右の鼻が詰まったら左のわきにペットボトルをはさむ…体験しながら学ぶ「体の不思議」チャレンジ4選【専門家監修】
同じ料理を食べているのに、日によって美味しい、美味しくないと違う味に感じた経験をした人もいるはず。私たち人間の体は無意識のうちに色んな現象が起きている。解剖学者の樋口桂(かつら)さんに聞いた「知ってなるほど!」の体の不思議を紹介。実際に体験をしながら体の仕組みを学んでみよう!
※今回紹介する各チャレンジについては個人差があるので、解説の結果通りにならないこともあります。
世代によって塩味の感じ方が違う!
<実験>
【1】2Lの水入りペットボトル3本(A、B、C)を用意する。
【2】Aは0.1%、Bは0.2%、Cは0.3%の食塩水になるよう塩を入れる(水2Lに対し、それぞれ2g、4g、6gを入れてよく振って溶かす。食卓塩でOK)。
【3】できれば、若年世代と高齢世代に分かれ、塩分濃度が薄い順(A→B→C)に味見する。どの段階で塩味を感じたか回答する。
【解説】
「年齢が高くなるほど、塩分濃度が濃くないと塩味を感じにくくなります。記録によると、15~59才までの人はAで塩味を感じるケースが多く、60~74才ではBで、75~89才ではCで感じたという結果が報告されています。これは塩味に限らず、酸味・甘味・苦味でも同様です。
味覚の感度は年齢だけでなく温度によっても変わり、熱すぎても冷たすぎても味を感じにくくなり、味覚の感度が最大限に発揮されるのは、22~32℃とされています」(樋口さん・以下同)
つまり、熱いみそ汁より常温まで冷めたみそ汁の方が塩辛く感じられるというわけなんです!
<樋口さんの一言コメント>
味は温度によっても感じ方が変わります!
わきの下で帯を締めると、顔に汗をかきにくくなる
【解説】
「図のように、帯などでわきの下を締めつけると、顔に汗をかきにくくなります。これは、“皮膚圧半側発汗(はんそくはっかん)”という反射現象を利用しています」
ただし下半身には余計に汗をかきやすくなるとか。
片方の鼻が詰まったら、反対のわきにペットボトルをはさんで!
【解説】
右の鼻が詰まったら、左(詰まった鼻と反対側)のわきの下にペットボトルなどをはさむと詰まりが改善する。
「これは交感神経の仕組みを活用した裏技です。交感神経が優位になると鼻の血管が収縮して通りがよくなるのです」。
唾液は自在に出せる!
【解説】
唾液には抗菌作用があるほか、口内を酸性にしないよう保ち、歯を守る働きなどがある。しかし、老化やストレスなどで分泌量が減ることも。
「自然に出ないときは、唾液腺(※)を刺激すると出やすくなります」。
耳の下からあごの下にかけて手のひらを当て、円を描くようにマッサージを。
(※)唾液を分泌する部分。舌の下、ほほの少し後ろ(耳の下)、下あごのえらの少し下のふくらみの3か所からは多量の唾液が分泌されやすい。
冷たいものを食べて頭がキーンとするのは脳の勘違い
【解説】
「冷たいものを食べたときのように、あまりにも強い刺激が入ってくると、感覚を処理する脳が勘違いして、口ではなくこめかみや額に強い刺激を受けたように誤認処理してしまうのです。明確な対処法はないのですが、痛みが出た部分をやさしくなでたり、その部分を軽く冷やすと、やわらぐこともあります」
教えてくれた人
樋口桂(かつら)さん/解剖学者。文京学院大学保健医療技術学部教授。主な専門分野は解剖学、臨床解剖学など。テレビ番組で人体に関する解説や企画監修も手がける。著書に『カラダのふしぎ カラダのしくみ― 知ってなっとく!身近な解剖学』(東山書房)など。
取材・文/北武司 イラスト/尾代ゆうこ、藤井昌子
※女性セブン2023年4月20日号
https://josei7.com/
●あなたは右脳派か左脳派か?腕組みでチェック!体の不思議を体験【解剖学の専門家監修】