高温多湿の季節、とくにカビが発生しやすい7つの場所と対処法「布団の下、洗濯槽の裏が危ない!」【家事アドバイザー指南】
今年は近年稀にみる早い梅雨明けが報じられ、蒸し蒸しとした暑さが続いている。高温多湿となるこの時期、猛威を振るうのが「カビ」。カビは住まいを傷めるだけでなく、吸い込んだり触れたりすると健康を害するため、高齢者は特に注意が必要だ。そこで家事アドバイザーの矢野きくのさんに、浴槽やクローゼットなどのカビが発生しやすい場所と、対処法を教えてもらった。
この記事を執筆した専門家
節約・家事アドバイザー・矢野きくのさん
家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/
カビは湿気や風通しの悪い場所が大好き
梅雨から夏にかけて、湿度が高く気温も上昇するため、カビの繁殖に最適な環境が整ってしまいます。カビは湿度70%以上、気温25~30℃前後で活発に増殖するため、湿気がこもりやすい場所や風通しの悪い場所では特に注意が必要です。さらに、皮脂汚れやホコリなどの栄養源があると、より一層カビが増えやすくなります。
シニア世代や介護中のご家庭ではとくに注意したいカビ。発生場所と予防法をご紹介します。
カビ発生率が高い7つの場所と対処法
カビが特に発生しやすい場所と予防法をご紹介します。今日からできることばかりなので、早速はじめてみましょう。
1. 敷きっぱなしの布団
シニア家庭ではいちばん多いと言ってもいいでしょう。布団を敷きっぱなしにしていると、寝ている間にかいた汗や体温によって湿気が布団の下にたまりやすくなります。フローリングや畳との接地面は通気性が悪く、湿気がこもってカビの温床になってしまうのです。
【予防法】
毎日布団を上げて風通しを良くし、定期的に布団を干して湿気を飛ばしましょう。とは言え、年齢を重ねると布団の上げ下げというのは重労働。ベッドに変更するか、もしむずかしければ、布団の下にすのこや除湿シートを敷くと、空気の通り道ができて湿気がたまりにくくなります。
2. 浴室
浴室は温度も湿度もカビにとっては好ましい場所です。さらに、石けんカスや皮脂などの汚れがカビの栄養源になり、天井・壁・ゴムパッキンなどにカビが発生しやすくなります。
【予防法】
入浴後は浴室全体をシャワーで流して飛び散った皮脂汚れや石けんカスを落としましょう。できればタオルやスクイージーで水気を取ると効果的です。換気扇を回す、窓を開けるなどして湿気をしっかり逃すことも大切です。月に1~2回はカビ取り剤で掃除すると、カビの定着を防ぐことができます。
3. 靴箱
靴箱は通気性が悪く、履いた後の湿った靴をそのまま収納すると、湿気とニオイがこもり、カビが発生しやすくなります。また靴の裏には土中のさまざまなカビ菌がついていることもあるので注意が必要です。
【予防法】
靴は帰宅後すぐに靴箱にしまうのは避けましょう。一晩は風通しの良い場所で乾燥させ、湿気を取ります。靴箱には除湿剤や炭を置いて湿気対策をし、定期的に扉を開けて空気を入れ替えることも大切です。
4.キッチンのシンク下
シンク下は水道管の結露や収納された調理器具の水気により、湿気がこもりやすい場所です。また、暗くて温かいため、カビが好む環境が整っています。
【予防法】
通気を良くするために扉を時々開けて換気し、収納前の調理器具は水気をしっかり拭き取ってからしまいましょう。新聞紙を敷いて湿気を吸わせたり、除湿剤を置くのも有効です。風通しをよくするために、モノの詰め込みすぎは厳禁です。
5. クローゼット
クローゼットは密閉されていて空気がこもりやすく、衣類から出る湿気やホコリがカビの原因になります。特に冬物や天然素材の衣類は湿気を吸いやすくカビの被害に遭いやすいので注意が必要です。お気に入りの服にカビが生えてしまったら残念ですよね。
【予防法】
収納する衣類はしっかり汚れを落とし、乾かしてからクローゼットにしまいましょう。月に一度は扉を開けて空気を入れ替え、除湿剤や湿気取りシートを活用するのも効果的です。詰め込みすぎも湿気の原因になるため、収納は余裕を持たせましょう。
6. 洗濯槽
実はシニア家庭に多いのが洗濯槽裏のカビ。昭和の時代は洗濯槽にカビが生えるというのはあまり言われていなかったので、洗濯槽を掃除するという習慣がないかたが多いのです。洗濯槽は湿気が残りやすく、衣類の汚れや洗剤カスがカビの栄養源になります。とくに洗濯が終わった後にフタを閉めたままにしておくと、内部にカビが繁殖しやすくなります。
【予防法】
洗濯後はフタを開けてしっかり乾燥させることが大切です。月に一度は専用の洗濯槽クリーナーで掃除し、内部に汚れがたまらないようにしましょう。洗剤や柔軟剤も適量を守ることでカビの発生を抑えられます。
7. 冷蔵庫
食べ物を入れるところなので清潔にしておきたい冷蔵庫。しかし冷蔵庫の内部やパッキン部分は、食品の水分やこぼれた汁などで湿気がたまりやすく、放置するとカビの原因になります。特に野菜室やゴムパッキンは見落とされがちですがカビが生えやすいスポットです。
【予防法】
定期的に庫内を拭き掃除し、こぼれた食品や水分はすぐに拭き取りましょう。詰め込みすぎを避けて空気の流れを確保し、特にパッキン部分は週に一度チェックして汚れを取り除くと清潔が保てます。
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今回ご紹介したカビが発生しやすい場所の対処は、いずれも習慣づけてしまえばさほど苦にならないものばかりです。健康に暮らすためにもぜひカビ対策を習慣にしてくださいね。