本当は怖い<低栄養>3 栄養がとりにくい場合の対処法~プロが教える在宅介護のヒント
専門家に在宅介護のヒントを教えてもらうシリーズ、今回のテーマ「低栄養」。太っている人でも、低栄養に陥っている危険があるというから、日頃から注意が必要だ。第3回(第1回、第2回はこちらを参照)では、低栄養のおそれがあるとわかっているのに、なかなか栄養がとりにくい場合の対処法を、管理栄養士の安田淑子さんに教えてもらう。
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栄養状態を悪化させないためにできる「食の支援」とは
前回までのご説明で、低栄養の兆しを発見できた方もいらっしゃると思います。
しかし、現在、病気や体調不良などの問題がないものの、低栄養の兆しがあり、食生活の見直しが必要でも、なかなか改善に取り組めないことがあります。
以下のような理由が考えられます。
●自分は大丈夫だと自信があってその気になれない
例えば、朝、昼に比べ夜にしっかりとした食事をとるという食生活を長年続けていて、高齢になるまで特に病気をしなかったという人は、夜しっかり食べることが難しくなっても、自分は大丈夫という自信があって、なかなか自分の食生活を見直すことができない場合があります。
● 家事が大変で、栄養に関する知識があまりない
高齢で、買い物や食事の支度のほか、家事全般が重労働になり、栄養について考えて食べるのも大変だという場合も多くみられます。ご家族と暮らしている場合でも、ご家族が留守をしている昼の食事などは、支度が面倒で抜いてしまうという方も少なくありません。また、食事をすること自体が“時間がかかり、疲れる”という高齢者も多くいらっしゃいます。
栄養補助食品を利用して食事にプラスする
上記のような場合は、食生活改善を促しても、なかなか、気持ちや行動を変えるのは容易ではないと思います。このような時は、無理を強いることなく、栄養を補える工夫のひとつとして、高栄養補助食品をプラスすることを検討してみましょう。
高栄養補助食品とは、不足しがちな栄養が強化された食品です。
エネルギー、たんぱく質、鉄分、カルシウム、ビタミン・ミネラル、食物繊維・オリゴ糖などが補給できる食品は、ドラッグストアや通販で手軽に入手できます。
食生活改善には抵抗があっても、「健康のためにこれだけは飲んで!」といった家族の願いは聞き入れてもらいやすいようです。
高栄養補助食品は液体タイプ、ゼリータイプ、ふりかけ、クッキーなど菓子類タイプ、粉末タイプなどさまざまな形態の商品があり、味も多様です。食べる人の好みに合うものなら、続けやすいでしょう。体調や体重、活動の変化を見守りながら、食べてもらいましょう。
3時のおやつに乳酸菌飲料やヨーグルトをプラスするだけでもOK
特別なものが受け入れにくかったり、準備できない場合は、毎日、乳酸菌飲料1本とか、3時のおやつにヨーグルト1個を追加するのでもよいのです。
そして、「高齢者に低栄養の人が多く、予防が必要なこと」などを繰り返し伝え、少しずつ食生活改善について理解を促してください。栄養が補えると、元気が出て、その実感から栄養の大切さを理解していただけることもあります。