【食事で選ぶ】女性のための老人ホームをスペシャリストが厳選
全国に有料老人ホームは約8500施設、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は約8万8500戸ある。そのなかから、女性が本当に充実したセカンドライフを過ごすためには、何を視点に、どのように選んでいけばよいのか。「医療体制の充実」「立地条件」「入居費用」「運営会社」…などのポイントがあるが、近年重視されている新しい視点で、介護施設情報のスペシャリスト6名(※1)の協力を得て厳選した老人ホーム(サ高住を含む)を紹介する。
食事充実する老人ホーム おしゃれカフェ常設の施設も
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「高齢者施設の医療・介護体制の充実度はもちろん大事ですが、入居女性に満足度を聞くと、まず出てくる言葉が『食事がおいしい』『まずい』ということ。単調な生活になりがちな施設の生活には、圧倒的に『食事』への関心が高く、続いて『入浴』『アクティビティー』となっています。」
こう話すのは、高齢者施設のコンサルティングを行う「日本ケアサポートセンター」の高室成幸理事長だ。
「食事がまずい」という理由で食が細って、体力を落とす高齢者が少なくない。食事は元気の源。食べやすく工夫され、栄養バランスのとれた食事で、病気や介護の予防ができる。
いちばん大切なことは「おいしいかどうか」。朝、昼、晩の食事を日々の楽しみにできるかどうかは、健康維持のためにも必要だ。
まずは、そんな食事に気を使っている老人ホームを2つ紹介しよう。
ひとつめは「センチュリーシティ大宮公園」(埼玉県さいたま市)。
”一人ひとり違う味つけ”にできる限り対応するのは4人の調理師。「味を濃く」から「マヨネーズの別添えはいいけど混ぜるのはだめ」「食パンの耳はおとして」という要望にまで細やかに対応。入居者と調理師が毎日言葉を交わすので、自然と味つけの好みを覚えているという。
「調理師4人が目指すのは、プロが作る家庭の味。お母さんが4人いるようなものですね」(高田調理長)。
メニューは「老化遅延」に効果があるとされる動物性たんぱく質・油脂類が効率的に摂取できるよう、栄養士が細かく管理。隣接する青果店から新鮮な国産の食材を仕入れ、直営のキッチンで調理する。本誌記者は牛肉の塩ダレ焼きを試食。丁寧に炒めた玉ねぎの甘みと牛肉の旨みが口に広がり、プロの家庭料理を堪能した。
続いて、「クラーチ・メディーナ稲田堤」(神奈川県川崎市)。
エントランスを抜けると開放的な雰囲気の『クラーチカフェ』で入居者が憩う。焼きたてのクロワッサンやこだわりのコーヒー、ラテアートをあしらったカプチーノも味わえる本格カフェとして好評だ。食事はカフェ奥にある食堂で。
毎日3食2種類のメニューから選択できるシステムで、例えばある日の昼食は、メインを「冷やし梅うどん」か「鶏肉のからし醤油焼き」から選び、そこに副菜とデザートが付く。
「赤・黄・緑を取り入れることはもちろん、メインと副菜の味つけがかぶらないように気をつけています。見た目も大切なので、盛りつけも工夫していますよ」と女性シェフならではの心配りも。
季節によってうなぎや寿司、クリスマスにはコース料理なども味わえる。
※1 6人のスペシャリスト(敬称略)
高室成幸(「日本ケアサポートセンター」理事長)
米沢なな子(「高齢者住宅情報センター」大阪センター長)
安藤滉邦(「有料老人ホーム情報館」を運営する「ケアプロデュース」代表取締役)
看舎佳太(「老人ホーム紹介センター」社長)
末木篤司(「あいらいふ入居相談室」マネージャー)
吉木均(「老人ホーム紹介のグッドウッドラン」代表)
【データ】
センチュリーシティ大宮公園
公式HP:http://www.centurylife.co.jp/omiya_honkan/
運営会社:センチュリーライフ
開設年月:1989年1月
入居一時金:1995万円~(介護等一時金324万円)、介護館の場合
月額費用:約18万円~
クラーチ・メディーナ稲田堤
公式HP:http://www.kuraci.co.jp/house/medeina/inada/cost/
運営会社:クラーチ
開設年月:2015年5月
入居一時金:390万円~
月額費用:16万8000円
※「入居一時金」「月額費用」は、基本的に80才の人が介護居室に1人で入居した場合の金額。月額料金には、管理費、食費、光熱水費、上乗せ介護費などを含むが、介護保険の1割り負担は含まず、一部ホームでは光熱水費は含まない。
※女性セブン2016年8月25日号