《空き家》過去最多に「親が施設に入居、空き家になった実家をどうする?」問題と対策を専門家が解説
親の施設入居が決まると「空き家になった実家をどうするか」という問題が浮上する。また親の死後、相続した実家が空き家のままという人もいるかもしれない。年々増加する「空き家」は社会問題ともいえる。空き家の問題点や対策について相談事例をもとに、ファイナンシャルプランナーで行政書士の河村修一さんに解説いただいた。
この記事を執筆した専門家
河村修一さん/ファイナンシャルプランナー・行政書士
内外資系の生命保険会社を経て、2011年に母の介護経験をもとに介護者専門FPとして独立。その後、2018年にカワムラ行政書士事務所を開業。介護や相続、親の介護をめぐる家族会議支援など、将来に備えるサポートを幅広く行う。https://www.kawamura-fp.com
空き家は過去30年で約2倍へ
親が要介護となって介護施設へ入居したり、実家を相続したりすることで、親の住まいが空き家になることがあります。空き家になった実家を適切に管理せずに放置すると、建物の劣化や近隣トラブルなどのリスクが高まるため、定期的な見回りなど適切な管理が必要です。
また、実家を今後どうするのか家族で話し合っていないと、空き家になってから管理や活用について慌てて考えることにもなりかねません。
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年の空き家数は900万2000戸、空き家率は13.8%と、いずれも過去最多に。1993年から2023年までの30年間で空き家数は約2倍に増えており、親の介護や相続などをきっかけに、実家の管理や活用について考える機会は今後さらに増えていくと考えられます。
※総務省「令和5年住宅・土地統計調査住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果(PDF版)」
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf
相談事例/親が施設に入居して実家が空き家に
親が特別養護老人ホームへ入所し、実家が空き家になったAさん(50代)からご相談を受けました。ごきょうだいの協力は得られず、親の施設入所の手続きから実家の管理までAさんがひとりで対応しています。
Aさんご自身は都内に住み、親の介護施設や実家は近隣の市にあります。仕事が休みの日には親の施設を訪れた後、実家へ立ち寄り、郵便物の確認や換気、庭や建物の様子を確認しています。今後は草刈りなども必要になる見込みです。
施設へ入所してまだ間もないこともあり、現在もこのような生活が続いています。都内から実家までの移動にも一定の時間がかかるため、仕事と両立しながら定期的に実家を管理していくことは、決して小さな負担ではありません。
また別のご相談ケースですが、親が有料老人ホームへ入居したことを機に、実家を売却されたかたもいらっしゃいました。空き家になった実家をどのように管理・活用するかは、それぞれの家庭の状況によって異なりますが、Aさんのように親が施設に入居したからといって、すぐに実家を売却する決断はできないかたもいらっしゃるでしょう。Aさんにもお伝えした「空き家」対策を以下でご紹介します。
「空き家」の問題点やトラブル
まず「空き家」にはいくつかの問題点があります。空き家は、人が住まなくなることで換気や日常の管理が行われなくなり、湿気がたまりやすく、カビや腐食が進みやすくなります。適切な管理や点検が行われないと、建物の老朽化が進み、屋根や外壁の一部が落下したり、倒壊したりするおそれがあります。
庭木の枝が隣地にはみ出したり、雑草が伸びたりするほか、悪臭や害虫・ネズミの発生、不審者の侵入など、近隣トラブルや防犯上のリスクも高まります。郵便物がたまることで、空き家であることが分かりやすくなる点にも注意が必要です。
空き家を所有している間は固定資産税や修繕費などの維持費がかかり、売却せずに解体する場合は解体費用も必要です。空き家の管理が不十分で第三者に被害を与えた場合には、所有者が責任を負う可能性もあります。
「空き家」にまつわる問題点
・建物の老朽化…外壁の落下や倒壊のおそれ
・景観・近隣への影響…枝のはみ出し、雑草、景観の悪化、悪臭
・衛生面…ねずみや害虫が発生しやすくなる
・防犯、防災…不法侵入や放火などのリスク
・維持費…固定資産税、修繕費、解体費などがかかる
・所有者の責任…管理が不十分で第三者に被害を与えた場合は、所有者が責任を負う可能性がある
実家が空き家になった場合の選択肢
実家が空き家になった場合、考えておかなければならないのは「誰が、どのように管理するのか」です。
実家が近くにあれば定期的に様子を見に行くこともできますが、遠方では移動時間や交通費の負担が大きく、管理を続けることが難しいこともあるでしょう。
また、家族の中で管理する人や役割分担が決まっていない場合は、管理が後回しになったり、ひとりに負担が集中したりすることもあります。そのため、まずは誰がどのように管理するのかを家族で話し合っておきましょう。そのうえで、実家を今後どうするのかを考えます。
主な選択肢としては、「子どもや家族が住む」「賃貸に出す」「売却する」「解体する」などです。
それぞれの家庭の状況などを踏まえ、できるだけ早めに方向性を決めたいものです。その選択肢を実行するまでは、家族の誰かが空き家を管理することになります。
空き家の管理サービスを活用する方法も
空き家を適切に管理するためには、定期的な換気や通水、庭木の手入れ、郵便物の確認などを行い、建物の劣化や近隣トラブルを防ぐ必要があります。ご家族で管理することが難しい場合は、民間事業者が提供している空き家管理サービスを利用する方法もあります。
ここでは、日本郵便の『郵便局の空き家みまもり」と、NPO法人空家・空地管理センターの『空き家あんしん管理」の2つのサービスをピックアップしました。
日本郵便「郵便局の空き家みまもり」
親が暮らしていた地元の郵便局員から、空き家となった家の見守り報告を受けられるサービス。
https://www.life-support.post.japanpost.jp/akiya/
月額利用料:4,280円
月1回訪問し、7つの確認事項「住宅外観」「庭木・雑草」「郵便受け箱」「不法投棄の有無」「玄関周辺」「隣家への越境物の有無」の報告を、写真つきの報告書を送付。契約中に空き家で事故が起こった場合の所有者賠償責任保険(1事故につき最大1億円)が付帯。オプション(追加料金)で、通風・通水、草刈、郵便物の転送サービスなども選べる。
NPO法人 空家・空地管理センター「空き家あんしん管理」
全国の自治体と連携し、空き家の相談窓口を行うNPO法人・空家・空地管理センターが展開するサービス。
https://www.akiya-akichi.or.jp
月額利用料: 2,750円(スタンダードプラン)
建物外観の目視確認、草木の目視確認、ポスト掃除、近隣クレーム一次対応、管理会社ステッカー貼付について、写真付きの巡回報告を月1回メールで受け取れる。もしもに備えたあんしん補償(1事故につき1億円限度)が自動付帯。このほか、換気や通水といった室内の管理や、庭のゴミ処理などを追加した「空き家あんしん管理プラス」(月額6600円)もある。
***
空き家の管理サービスには、費用はかかりますが、定期的な見回りなどを依頼できるため、仕事をしながら実家を管理する場合や、実家が遠方にある場合には、家族の負担を軽減できます。
空き家は放置せず、こうしたサービスを活用しながら適切に管理し、「住む」「貸す」「売る」「解体する」など、今後どうするのかを家族で考えていきましょう。
参考/国土交通省「空き家は放置せず、「しまう」、「活かす」で住みよい街に
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya-taisaku/index.html
政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!」
https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5949.html
東京空き家ガイドブック2025
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/juutakuseisaku/-2025-3-36mb-
