「年をとるとお酒は弱くなる?」「下戸・酒豪は生まれつき?」お酒にまつわるQ&Aに医師が回答
厚生労働省の調べによると、週に3回以上飲酒する女性の割合は1989(平成元)年の6.3%に比べ、2019(令和元)年では8.8%と増加傾向にあるとのこと。多くの女性がお酒を習慣的に飲むようになったいま、健康を害さず、長く楽しく飲むための“正しい知識”が必要だ。知っているようで知らなかったお酒にまつわる基礎知識を紹介する。
教えてくれた人
栗原毅さん/肝臓専門医。栗原クリニック東京・日本橋院長。日本肝臓学会専門医。治療だけでなく予防にも力を入れており、「血液サラサラ」を命名したひとり。著書に『酒好き肝臓専門医が教えるカラダにいい飲み方』(フォレスト出版)など多数。
これってウソ?ホント?お酒にまつわる8つのQ&A
【Q1】お酒に強い人、弱い人は生まれつき?
【A】はい、遺伝子で決まっています!
お酒に強いか弱いかは、体内にアルコールを吸収した際に生じるアセトアルデヒドを分解する「2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)」の分解能力によって決まる。「ALDH2には、分解能力の高いN型と、低下したD型があり、組み合わせで下の3タイプに分類され、どれになるかは遺伝子で決まります」(肝臓専門医の栗原毅さん)。
<遺伝子型/分解能力/出現率>
NN型/高い/56%
ND型/低い/40%
DD型/ほぼなし/4%
【Q2】「酒は百薬の長」ってホント?
【A】メリットもあるが飲みすぎは毒に
「1993年の米国保健科学協議会の発表によると、アルコールをまったく飲まない人に比べて適量の飲酒習慣がある人の方が死亡リスクは下がるとのこと。ただし飲みすぎると死亡率が上昇し、がんの罹患率が上がるのも事実」(栗原さん)
<メリット>
・善玉コレステロールを増やし、病気を予防
・胃液の分泌が盛んになり食欲が増す
・精神的な緊張をほぐし、ストレスを軽減
<デメリット>
・急性アルコール中毒になる恐れがある
・肝臓・すい臓などの臓器障害やがんの発生リスクが上がる
・睡眠障害やうつ病などの問題を招く恐れも
【Q3】お酒は飲み続けると強くなる?
【A】耐性はつきます
「習慣的な飲酒を続けると、ALDH2とは別の酵素により第2の分解経路が作られ、お酒に強くなったような現象が起きます。しかしこれは一過性。飲まなければ元に戻ります」(栗原さん)
【Q4】適量ってどれくらい?
【A】ビールならロング缶1本
「厚生労働省の『健康日本21』によると、1日の適量は純アルコール換算で約20g程度。ビールならロング缶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯弱ぐらいです」(栗原さん)。正しい酒量は下記の計算式をもとに算出してみよう。
<純アルコール量の計算式>
アルコール度数(%)÷100×量(ml)×0.8=純アルコール量(g)