【腰椎椎間板ヘルニア】改善のカギは「足の指」 理学療法士おすすめの簡単体操「あし指ぐるぐる」「あし指じゃんけん」
腰の痛みや足のしびれが症状としてあらわれる「腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア」。「一度なったら治らない」「手術しか治す方法がない」と思われがちだが、自然に症状が改善するケースもあるという。のべ5万人を治療してきた理学療法士・松田圭太さんが考案した「MSMメソッド(R)」は、「ゆるめる・鍛える・動かす」を軸に、慢性的な腰痛の改善を目指すもの。その中から、「腰椎椎間板ヘルニア」におすすめの体操を紹介する。
教えてくれた人
松田圭太(まつだ・けいた)さん/理学療法士・整痛院ふっか総院長・慢性疼痛徒手技術「MSM メソッド(R)」創始者。理学療法士として、医療現場に長年携わった経験から、慢性腰痛など“3年以上続く痛み”に特化、運動療法と認知行動療法を組み合わせた“整痛”治療院「整痛院ふっか」(https://fukka.jp/)を開業。
「手術しかない」は誤解?腰椎椎間板ヘルニアは改善も期待できる
腰痛の代表的な疾患である「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」と同様に、腰の痛みや足のしびれを伴うのが「腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア」だ。
脊柱管狭窄症の原因のひとつは腰の部分にある椎間板(腰椎椎間板)がヘタって脊柱管側に飛び出し、脊髄を圧迫することだが、腰椎椎間板ヘルニアは椎間板が外に飛び出す(ヘルニア)ことで起こる。足や爪先に電気が走るような、ピリピリとした痛みが特徴だ。
「ヘルニアは手術しないと治らない」「一生つき合うしかない」と思われがちだが、それは誤解だと松田さんは言う。
「ヘルニアは改善できる疾患です。患者の症状は60~80%が6~12週間で、80~90%は長期(1年以上)で解消したというデータのほか、97%が手術なしで改善したという大規模研究もある。手術を焦る必要はありません」
その理由は、人間が持つ自然治癒力にある。体が飛び出した椎間板を異物とみなし、「お掃除細胞」のマクロファージが食べてくれるのだ。
「ヘルニアは突然起きるものではありません。年齢に加え、椎間板に負荷をかけるような長時間の座位、前かがみ姿勢や生活習慣でクッション性がさらに弱まったところに、重い荷物を持ったり、急に動いたりすることが引き金になる」
「あし指ぐるぐる」と「あし指じゃんけん」で猫背を生む「重心の歪み」を矯正
松田さんによれば、ヘルニアの原因は間違った体の使い方や筋肉不足だという。治すには椎間板に負担をかけない「腰に優しい体の使い方」が重要になる。
それは端的に言えば姿勢をきれいにすることであり、カギを握るのが「足の指」だ。
「足の筋肉が硬直し、うまく使えていないために体重が前にかかり、猫背になってしまっているケースが多い。足の指をしっかり使えるようにすることが大切です」
硬く縮まった足をほぐすのが、「あし指ぐるぐる」である。足指の間に手の指を入れ、痛気持ちいい程度に大きく、7秒かけてゆっくり回す。10~20周したら逆回しを行なう。
一方、足指を鍛えて大きく動かせるようにするのが「あし指じゃんけん」だ。座ってかかとを地面につけ、足の先を天井に向けた状態で、足指を折り曲げて「グー」、親指だけを上または下に向けて「チョキ」、足指全体を広げて「パー」を繰り返す。
「この体操を行なえば地面をつかんで歩けるようになり、猫背でひざを曲げる“ペンギン歩き”も解消できます」
また、「脊椎すべり症」の項目で詳しく解説する「カエルお尻上げ」で腰回りの筋肉である「多裂筋」を鍛えることも腰椎椎間板ヘルニアの改善には効果的だという。
「長年の間違った体の使い方や筋肉不足といったものが積み重なって起きる腰椎椎間板ヘルニアは、ある意味『生活習慣病』とも言える病気です。正確に原因を特定し、対処できれば過度に恐れる病気ではない、というのが私の意見です」
硬く縮まった足をほぐす「あし指ぐるぐる」
足の指が使えていないと、歩く時に全身に無理な動きが出てしまう。硬く縮まった足指をほぐすことからスタート。
【1】回す方の足を太ももにかけて、足首は太ももより外に出す。足の指の間に、手の指を奥までしっかりと入れる→足の甲を持ちながら、1回7秒ほどゆっくり回す。10〜20周したら逆回しも行なう。
<ポイント>手の指はできるだけ奥まで入れる。
足の指をしっかり使えるようになる「あし指じゃんけん」
歩く時に地面をつかむことができるのは、足の指が動いてこそ。猫背でひざを曲げた歩行のクセ「ペンギン歩き」もこれで解消できる。
【1】かかとを地面につけて、座った状態でスタート。足首は曲げて、足の先が天井を向くように意識(足首は内側・外側に向きすぎないように)。指の部分を少し地面から離して、それぞれの動きを3~10回程度行なう
<グーの形>足の先は天井を向く
<チョキの形>余裕があれば、親指を下に向けるチョキもやってみよう
<パーの形>足の甲に、足がつるような感覚があれば正しく効いている
イラスト/タナカデザイン
※週刊ポスト2026年5月1日号
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