がんばりすぎない運動習慣で「90代でも若々しい人」に。室内向けエクササイズ4選付き【医師監修】
若いときには気にならない“老い”だが、加齢によって体の不調や変化を実感しやすくなる。見た目も若々しく、老後も健康で過ごすためには運動習慣が大きく影響している。「90代で若々しい人×60代でヨボヨボの人」の違いは、どうして生まれるのか。最新の抗老化研究にもとづいた老化のスピードを抑える運動法をお伝えする。
教えてくれた人
工藤あきさん/消化器内科医、美腸・美肌評論家。内科医として地域医療に貢献しながら、腸活・菌活を生かしたエイジングケア治療にも注力する。『若返りの栄養学ゆる図鑑』(宝島社)など著書多数。
三島雅辰さん/三島クリニック院長、外科医、産業医。幹細胞を用いた再生医療で、慢性疼痛や脳梗塞など1000人以上の治療実績を重ねる。著書に『すごい幹細胞「老けない人」の7つの習慣』(オレンジページ)など。
正しい運動習慣を身につけて若く見えを目指そう!
老化速度は遺伝的要因もあるが、食事、生活習慣、運動といった環境的要因が大きいことがこの研究でわかった。これをさらに裏付ける研究もある。
「2021年にアメリカで行われた研究では、50~72才の男性を2つのグループに分け、1つのグループには食生活や日常生活を徹底的に管理する8週間のプログラムを実施。その結果、プログラムに参加したグループは、何もしていないグループに比べ、生物学的年齢が3才以上若返ったことがわかりました。
この研究により、環境的要因が見た目年齢を左右することだけでなく、何才からでも老化の速度を遅らせられることがわかりました」
と、消化器内科医、美腸・美肌評論家の工藤あきさんは話す。いまからでも遅くない。名医が教える運動習慣を始めて若々しい90代を目指そう。
60代でヨボヨボにならないための運動方法
【1】心拍数を決めて早歩き
「マラソンなどのハードな運動をすると、心拍数の急な上昇が心臓に負担をかけ、体を酸化させる活性酸素を発生させる要因になります。ですから、がんばりすぎない適度な運動が、血管の内側の若返りを促します。特に心拍数100~110くらいの早歩きがおすすめ。1日7000歩、40分程度を目安にしましょう」(三島クリニック院長の三島雅辰さん・以下同)
普段から大股で、腕を大きく振りながら歩くよう意識すること。
【2】ひざに負担をかけない
「ひざの関節は“消耗品”なので、年齢を重ねても元気に歩くため、ひざに負担をかけない生活を意識しましょう。たとえば、ウオーキングのときにはクッションが厚めのスニーカーをはいたり、コンクリートの道よりも、やわらかい土の上を歩いたりした方が負担が軽減されます」
適度な運動、ストレッチ、体重管理も大切。
室内で無理なく続けられるエクササイズ4選
「劣化したりダメージを受けたりした細胞を修復する『幹細胞』は加齢とともに減少し、老化を促進させますが、適度な運動で幹細胞の働きは活性化させられます」
そのためにおすすめの4種類のエクササイズを紹介する。1種類でもいいので毎日続けよう。
1.ディープブレス
<1>背筋を伸ばし、鼻から3秒以上かけてゆっくりと息を吸う。お腹が膨らむのを意識する。
<2>1mほど先に、火のついたロウソクがあるとイメージし、炎を吹き消すイメージで、20秒くらいかけて口からゆっくり息を吐く。このとき、お腹が凹むのを意識する。横隔膜が鍛えられ、リラックス効果も期待できる。
2.プランク30秒
<1>腕立て伏せの姿勢から両ひじをついて、前腕で体を支える。
<2>お腹をひっこめ、頭からかかとまで一直線になるよう意識して20~30秒ほど姿勢をキープ。呼吸を止めないように注意する。
[ポイント]
お尻が上がらないように。
3.上体反らし
<1>うつ伏せになり、両ひじを肩の真下につく。
<2>手でゆっくりと床を押し、上体を起こして背骨を伸ばし、腰を反らせる。そのまま1~2秒キープし、<1>の姿勢に戻る。これを数回繰り返す。
※1を2〜3分行うだけでもよい。腰や足に痛みがある場合は無理しないこと。
4.スロースクワット
<1>肩幅より少し広めに足を開いて立ち、背筋を伸ばす。手は胸の前で交差するか、頭の後ろで組む。
<2>お尻を突き出すようにして、数秒かけながらゆっくりと腰を下ろす。このとき、ひざがつま先より前に出ないよう注意。
<3>太ももが床と平行くらいになったら、数秒かけてゆっくりと立ち上がる。
<4>これを10回程度繰り返す。太ももの筋肉が鍛えられる。
取材・文/植木淳子 イラスト/ふじいまさこ 写真/Getty Images
※女性セブン2025年11月13日・20日号
https://josei7.com
●「高齢者にとって1日1万歩は歩きすぎ」脚とひざを守る正しい歩き方や姿勢を専門医が解説
●「脳の若返り」のためには筋トレやストレッチよりも「早歩き」や「軽いジョギング」を! 医師は「最大心拍数の70〜75%に保つことが一番よい」
●「週3回以上歩く」「歌いながら家事」「インターバル速歩」 最新の研究で判明した健康寿命を延ばす運動習慣ルール10<病気を予防する筋トレもイラスト図解>
