《認知症の要因にも》“体力低下”を防いで筋力をつける!「1回30秒」でできる「もも上げ」&ストレッチを医師が解説
「スポーツ選手ほどの体力はいらないから」と運動をしない人もいるが、実は体力には「運動するための体力」と「健康に生活するための体力」の2種類があり、運動不足によって「健康に生活するための体力」も衰えている可能性がある。そこで『疲れない、回復できる、速く・長く歩ける 体力低下を食い止める30秒習慣』(アスコム)を上梓した整形外科専門医の吉原潔さんがすすめているのが「30秒もも上げ」。運動不足で筋肉が硬くなり、うまくもも上げができない人向けのストレッチもあるという。詳しく教えてもらった。
2種類の体力はどちらも大切
心肺機能や筋肉、バランス能力など「体を動かすために必要な体力」と、生活習慣病や感染症などへのかかりづらさや精神的ストレスへの抵抗力などに関係する「健康に生活するための体力」は、吉原さんによると、自転車の両輪のようなもの。どちらか一方でも欠けるとうまく動かなくなっていくのだという。
例えば、運動をするための体力が失われてくると、体を動かす機会が減り、健康に生活するための体力を支える内臓機能にも徐々に異常をきたし始める可能性がある。また、健康に生活するための体力が衰え、風邪をひきやすくなると、外出などが減るため、運動をするための体力低下にもつながっていく。
「運動をするための体力が低下すると、心にも問題が生じてきます。体が言うことをきかなくなると家にひきこもりがちになり、孤独感がつのり、気持ちも沈みます。高齢者の認知症は、運動をするための体力の低下が大きな要因とされています」(吉原さん・以下同)
2つの体力を向上させる「30秒もも上げ」
そこで吉原さんがすすめているのが「30秒もも上げ」だ。30秒もも上げを続けると、まずは運動をするための体力がついてくるため、徐々に体を動かすことが楽に感じられるようになる。そうすると、自然と体を動かす機会が増え、健康に生活するための体力もついてくるという。
《30秒もも上げのやり方》
【1】壁に頭、肩、腰をつけ、寄りかかって立つ。両脚はそろえて、壁から10~15cmくらい前に出す。
【2】片足のももをできるだけ高く上げ、つま先は下向きにする。上げたところで1秒間止める。
【3】ももを下げる。
【4】反対側のももを、同じようにできるだけ高く上げ、1秒間止めた後、ももを下げる。これを30秒間繰り返す。
「1回30秒を守れば、1日に数回やってもかまいません」
頭が壁から離れるなら「タオル」を使う
30秒もも上げは壁に頭、肩、腰をつけて行うが、運動不足で筋力が落ちている人などは、ももを上げた際に後頭部が離れやすい。また、既に背中が曲がっている人も後頭部を壁につけづらい。しかし、後頭部が壁から離れると、猫背になり、うまくもも上げがしづらくなるため、その場合は頭と壁の間にタオルを挟むのがおすすめだ。
「フェイスタオルを折りたたんで壁と後頭部の間に挟んでみて、視線がまっすぐ前になるくらいの厚みに調整します。そのままタオルが落ちないように、もも上げをします。すると姿勢も安定し、正しいフォームで行えます。逆に、タオルが落ちてしまうときは、猫背になっている証拠です」
運動不足で筋肉が硬くなるとうまくもも上げができないことも
股関節周りの筋肉が硬くなり、骨盤の動きが悪くなってしまっている人や、ハムストリングスと呼ばれる、もも裏の筋肉が硬くなってしまっている人は、もも上げをしようとしても、高く上げづらかったり、ももを上げたときに体が左右に揺れてしまったりする。
「特に、ハムストリングスが硬いと、ももを上げたときに骨盤が後ろに引っ張られて、猫背になりがちです。ハムストリングスが硬い方は、前屈をしたときに床に指先がつかないでしょう」
うまくもも上げができない人には「グッドモーニング」がおすすめ
そういった人に吉原さんがすすめているのが「グッドモーニング」というストレッチだ。グッドモーニングには、硬くなった股関節やハムストリングスの柔軟性の効果を高める効果があるため、30秒もも上げをやる前に行うことで、もも上げがやりやすくなるという。
「ちなみに、股関節まわり、ハムストリングスを柔らかくすると姿勢がよくなるとともに、腰痛の予防・改善も期待できます」
ストレッチ「グッドモーニング」のやり方とポイント
《グッドモーニングのやり方》
【1】足を肩幅に開いて立ち、腰のあたりで手の甲が背中側に来るように手を重ねる。
【2】股関節だけを動かして、お尻をグーッと後ろに引く。ひざは曲げず、まっすぐなままを維持し、ももの裏が伸びている感じが得られればOK。これを30秒間繰り返す。
「注意点は、胸とおへそを前に突き出した状態を保って、絶対に猫背にならないこと、ひざは曲げずにまっすぐ伸ばしておくことです。上体を前に倒してお辞儀をするのではありません。上半身と下半身(ひざ)をまっすぐに保ったままで『お尻をグーッと後ろに引く』と自然と正しいフォームがつくれます」
教えてくれた人
吉原潔さん/整形外科専門医
よしはら・きよし。整形外科専門医、フィットネストレーナー、医学博士、アレックス脊椎クリニック名誉院長、日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。運動療法や筋力トレーニングにも精通した医師として、多角的な診療に定評がある。著書に『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』(アスコム)など。
