夫婦の日常生活を発信し続ける理由《すみちゃんねる》「YouTubeは人生の記録、葬儀も配信したい」
人気YouTube「すみちゃんねる ~シニア夫婦~」を運営する66才主婦・久美子さん。10万再生を超える数々の動画では、夫婦の仲睦まじい様子も投稿され人気を集めている。パートナーと過ごす何気ない日々の幸せ、そして将来のことについて語ってもらった。
すみちゃんねる・久美子さん/プロフィール
1959年徳島生まれ、66才。2019年、99才の寿美子おばあちゃんの様子を動画投稿するYouTubeチャンネル「すみちゃんねる」を開設。現在はシニア夫婦の日常や介護のことを配信し、幅広い世代から支持を集め、現在のチャンネル登録者数は約2万4000人。
Youtube「すみちゃんねる~シニア夫婦~」https://www.youtube.com/@sumi-ch
インスタ「sumi_w7すみちゃんねる」https://www.instagram.com/sumi_w7/
夫婦の日常生活を発信する理由
YouTubeチャンネル「すみちゃんねる ~シニア夫婦~」では、夫婦の穏やかな日常生活を投稿しているが、その仲睦まじい様子が微笑ましく、「ほっこり癒された」「温かい気持ちになる」などたくさんのコメントが寄せられている。
――YouTubeではご夫婦の様子がとても素敵です。
夫とはバツイチ同士の再婚なんですよ。最初の夫とは46才のときに離婚をして、その後、共通の友人を介して、私が52才のときに2つ年上のいまの夫と結婚をしました。
私の家族は、今は亡き父と母、私、妹の4人家族でした。転勤族で、子供の頃は父の仕事の関係で香川、高知、愛媛と四国を転々と回っていましたが、最後は徳島に赴任。その後は徳島で裁縫機器会社を設立し、私もその仕事を手伝っていました。
前の夫とは同級生、小・中・高まで一緒で、24才のときに結婚して長女、長男を授かりました。結婚後も仕事を続けていたので、2人とも1才から保育園に預け、仕事と子育ての両立で必死でした。いまは2人とも結婚していて、4人の孫に恵まれました。
最初の結婚生活を振り返ると、いつも「自分さえ我慢すれば」と感情を抑えて日々過ごしていたような気がします。義母とも折り合いが合わず、ふつふつと募っていくものがありました。
「もう我慢するのはやめよう」と離婚を決意したのが45才のとき。子宮筋腫の手術で1か月ほど入院したのとき、「いらないものは捨てて生まれ変わろう」「人生を変えよう、退院して元気になったら別れよう」と決心しました。
――現在の夫とはどんな経緯で再婚することになったんですか?
奈良にいる幼少期からお世話になったおじの頼みで、おばの介護を手伝っていたとき、実家の徳島と奈良を行き来していました。夫も徳島の人で、知人を介して知り合いました。
やがておじが病で亡くなり、おばの介護が大変な時期、心が折れていたんです。そんなとき、夫に話を聞いてもらううちに、彼の人柄に惹かれて再婚をすることにしました。
夫は以前、アメリカ人女性と結婚してアメリカに住んでいたんですが、価値観の相違などから離婚して、日本に戻ってきていました。二人の子どもたちは今もアメリカに住んでいます。
夫は渡米前、公務員で福祉関係の仕事に就いていたので、私の境遇をよく理解してくれていました。おばの介護で疲弊している私を案じて、仕事を辞めて縁もゆかりもない奈良に身一つでやって来てくれた。ハローワークに通って仕事を探して、福祉関係の仕事を探して、いまも続けています。しんどい時期に側にいてくれて大きな支えになりました。
私が57才のとき、おじが亡くなった後、家の整理をしておばと一緒に神戸に引っ越しをしました。神戸なら徳島で暮らす母の様子を見に帰りやすいですし、夫は当時大阪で働いていましたので通勤にも便利だろうと、神戸で住まいを探して新たな暮らしを始めました。
大阪・関西万博に出かけた様子も投稿し、人気に。【66歳夫婦の大阪万博2025】人生で2度目の万博体験/夕焼けに感動/シニアvlog https://www.youtube.com/watch?v=4qDwG6NbQKo
夫婦で話し合う「終の住処」のこと
――夫は動画についてどんな思いがありそうでしょうか。
YouTubeは私が撮影、編集して投稿まですべて私がやっているので、夫は出演者。夫は自然体で協力してくれています。私が楽しんでいることを理解してくれて、一緒に支えてくれています。実は、夫は夫でYouTubeを始めたんですよ(笑い)。
再婚をしてから私たちの夫婦生活はまもなく15年になりますが、とても穏やかな生活を送れています。夫とは、とにかく「いまを楽しく生きよう」ということを二人でよく話しているんですよ。最近は「終の住処」をどうするかもよく話題に上がります。奈良の住まいは戸建てでしたが、神戸ではコンパクトなマンションを選びました。
坂が多いと言われる神戸にしては珍しく平地で、最寄りの駅からも徒歩10分と便利なところで、おばが暮らす特別養護老人ホームにも通いやすい場所です。
ただ、私も夫も徳島で育っているので、いずれは徳島に帰りたいという想いがあります。地元に戻った場合、賃貸と持ち家どちらがいいのか。だんだんと老いていくわけですから、介護や入院が必要になったときにはどうするのかとか。亡くなったあとの家の片付けも大変ですよ。おばの介護や家の片付けを経験してとても苦労をしてきましたから、なるべく子供たちに同じ思いはさせたくない。
もしも子どもたちに介護申請や手続きのために徳島に通ってもらうとしたら、時間も交通費もかかります。そのあたりの折り合いをどうつけるか、夫とは折に触れて話しをしているんです。
仮に徳島で暮らすとしたら、1DKぐらいの小さな部屋にして、荷物もそれまでに減らしていこうと思っています。ご飯を食べるところと寝るところがあれば高齢者夫婦には充分ですからね。
もしかしたら徳島で高齢者施設に入るということもあるかもしれません。いま私は66才で夫は67才。もしも徳島に帰るとしたら体力的なことも考えるとあと5年先、70代前半まででしょうね。そのとき、おばは100才を超えていますから、環境を変えるのは難しいので、いま暮らしている神戸の特養で最期を迎えてからになるのかもしれません。
夫婦で年を重ねていきながら、暮らしや住まいの形もだんだんと変わっていくものだと思います。
――この先もずっとYouTubeは続けたいと思っていますか。
そうですね、続けていたいですね。YouTubeは人生の記録だと思っています。お葬式をYouTubeでライブ中継してもらおうかなとも考えています。孫に葬儀を撮影してもらって投稿してもらって、それでお終い。
夫と私、どちらかが先に旅立つのか、命が1秒先にもあるかどうか、わからないものですが、今日という穏やかな1日を重ねていけたらいいですよね。
取材・文/廉屋友美乃
