老いを楽しめる「生活習慣」を精神科医がアドバイス|「イライラしがちな人」チェック表で判定
老いを僻(ひが)んで生きていると、家族や友人たちが離れ、孤独で不幸な晩年になる――だけではない。病気になる可能性も高まるという。老いを楽しめるようになるための生活習慣や解決策を医師が伝授!
教えてくれた人
古賀良彦さん/精神科医
杏林大学名誉教授。日本催眠学会名誉理事長。日本ブレインヘルス協会理事長。専門は統合失調症、睡眠障害、うつ病の治療など。著書に『睡眠と脳の科学』(祥伝社新書)など。
老後の幸せはまず己を知ることから
老化により、それまでできていたことができなくなる、施設に入居せざるを得なくなり自由がなくなる――年を取ると思い通りにならないことばかりで、僻みたくなるのもわかる。しかし、そんな変化を柔軟に受け入れ、前向きに考えられる人は老いることすら楽しめ、人生を満喫できるという。
とはいえ、そのような考え方ができるかどうかは、性格や経験がかかわってくる。特に仕事を効率よくこなし、出世コースをまい進してきたような人は、老いを僻む人間になりやすいという。
「いわゆる“仕事に熱心な人”というのは、せっかちで、人と競争したがるタイプが少なくありませんが、こういう人は思い通りにならなくなると、気の短さが強く出る傾向にあります」
とは、精神科医の古賀良彦さんだ。そこで、まずは自分の性格を正しく理解することが大切だという。
「アメリカのある心臓専門医のグループがこんな報告をしています。せっかちで怒りっぽく競争心に溢れた人たちを『タイプA』、のんびりとしていて人の話をよく聞く人たちを『タイプB』として分類し、調べた結果、『タイプA』の方が心筋梗塞や狭心症を発症しやすいことがわかりました。せっかちで怒りっぽい人はストレスにさらされる機会が多いため、心臓に負担をかけやすく心臓疾患を発症しやすいというわけです」(古賀さん・以下同)
その性格から穏やかなコミュニケーションがとれず、特に仕事から離れた後は孤独になりやすく、認知症が進行することも。
自分が『タイプA』にあてはまるかどうか、チェック表で確認してみよう。仮に『タイプA』となったからといって、必ずしも不幸な老後が待っているわけではない。対処法がある。
「アンガーマネジメントという怒りを制御する方法を取り入れてみてはどうでしょうか。イライラしたり、カッとなったりしたときは、すぐに発言するのは控えて、1から6まで数えるなどしてひと呼吸おき、心を落ち着かせましょう。相手を傷つけるような発言を控えられ、人間関係に亀裂が入るのを防げます。日記に気持ちを綴(つづ)るのも手。落ち着いた後に読み返し、自分の気性の激しさや、相手への配慮が欠けていたことに気づけられれば、言動は少しずつ変えられます」
ただし、こうした行動の改善には時間が必要。早めに気づくことが重要だ。
「タイプA」の診断【チェック表】
怒りっぽく競争心の強い『タイプA』には不幸な老後が待っている!?
※該当する項目の点数を加算。合計17点以上が『タイプA』で、数字が大きいほど、その傾向が強いといえる。
回答得点:いつもそうである/しばしばそうである/そんなことはない
【Q1】忙しい生活ですか?
2/1/0
【Q2】毎日、時間に追われる感じがありますか?
2/1/0
【Q3】仕事や何かに熱中しやすいですか?
2/1/0
【Q4】熱中していると、ほかのことに気持ちの切り替えができにくいですか?
2/1/0
【Q5】やる以上は徹底的にやらないと気がすみませんか?
4/2/0
【Q6】仕事や行動に自信を持てますか?
4/2/0
【Q7】緊張しやすいですか?
2/1/0
【Q8】イライラしたり怒りやすい方ですか?
2/1/0
【Q9】几帳面ですか?
4/2/0
【Q10】勝ち気な方ですか?
2/1/0
【Q11】気性が激しいですか?
2/1/0
【Q12】他人と競争する気持ちを持ちやすいですか?
2/1/0
※公益財団法人日本心臓財団ホームページより、「タイプA」の診断法・前田の質問表(改変)。
生活習慣を変えると怒りっぽくなくなる
生活習慣を変えると心が整い、穏やかな行動がとれるようにもなることも。
「起床後はカーテンを開けて朝日を浴びる。こうすることでしっかり覚醒し、一日を活動的に過ごせます」
それが夜の快眠にもつながり気持ちを安定させる。
「趣味を持つことも大切。趣味を楽しむことでストレスが軽減されたり、ゆがんだ気持ちが少しずつ整い、体の不調も軽くなることが知られています」
自分は『タイプA』だからとあきらめず、いまできることから挑戦してほしい。
取材・文/上村久留美
※女性セブン2024年10月17日号
https://josei7.com/
●イライラするときに試して欲しい「指だけヨガ」5本の指を刺激してお悩みにアプローチ