「特養」不足解消は絶望的!? なぜ施設に入れないのか
新聞報道やテレビのニュースで「介護施設が足りない」という事実は理解していたつもりでも、いざ、自分の親が介護状態になって施設を探すと、改めて「施設に空きがない」という現実をつきつけられるものです。しかし、新聞の広告や車内吊り広告には魅力的な介護施設が掲載され「随時見学できます」などとうたっているものを見受けます。本当に施設は足りないのか、それとも不安を煽る報道をしているだけなのか。そのギャップは一体何なのでしょうか。
高齢者が居住できる施設や住宅は多種多様のタイプがあります(表参照)。実は、その種類によって、入所待ちのあるところと、比較的すぐに空きが見つかる、あるいは入所者を常に募集している施設もあるのです。表では「入居難易度」として表示しています。
入所にあたっては、要介護の認定レベルや、認知症や他の持病の有無などが評定基準となってきます。ですから、たとえ空きがあったとしても、希望の施設に入所できるわけではありません。
民間の老人ホームは重度の要介護者でも受け入れてくれるところが多いのですが、入所に際し、数百万から数千万円の初期費用が必要になることもありますし、月々の利用料が平均でも25万円を超えてしまうところがほとんどです。介護を受ける本人が健康なうちにあらかじめ入所先を決めておいて、介護が必要になったら入所するケースも多く、子どもより要介護者本人の意志で入所する場所だと考えた方が良いかもしれません。
老健(ろうけん)とも呼ばれる「介護老人保健施設」は、医療ケアやリハビリを必要とする重度の要介護者を受け入れる公的な施設です。ただし、あくまでも在宅復帰を目指したもので、長期の滞在は許されません。3か月ごとに継続のための審査があるため、治療やリハビリを行いながら、在宅介護に向けての準備、または長期で入所できる介護施設を探すことになります。
つまり、経済的に余裕があれば、民間経営の豪華な老人ホームに入所すれば良いのです。2013年の調査では、全国の有料老人ホームの入居率は8割程度と発表されていますから、探せば空きはあるはずです(「社会福祉施設等調査の概況」/厚生労働省より)。
要介護のレベルや、サービスによって細分化された高齢者のための施設。しかし、これだけの種類が用意されているのに、なぜ施設に空きがないと叫ばれる状態なのでしょうか。