二日酔いに「うこん」より「しじみのみそ汁」がいい理由 飲む前から始める悪酔いしない対策を医師が解説
忘年会や新年会などお酒を飲む機会が増える年末年始。しかし、なんの対策もせずにお酒を飲めば肝臓に大きな負担がかかるため気をつけたいところ。肝臓の専門医によると飲酒前、飲酒中、飲酒後の対応次第で体への影響は大違いだという。体に優しいお酒の飲み方をぜひ試してみて!
教えてくれた人
栗原毅さん/肝臓専門医。栗原クリニック東京・日本橋院長。日本肝臓学会専門医。治療だけでなく予防にも力を入れており、「血液サラサラ」を命名したひとり。著書に『酒好き肝臓専門医が教えるカラダにいい飲み方』(フォレスト出版)など多数。
つまみの選び方で体への影響は変わる!
そもそも、アルコールを摂取したとき、体の中ではどんなことが起きているのか。
「体内に入ったアルコールの80%以上は、小腸から吸収されて肝臓に運ばれます。ここでアルコール脱水素酵素(ADH)によってアルコールはアセトアルデヒドに分解されます。アセトアルデヒドは毒性が強く、顔が赤くなったり、吐き気や頭痛が起こるのは、この成分が原因です」(肝臓専門医の栗原毅さん・以下同)
アセトアルデヒドはさらにアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸に分解され、最終的には炭酸ガス、水、熱となって体外に放出される。
「二日酔いの主な原因は、アルコールの過剰摂取。自身の適量を超えたのだと思ってください。肝臓の処理能力が追いついていない証拠です」
それだけでなく、アルコールの利尿作用によって体内の水分が不足して脱水症状を起こしたり、胃が酷使されたことで、吐き気につながる。二日酔いはこれらの症状が複合的に現れるのだ。
「二日酔いを防ぐポイントは、肝臓にやさしい飲み方をすること。同じ量の酒を飲んでも、つまみの選び方などで体への影響は大きく変わります」
対策は飲む前から始めたい。
飲み会前にやっておきたい対策
【1】すきっ腹にアルコールはNG。高カカオチョコレートや乳製品を食べる
「空っぽの胃にアルコールを入れると粘膜が傷つき、アルコールを吸収しやすくなります。飲む前に、アルコールの吸収を抑えるカカオポリフェノールが豊富なチョコレートや、アルコール分解を促す乳製品を摂取すると負担を軽減してくれます」(栗原さん・以下同)
飲み会スタート時にやっておきたい対策
【2】とりあえず「ポテサラ」より「鶏から」
とりあえずで頼みがちな「ポテトサラダ」。普通のサラダならまだしも“ポテサラ”は糖質の塊。最初に食べると血糖値が急激に上がってしまう。「鶏のから揚げやカルパッチョなど、油分を含む食べ物を最初に食べた方が、胃に膜を作ってアルコールの吸収を遅くするのでおすすめです」。
【3】ビールはジョッキより瓶
「炭酸は吸収をよくするため、ビールは肝臓への負担が大きい。もし最初に飲みたいなら、ジョッキではなく瓶ビールを選び、小さなコップに注ぎながら少しずつ飲みましょう」。お酒を飲む順番も重要。アルコール度数が高いほど速く吸収されるので、アルコール度数の低いものから飲むのがおすすめ。
飲み会最中にやっておきたい対策
【4】お酒と同量の水を飲む
「アルコールには利尿作用があるので、飲めば飲むほど体内の水分が失われます。脱水状態だと肝臓のパフォーマンスが下がるので、お酒を飲むときは必ず水を一緒に摂るようにしましょう。目安はお酒と同量です」
【5】つまみは高たんぱく質&低糖質
「たんぱく質は肝機能の向上に欠かせない成分。肉、魚、卵、大豆は積極的に食べたいところ。特に豚肉、うなぎ、にんにくの芽などアルコールの分解を助けるビタミンB1を豊富に含む食材がおすすめ」
<OKつまみ>
焼き豚、焼き鳥、オムレツ、焼き魚、刺し身、揚げ出し豆腐、あさりの酒蒸し、かきフライ、にんにくの芽、鍋物、するめ、ビーフジャーキー、たこ刺し、ナッツ類 など
<NGつまみ>
フライドポテト、ポテトサラダ、肉じゃが、ポテトチップス、ピザ、チヂミ、はるさめサラダ、野菜の煮物、お寿司、焼きビーフン、たこ焼き、お好み焼き など
【6】シメはみそ汁か日本茶。コーヒーもおすすめ
「お酒で失われた水分と塩分を同時に摂れるのがみそ汁。日本茶に含まれるカテキン、ビタミンC、タンニンもアルコールの分解を助けてくれるのでおすすめ。コーヒーのポリフェノールには血糖値を下げる効果が」