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連載

認知症の母の遠距離介護で困惑した訪問介護事業所やデイサービスの閉鎖「介護保険”外”サービスの併用で介護をラクに」

 岩手・盛岡に暮らす認知症の母の遠距離介護を長年続けてきた作家でブロガーの工藤広伸さん。2026年を迎え、母の遠距離介護は14年目、母の様子を綴ってきた連載は10年目に突入。年月を経て母の要介護度も介護サービスの状況も変化している。年初めに考える、新たな遠距離介護の方針とは?

執筆/工藤広伸(くどうひろのぶ)

介護作家・ブロガー/2012年から岩手にいる認知症で難病の母(82才・要介護4)を、東京から通いで遠距離在宅介護中。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護して看取る。介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。最新著『工藤さんが教える 遠距離介護73のヒント』が11月17日発売。ブログ『40歳からの遠距離介護』https://40kaigo.net/ Voicyパーソナリティ『ちょっと気になる?介護のラジオ』https://voicy.jp/channel/1442

10年間発信し続けた母のこと

 2016年7月28日にローンチした介護ポストセブンは、今年7月に10年の節目を迎えます。2016年当時の母は72才で要介護1でしたが、今は82才で要介護4。認知症の進行とともに自立した生活が難しくなり、介護保険サービスを利用する機会は大幅に増えました。

 拙著『親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること』(翔泳社)でも紹介しているのですが、2020年の新聞調査では、主要自治体の9割が10年後の2030年には、現状の介護保険制度は維持できないと回答しています。

 家族は今後、介護保険サービスをどのように活用し、どう備えていくべきかについて、2026年の年始に考えてみたいと思います。

過去10年で介護事業所の閉鎖を経験

 母が岩手の実家で生活できているのは、訪問介護やデイサービスなど介護保険サービスがあるからです。介護職の皆さんが母のサポートをしてくださるので、東京にいるわたしは安心して生活できます。

 しかし利用している介護事業所が、今後も安定してサービスを提供してくれるとは限りません。わが家ではこの10年で、訪問介護事業所の閉鎖を2回、デイサービスの閉鎖を1回経験しました。

 介護事業所が閉鎖になっても、次の事業所をケアマネジャーに探してもらえばいいと思うかもしれませんが、介護職の慢性的な人材不足は深刻化しており、家族が希望する日時に必要な介護保険サービスを受けられない可能性もあります。

 また介護事業所の変更は、家族にとって大きなダメージになります。特に訪問介護は、ヘルパーさんが家ごとに違う生活環境を把握して、サービスを提供してくれます。たとえば洗濯機や乾燥機の操作を覚えたり、利用者にあった食事の提供をしたりするなどです。

 訪問介護事業所が変わると、イチから家のことを覚えてもらう必要がありますし、慣れるまで時間もかかります。またデイサービスの変更は、他の利用者や新しいスタッフとの関係性など、利用する本人が新しい環境に順応できない可能性もあります。

遠距離介護「不測の事態への準備と対策」

 介護事業所の閉鎖だけでなく、お世話になっている医療・介護職が突然、退職するかもしれません。家族はどんな準備をして、どう対策すればいいのでしょう。

介護事業所の情報を集めておく

 もし介護事業所から閉鎖の連絡があったら、すぐケアマネさんに相談して新しい介護事業所を見つけてもらうといいでしょう。早めに連絡があれば余裕をもって対応できますが、わが家は事業所が閉鎖する2日前に連絡が来て、大混乱となりました。

 ケアマネさんの迅速な対応のおかげで、母の訪問介護に穴があくことはありませんでした。また2度目のときは、母が利用していたデイサービスのスタッフさんが、オススメの訪問介護事業所を知っていたので、すぐそちらにお願いして態勢を立て直しました。

 こうした突然の事態に備えるため、家族は介護でお世話になっている医療・介護職とコミュニケーションをとって、積極的に他の介護事業所の情報を集めておくといいと思います。

 介護事業所の情報はネット上にほとんどないので、医療・介護職の皆さんの口コミを集めて、判断するしかありません。介護職の人材不足や経営状態の悪化など、事業所の内部情報を早めに知らせてもらえるわけではないので、少しずつ口コミを集めて備えましょう。

介護保険・保険外サービスを含め選択肢を増やす

 他の備えとして、介護保険サービスだけでなく、介護保険外サービスも含めて選択肢を増やしておく方法もあります。たとえば訪問介護の場合、民間の家事代行サービスでカバーできる部分もあります。

 訪問介護は大きく、身体介護と生活援助に分かれます。身体介護は食事や入浴、排せつなど身体に触れて行うサービスで、生活援助は掃除や洗濯、買い物などのサポートです。生活援助は、民間の家事代行サービスを利用してもいいと思います。

 まずは親が暮らす地域に、家事代行サービスがあるか調べておくといいでしょう。介護保険サービスと比べて料金は高くなりますが、新しい介護事業所が見つかるまでのつなぎとしても利用できます。

 介護保険サービスの自己負担割合は1割~3割なので、介護費用の負担軽減のためにも最優先で利用すべきです。しかし必要なときに必要なサービスを受けられない可能性もあるため、介護保険外サービスも選択肢の一つに加えておくと安心です。

介護保険外サービスの併用で「介護がラクに」

 わが家では事業所の閉鎖リスクに備えるだけでなく、日常的に介護保険外サービスを利用しています。たとえばデイサービスを利用したあと、そのまま同じ施設で寝泊まりするお泊りデイサービスや、美容師さんが自宅に来て髪をカットしたり白髪を染めたりする訪問美容などです。

 最初は介護保険にこだわって遠距離介護をしていましたが、介護保険外サービスも活用するようになって、介護がだいぶラクになりました。

 不測の事態が起きても大丈夫なよう、日頃から介護保険サービスだけでなく、介護保険外サービスまで視野を広げて情報収集してください。
 
 2026年もしれっと、しれっと。

→この連載の他の記事を読む


 

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