プロが教える【冷凍保存術】5つのポイント「価格爆騰の“卵”もそのまま冷凍できる!」
物価高騰のいま、食材を長期間保存できる“冷凍”が注目されている。冷凍保存にくわしい専門家が解説します。とはいえ、自己流だと冷凍焼けしてしまったり、味落ちしてしまうことも。そんな悩みを解消すべく、卵と豆腐の最適な保存術と調理時間を短縮できるレシピもお届け。冷凍することで生まれる新食感を楽しんで!
※材料は記載のないものは全て2人分。
冷凍保存が食材の新たな魅力を引き出す
昨年から続く値上げラッシュ。せっかくまとめ買いした食材を使い切れずに廃棄することのないよう、いまこそ「冷凍保存」を味方につけたい。
「冷凍すると、食材が本来持っている水分が結晶化して細胞壁を壊すため、解凍する際に栄養とうまみが溶け出してしまいます。つまり、解凍しても元の食材の状態には戻りませんが、逆から考えれば、その食材のうまみが効率よく煮汁に溶け出してくるということ。この性質を活用して調理するのが手です」(東京海洋大学特任教授・鈴木徹さん)
料理研究家の島本美由紀さんも、「冷凍食材は火の通りが早く、味もしみ込みやすいので、調理時間の節約とおいしさが両立できる」と話す。
食材ごとに適した冷・解凍のワザがあるというから、ぜひ覚えたい。
冷凍保存術【ポイント】
プロがおすすめする冷凍保存術をまとめた。
【1】火の通りにくい野菜はカット冷凍で時短調理に!
【2】価格高騰の”卵”もそのまま冷凍できる!
【3】魚は下味冷凍にして臭みが出るのを防ぐ
【4】出番が少ない調味料は瓶ごと冷凍室にIN
【5】豆腐はパック事冷凍で肉のような食感に
『卵』の冷凍保存
丸ごと冷凍すれば黄身がもっちり濃厚に
凍った白身は半透明になり、水につければ、割れ目からするっと殻を外せる。
■保存期間
1か月
■冷凍方法
1個ずつラップに包んで冷凍用保存袋に入れる。
■解凍・調理法
凍ったまま加熱。また、常温解凍すれば生卵と同様に使える。
●目玉焼きオープンサンド
【1】冷凍卵1個は水にくぐらせて殻をむき、包丁で縦半分に切る。
【2】フライパンにサラダ油小さじ2を入れ、パプリカの輪切りの中に【1】の断面を下にして置き、中火にかける。
【3】パチパチと音がしてきたら水大さじ1を加えて蓋をし、好みの硬さに焼く。
【4】トーストした食パンにマヨネーズを塗り、レタスと【3】をのせて塩を振る。
『豆腐』の冷凍保存
解凍後は水分が抜け弾力のある肉のような食感に
豆腐は凍らせると水分が抜けてスポンジのようになる。木綿豆腐は高野豆腐のように噛み応えがあり、絹ごし豆腐は生湯葉のようになめらかな食感に。しっかり水気を絞ってそぼろにしてもいい。水の中に豆腐が浮いている従来型と、ほとんど水がない充填豆腐。どちらも冷凍できる。
■保存期間
3か月
■冷凍方法
パックごと冷凍室に入れるだけでOK。
■解凍・調理法
前日から冷蔵室で解凍するか、パックごと流水につける。しっかり水気を絞って、料理に使う。
●冷凍豆腐で大葉チーズカツ
【1】パックごと冷凍した豆腐1丁は、冷蔵室で解凍して水気をしっかり絞り、8等分に切り分ける。
【2】もう一度水気をしっかり絞り、半分に切った溶けないスライスチーズ1枚、大葉2枚を挟んで、小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつける。
【3】180℃の油で表面がきつね色になるまで3分ほど揚げる。器に盛り、好みのソースをかける。
教えてくれた人
東京海洋大学特任教授 鈴木徹さん
冷凍学の専門家として、科学的でわかりやすい解説に定評がある。冷凍に関する著書多数。
料理研究家 島本美由紀さん
冷蔵庫収納&食品保存アドバイザー。消費者庁主催の食品ロス削減推進大賞で審査委員会委員長賞を受賞。
料理/島本美由紀 撮影/田中宏幸 スタイリング/宮田桃子 取材・文/山下和恵
※女性セブン2023年4月27日号
https://josei7.com/
●野菜はまるごと冷凍できる!野菜冷凍保存術|冷凍のスペシャリストが提唱