国際福祉機器展でR60記者が注目した介護食アイテム3選「とろみ付き飲み物が身近に!」
介護や福祉に役立つ商品展示やセミナーが行われる『第50回国際福祉機器展H.C.R.2023&フォーラム』(主催:全国社会福祉協議会、保健福祉広報協会)が9月27日から3日間、東京ビッグサイトで開催された。さまざまな新商品や注目アイテムの展示がある中で、R60記者が注目した“食”に関する最新の企業の取り組みや気になるアイテムをピックアップ!
国際福祉機器展で注目した3つの注目アイテム
今年で50回目を迎える『国際福祉機器展&フォーラム』には、国内外から一般客や介護・福祉関係者など累計11万3139人(主催者速報)が訪れた。
会場には、進化する福祉機器や在宅介護に役立ちそうな商品がずらり。その中から記者が注目した“食”に関する企業の取り組みやアイテムをご紹介する。
1.伊藤園:お茶の老舗が手がける絶妙なとろみ加減の緑茶
来場客で賑わう会場でまず訪れたのは、お茶の老舗メーカー・伊藤園のブース。同社は高齢化時代を見据え、2022年11月からとろみ付きのお茶を商品化し、販売している。
『とろり緑茶』は、均質で安定したとろみで飲み心地がなめらか。カフェインを抑える工夫もされている。一般的な煎茶やほうじ茶のカフェインが約20㎎だが、『とろり緑茶』は7㎎に抑えられている。
さらに、容器は力を入れずに開け閉めできるキャップ付き紙パックなのも高齢者にやさしい設計だ。
商品を発案し開発をサポートした伊藤園の久保田敦之さんによると、
「東京大学大学院の医学系研究科と共同研究により、いくつになってもおいしいお茶を飲んでいただきたくて、試作を重ねました。200回以上の試作を経て、色鮮やかなお茶の緑色をキープしつつ、いつでもすぐ飲めるように安定したとろみ具合にたどりつきました」
お茶の風味はそのままで、ゆっくりと飲み込める絶妙なとろみ具合で、60代の記者にも飲みやすい。
ちなみに、商品名に「とろみ」ではなく『とろり』としたのは、
「高齢者に限定せず、幅広い世代をターゲットにしたかったんです。親・子・孫3世代の皆さんで飲んでもらいたいです」と、久保田さん。
【データ】
とろり緑茶(伊藤園)
https://www.itoen.jp/torori/
価格:432円
容量:1000ml
2.キユーピーが展開するジャネフブランド:手軽な栄養補助食品
キユーピーの介護食といえば、一般ユーザー向けの『やさしい献立』シリーズは馴染み深いが、食事に配慮が必要な人たちに向けた、おいしさと栄養機能を兼ね備えたブランド、ジャネフの商品も展示されていた。
ジャネフの商品で記者が注目したのが、料理にかけるだけ、まぜるだけで栄養補給ができる『ごはんにあうソース』シリーズ。
ソースの種類は、たまご・うに・明太・梅風味があり、かけるだけで60kcalのエネルギー補給ができるユニークな商品だ。記者の父が施設で暮らしていたとき、ふりかけが欲しいとよく言われたのだが、こうしたなめらかなソースなら飲み込みやすそうだし、ご飯やおかゆが楽しく味わえそうだ。
【データ】
ワンステップミール ごはんにあうソース たまご風味(ジャネフ/キユーピー)
https://www.kewpie.co.jp/carefood/products/eiyouhokyu/
価格:1037円(希望小売価格)
容量:1袋10g 40袋入り
3.ピジョンタヒラ:育児用品の企業が手掛ける液状のとろみ剤
会場を歩いていると、育児用品を手がけるピジョン系列のピジョンタヒラのブースで、とろみ剤の大きな看板を発見!
ピジョンタヒラでは、介護用品のブランド「ハビナース」を展開している。
「ピジョンが育児用品で培ったノウハウを介護市場でも活かしています」と、ピジョンタヒラの社長・小山貴之さん。
会場でひと際目立っていたのは、『液体とろみ かけるだけ』。とろみ剤は粉末タイプが主流だが、こちらは液状タイプのとろみ調整剤。さっと溶けてダマにならないのが特徴だ。
炭酸のほか、とろみが付きにくいとされている牛乳などたんぱく質の多い飲み物や、酸味が強いオレンジジュースにもすぐにとろみ付けできるという。
【データ】
液体とろみ かけるだけ(ピジョン)
https://www.pigeontahira.co.jp/
価格:1004円(1箱14包入り)
容量:14g(1包)
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会場の取材を通して、高齢化時代における企業の食品や飲料へのこだわりや熱量を実感。なかでもとくに“とろみ剤”の展示が目に付き、とても身近なものに思え、手軽に活用する時代になってきていると感じた。
炭酸飲料が好きな記者の母(90代)だが、炭酸がキツすぎるとむせてしまう。こうした最新のとろみ剤を活用して程よいとろみの炭酸飲料を母に作ってあげたいと思った。
取材・文・撮影/本上夕貴
●89才の母の悩みを解消する介護用アイテムを探して「国際福祉機器展」取材レポート