8割以上が高齢化する親の孤独・孤立化に「不安がある」と回答「高齢化する親の孤独・孤立防止アンケート」<調査レポート>
超高齢社会へ突入し、約5人に1人が後期高齢者となる現代日本。高齢者の孤独・孤立化が大きな課題となり、離れて暮らす親のことを心配する人も多いだろう。そこで「高齢化する親の孤独・孤立防止アンケート」を実施。高齢化する親世代の孤独・孤立に対する意識や地域の高齢者に対する孤独・孤立防止への協力意向についての調査結果をレポートする。
親の孤独・孤立防止のために効果がある行動とは?
団塊世代が全員75才以上の後期高齢者となる2025年を迎えた今、医療や介護体制の問題などが挙げられる中、「孤独死・孤立死」の実態が明らかになってきている。警察庁が昨年初めて集計した統計によると、2024年1月~6月にひとり暮らしの自宅で亡くなった65才以上の高齢者は2万8千人以上(※1)に上るとされ、これは自宅で死亡したひとり暮らしの人の76%以上を占めているようだ。2050年には20.6%(5世帯に1世帯)が高齢者単身世帯となる見込み(※2)で、高齢者の孤独・孤立化は重要課題と言えるだろう。
そこで、「人々が支え合える街をつくる」ことをミッションに掲げるPIAZZAは、同社が運営する地域コミュニティアプリ「ピアッザ」の利用者440名を対象に、「高齢化する親の孤独・孤立防止アンケート」を実施。高齢化する親世代の孤独・孤立に対する意識及び地域の高齢者に対する孤独・孤立防止への協力意向を調査した。
※1 警察庁「令和6年上半期(1~6月分)(暫定値)における死体取扱状況」
※2 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)-令和6(2024)年推計-」
親の孤独・孤立化に不安を覚えつつ「居場所づくり」に効果を期待
まず初めに、現在または近い将来、親が孤独・孤立化することに対して不安を感じたことはあるかを尋ねたところ、8割以上の人が親の孤独・孤立化に「不安がある」と回答。特に、4人に1人は「かなり不安がある」と強い不安感を抱いているようで、女性よりも男性の方がその傾向が強い結果となった。
続いて親の孤独・孤立化に「不安がある」と回答した人を対象に、具体的にどのようなことに不安を感じるのか、質問を行った。すると「親ひとりでは日常生活が送れなくなる」、「親の身に何かあった時に助けられない」、「誰かと話す機会がなくなること」という回答がトップ3に挙げられた。
次に、上記で挙がった不安感を和らげるためにも、親の孤独・孤立防止に効果があると思う行動と親への推奨意向について尋ねた。その結果、男女共に「自宅以外の居場所をつくる」ことや「近隣住民との日常会話」は「自分や家族と一緒に暮らす」ことよりも効果があると考えている人が多いことが判明した。
親とは物理的に遠い距離で暮らしている人がほとんど
続いて、親の暮らし方の状況について質問を行ったところ、最も多い回答は「両親が2人で暮らしている」となった一方で、2割以上が「親が1人で暮らしている」と回答する結果に。
また、親と離れて暮らしている人を対象に、親に会うための移動時間はどのくらいかを尋ねた。すると「片道30分以内」で親に会いに行けるという人は2割前後に留まり、「1時間以内」も4割未満となった。多くの人が物理的に親との距離が遠く、気軽に会いに行けない状況であることが判明した。
では、離れて暮らす親とのコミュニケーションはどのように行っているのか。親とのコミュニケーション頻度について尋ねると、女性の場合はチャットや写真・動画共有アプリを通じたやり取りが多くを占めており、約7割が実親と、約3割が義親と毎月コミュニケーションをとっているようだ。
一方、男性の場合は全体的に親とのコミュニケーション頻度は女性よりも低い傾向にあるが、義親と「会って話す」「電話する」という機会は女性よりも多いことが明らかに。
また、親の見守りに普段利用するサービスについては、通話・チャットアプリの「LINE」(提供元:LINEヤフー)と写真・動画共有アプリの「家族アルバム みてね」(提供元:MIXI)がどちらも約4割で2トップという結果となった。
9割以上が地域全体で高齢者の孤独・孤立防止に協力すべきと回答
また、次の設問では、親に限らず地域の高齢者の孤独・孤立防止に関して調査を行った。高齢者の孤独・孤立防止に地域全体で協力することの重要性について尋ねると、9割以上の人が重要だと回答する結果となった。その理由としては、「家族だからといって孤独・孤立を解消できるとは限らないから」「家族や親族がいない人もいるから」といった声が挙げられたようだ。
では、「近所の人」はどのように協力するべきなのか。調査の結果、高齢者の孤独・孤立防止に、「近所の人みんなで協力した方が良い」と考える人は3割に留まり、半数以上の人は「協力したい人たち(有志)で協力した方が良い」と考えていることが判明した。
そして最後に、回答者本人が近所で暮らす高齢者の孤独・孤立防止に協力したいかを尋ねた。すると「自分に頼まれたら協力したい」人が6割近くで最も多く、「積極的に協力したい」人と合わせると9割近い人が地域での支え合いに意欲的であることが明らかとなった。
また、協力する場合の報酬の有無について希望を尋ねると、男性は6割以上が「無償で協力する」と回答する一方で、女性は半数以上が「有償で協力する」と回答し、女性は地域の“仕事”としての協力を希望している人がやや多いことが窺える。
* * *
以上の調査結果から、高齢化とそれに伴う孤独・孤立は誰にでも起こりうることだからこそ、地域社会全体で考え、協力していくべき問題だと感じている人が多いことが判明した。家族や親族が傍にいなくても、誰もが安心して年を重ねていける世の中にするため、少しずつでも自分にできることから始めていくことが重要だろう。
【データ】
PIAZZA
https://www.about.piazza-life.com/
【調査概要】
調査主体:PIAZZA
調査手法:インターネット調査
調査期間:2025年1月23日~2月1日
調査対象者:地域コミュニティアプリ「ピアッザ」利用者
有効回答数:440名(女性:333名、男性:100名、性別未回答:7名)
回答者属性:女性(20代:1.8%、30代:34.5%、40代:40.5%、50代:15.6%、60才以上:7.5%)
男性(20代:1.0%、30代:12.0%、40代:26.0%、50代;42.0%、60才以上:19.0%)
※PIAZZAの発表したプレスリリース(2025年3月6日)を元に記事を作成。
図表/PIAZZA提供 構成・文/秋山莉菜