事例でみる医療ソーシャルワーカーの役割<2>【プロが教える在宅介護のヒント】
医療ソーシャルワーカーは、普段、あまり関わる機会がない専門家だが、病気やけがで入院したときや、退院後の生活上の悩みを聞き、相談にのってくれる存在だ。
医療ソーシャルワーカーが患者や家族にどのような支援をしているのか、国立千葉大学医学部附属病院地域医療連携部のソーシャルワーカー、葛田衣重さんに身近な事例をあげて紹介してもらう。
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ありのままに小さな悩みも心配せず相談を
急性期病院では、医療ソーシャルワーカーの仕事は、ほとんどが「退院支援」です。しかし、患者さんによって、必要な支援は千差万別です。まずはじっくり、相談を受けた方のお話をうかがい、「その人らしい生活」を自立して継続するために”活用できる社会資源”を検討します。
社会資源とは、「公的制度」や「社会インフラ」に加え、「お住まいの地域の互助のしくみ」や「マンパワー」「その人のもつインフォーマルなもの」などのことです。
さらに医療ソーシャルワーカーは、その社会資源と患者さんやご家族がどう付き合っているかという関係性に注目していきます。
患者さんと一緒に考え、さまざまなことを共有し、検討しますが、最終的に決めるのは患者さんご本人やご家族です。ですから、なるべく早い段階に安心して話せる関係を作ることが大切だと思っています。
医療職の前だと、ついつい優等生患者、優等生家族になって、本心を伝えられないという方が多いですが、そんな必要はありません。ありのままでいいんです。それが大切です。そこからスタートです。小さな悩みも医療ソーシャルワーカーに話して、ぜひ支援を活用してください。