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倉田真由美さん「すい臓がんの夫と余命宣告後の日常」Vol.103「暗中模索の日々」

 漫画家の倉田真由美さんの夫で映画プロデューサーの叶井俊太郎さん(享年56)が旅立ったのは2024年2月のこと。最愛の夫を自宅で看取ってから、まもなく2年が経とうとしている。夫が生きていた頃の自分と、夫を失ってからの自分――決定的に変わってしまったことがあるという。

執筆・イラスト/倉田真由美さん

漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。新たな描きおろし漫画も収録した最新の書籍『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』も話題に。

80代の女性インフルエンサー

 数年前、80代の高齢女性インフルエンサーのかたと仕事でご一緒したことがあります。彼女とのお話の中で最も印象深かったのが、

「人生で今が一番楽しい。過去に戻りたいとはまったく思わない」

 というお言葉でした。

「子どもが独り立ちして子育てが終わって、主人の最期を看取って、今人生で一番自由に暮らしている。1日、1日がとても充実しているの」

 年季の入った団地で一人暮らし。部屋を自分の好きなように飾り立て、アレンジし、好きなものを好きなように調理して食べ、やりたいこと、興味のあることには何でもトライする生活を送っていらっしゃいました。

「お金のかかることなんてほとんどない。たまに行くお稽古事も、高齢者支援のものなので昼食付きで1日千円程度。あとは道端の草花を摘んできて飾ったり、お裁縫をしたり、本を読んだり。発信も孫がやっていたことに乗らせてもらったんだけど、やってみたら結構向いていた。怖がらずに新しいことに挑戦できてよかった」

 苦手だと思い込んでいたデジタル諸々も、お孫さんの力を借りて生活の中に取り入れることに成功したそうです。オンラインで遠方のお子さんやお孫さんと一緒に食事を楽しんだり、一人暮らしでも全然寂しさを感じない日々を送っていると笑顔を浮かべていました。

 80代になって「今が一番楽しい」といえる人生っていいな、と話を伺った当時も今も思います。歳を重ねていく上で、この上なく夢のある話です。

50代の今の自分は…

 翻って今の自分。50代半ばの私は、「今が一番楽しい」とはちょっと言えません。

 残念なことですが、これは偽りのない本心です。ではいつが楽しかったか?と過去を振り返ると、出てくるのは夫が元気だった頃、子どもと旅行に行った時の思い出ばかりなんですよね…。

 10代の頃も20代の頃も楽しかったし、30代は仕事も恋愛も私生活も充実していて楽しかったけど、今振り返って残っているのは「楽しかった」という、実感を伴わない記憶だけ。思い出して心が震える場面には、いつも夫が出てきます。これは、夫が存命中にはなかったことでした。

 夫がいた頃に思い出す「楽しかった思い出」と、夫がいなくなった今の「楽しかった思い出」は、すっかり変わってしまいました。これは、私自身が以前の私とは変わってしまったことを意味します。

 この、「変わってしまった自分」とは、付き合い始めて2年経っていません。なので日々、どうやって人生を充実させていくか暗中模索の状態です。

「今が楽しい」といえるように生きたい。

 そういえる日がまた訪れるよう、手探りで毎日を過ごしています。

倉田真由美さん「すい臓がんの夫と余命宣告後の日常」を1話から読む

『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』
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この記事へのみんなのコメント

  • 加藤与施夫

    .......芸能人や漫画家の人生航路は...起伏に富んだものになりがちである...【だめんず・うぉ~か~】の連載がスタートした時点で...俊太郎とクラタマは...ストーカー商法の枠組みに組み込まれていたと考えられる..私.複数の週刊誌を横断する不思議な仕組みの上に乗っかっている連載執筆者は...大勢いたのである...私は俊太郎の作品のネタにされたらしいし...クラタマの【だめんず・うぉ~か~】に登場するけど...クラタマの次のステップは...東工大不合格になり一橋大学商学部に進学した頃まで遡る事で浮かび上がる岐路がある...介護誌と無関係だけれど…数学理論の改革もクラタマのビジネスの一部たり得ると考えられる…

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