛乳…カップ1・1/2 塩・こしょう…各適量 粉チーズ・イタリアンパセリ…各適量
(作り方)
【1】さばは一口大に切り、塩、こしょうする。玉ねぎは薄切りにする。ペンネは表示時間どおりゆでる。
【2】フライパンにバター、チューブ入りにんにく、たまねぎを入れて炒め、さばを加えて両面焼く。小麦粉を振り入れ、均一に混ぜたら牛乳を少しずつ加え、とろりとするまで煮詰める。ゆでたペンネ、顆粒コンソメ、ミックスビーンズを加え、塩、こしょうで調味する。
【3】器に盛り、粉チーズをかけイタリアンパセリを飾る。
撮影/キミヒロ、菅井淳子、玉井幹郎 レシピ考案・調理/清水加奈子 イラスト/吉井みい
※女性セブン2019年11月21日号
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