【糖尿病性神経障害】「足のしびれや痛み」は糖尿病のサイン?放置すると足のトラブルが重症化することも。糖尿病専門医が教える<悪化させない7つの習慣>
「足先が痛む」「しびれる」「よく足がつる」――それらの症状は糖尿病による神経障害が原因かも。動脈硬化の進行や高血糖を抑えるためには、毎食後の軽い運動や食べる順番の工夫など、日々のちょっとした心がけがカギとなる。「正しい対処法7選」で症状を悪化させない方法を糖尿病の専門医が徹底解説する。
教えてくれた人
矢野宏行さん/糖尿病専門医・やのメディカルクリニック勝どき院長・著書に『自分でできる! 薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)など
こまめな水分補給と足先の清潔維持で「糖尿病性神経障害」の痛みを予防
推定患者数1000万人という「糖尿病」も痛みを伴う。
「高血糖の状態が続くと動脈硬化が進み、心臓から遠い足先や足裏の末梢神経に酸素や栄養が届きにくくなり、足先の痛みやしびれ、こむら返りなどつりの症状が出ます。『糖尿病性神経障害(とうにょうびょうせいしんけいしょうがい)』と呼ばれ、多くの糖尿病患者を悩ませています」
そう語るのは、やのメディカルクリニック勝どき院長で糖尿病専門医の矢野宏行医師だ。『自分でできる! 薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)などの著書を持ち、「ミスター血糖値」の異名を持つ。
「放置していると足の感覚が鈍り、傷や水虫に気づかずに感染症が重症化し、最悪の場合、足が壊疽(えそ)して切断しなければならなくなる。糖尿病性神経障害による足の痛みなどの症状は、比較的早い段階で出やすい。日々の生活習慣によって悪化させないことが重要です」(矢野医師。以下「」内は同じ)
矢野医師が推奨するのが、毎食後の軽い運動だ。
「動脈硬化は毎食後に高血糖状態が繰り返されることで進行します。血糖値は食後30分~1時間で上昇するので、毎食後30分以内にウォーキングなどの有酸素運動を行なうと効果的。実際に海外の研究では、毎食後の15分のウォーキングで食後血糖値が抑えられたという報告があります」
食事では、白米やパンなど糖質を多く含む炭水化物の摂りすぎに注意。さらに食べる順番も大事なポイントだという。
「野菜や肉、魚を先に食べ、白米やパンを最後にすると、糖質の吸収が遅くなります。ゆっくり食べることも大切で、ひと口20~30回噛み、15分以上かけて食べれば、血糖値の上昇を緩やかにすることができます」
糖尿病性神経障害を抑えるには、水分補給も欠かせない。脱水状態で血液中の水分が減ると、高血糖状態になり、神経障害が悪化しやすいからだ。
「喉が渇いたと感じる前から、こまめな水分補給を心がけましょう。一気に大量に水を飲んでも、体が吸収しきれず、尿として排出されてしまう。暑い時期は脱水を起こしやすいので要注意です」
前述の通り、糖尿病性神経障害は足の感覚が鈍くなるケースがあるため、足裏や足指の間を清潔に保つことも重要だという。
「毎日足を観察し、傷や感染症の兆候をいち早く見つけることが大切です。
また、足に合わない靴を履くのも避けるべきです。たこや魚の目などができ、それが摩擦で傷ついて感染症を悪化させてしまう危険性があります。外出の際は足にフィットしたスニーカーを履くようにしましょう」
病状に合わせた正しい対処法を知れば、痛みは自力で解消できる。
「糖尿病性神経障害」の足の痛み・しびれ・つりを悪化させない方法7選
【1】毎食後30分以内に10分歩く
食後高血糖が神経障害を進める一因。食後30分以内に10〜15分歩けばブドウ糖を消費して血糖値の急上昇を抑えられる。
【2】早食いせず15分以上かけて食べる
糖質を一気に体へ入れると食後血糖値が急上昇する。ひと口20〜30回噛み、15分以上かけて食べれば、血糖の上がり方を緩やかにできる。
【3】炭水化物は最後に食べる
野菜や肉、魚を先に食べ、白米やパンは最後に。糖質の吸収が遅くなり、食後の血糖上昇を抑え、神経障害の進行予防につながる。
【4】白米やパンの食べすぎを控える
糖質を多く含む炭水化物の摂りすぎは、高血糖状態を招きやすい。量を減らし、食べる順番も工夫して足のしびれ悪化を防ぐ。
【5】喉が渇く前に水を少しずつ飲む
脱水で血液中の水分が減ると高血糖状態になり、神経障害が悪化しやすい。一気飲みではなく、喉が渇く前からこまめに補給する。
【6】足裏と指の間を清潔にする
足の感覚が鈍ると傷や水虫に気づきにくい。毎日、足裏や指の間まで観察し、傷や感染の兆候を早く見つけることが大切。
【7】伸縮性のあるスニーカーを履く
足に合わない靴は、たこや魚の目を作り、摩擦で傷になる。少し余裕があり伸縮性のあるスニーカーを選ぶ。
※週刊ポスト2026年8月7日号
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