1日2分!がんを防ぐ筋トレ13選「筋トレしている人はがん死亡率が低下」【医師解説】
厚生労働省「人口動態統計」によると三大疾病(がん・脳血管疾患・心疾患)の1つであるがんによって死亡した人は2021年では38万1505人、全死因の26.5%に当たる。日本人の死因のおよそ4分の1を占め、その割合は年々上がっている。早期発見・早期治療が重要だが実は近年、筋肉をつけることが「がん予防」に役立つことが判明した。がん専門医が教えるトレーニング方法を紹介する。ぜひチャレンジを!
筋トレしている人の「がん死亡率」が低下
1981年以降、がんは日本人の死因の1位だ。治療技術が年々進歩しているだけでなく、がん予防に関する知見も格段の進歩を遂げているという。
「がんは軽度の炎症が長期にわたって続く慢性炎症が一因のため、炎症を抑えることで予防が可能だと考えられています」
とは、がん専門医の石黒成治さんだ。
慢性炎症を抑えるためには特に運動が必要で、それもウオーキングなどの有酸素運動より筋トレが有効だという。
「イングランドとスコットランドの人たち8万306人を、平均9.2年観察して運動と死亡率の関係を調べた研究が2018年に発表されました。彼らに、有酸素運動だけ、筋トレだけ、有酸素運動と筋トレの両方をさせた結果、筋トレだけした人と、有酸素運動と筋トレの両方をした人のがん死亡率が低下。有酸素運動だけの人の死亡率低下は認められませんでした」(石黒さん・以下同)
外科医として胃がんや大腸がんの手術を多数行ってきた石黒さんだが、これらのがんで手術をする患者の多くは、お腹まわりの筋肉も筋膜も薄く、簡単に切開できたという。
「がんの手術をするたびに、なぜお腹の筋肉がペラペラで筋肉がついていない患者さんが多いのか不思議に思っていたのですが、先の研究結果で合点がいったわけです」
ほかにも、アメリカで実施された調査では、週1回以上の筋トレを行っているがん患者は、行っていない患者に比べて死亡リスクが減少。筋トレをしている人は、していない人に比べてがんの発症リスクが低下したという結果も発表された。
「このような研究結果を踏まえ、私はがんの予防や再発防止、進行を抑えるために、毎日少しでも筋トレするようおすすめしているのです」
抗がん物質が分泌される「筋トレ」でがんの予防、進行を抑制しよう
では、なぜがん予防や進行抑制に筋トレがいいのか。
「筋トレをすると、筋肉からミオカインという炎症を抑える物質が分泌されます。そのなかのイリシンという物質には直接の抗がん効果があることが2019年に判明しました」
また、筋トレをすると、筋肉が収縮してリンパ管を圧迫し、リンパ液が流れやすくなる。すると、自然免疫の一種・ナチュラルキラー細胞が腫瘍に集まりやすくなり、がんを一斉に攻撃してくれるのだ。
「がん予防の筋トレはジムに行く必要はなく、自宅でできる簡単なものばかりです」
具体的な方法は下記に詳述する。
がん専門医直伝!初心者でも簡単にできる大腸がん・乳がん予防の「がん筋トレ」
筋肉は何才からでも鍛えられ、石黒さんが主宰するスクールの生徒には78才の女性もいるとか。まずは初級からトライ!
筋肉の退化は30代から始まる。筋トレを行わなかった場合、平均年間250gずつ筋肉は失われ、75才までに全身の筋肉の25%が失われるという。
「筋肉は放っておくと失われますが、逆に、鍛えれば何才だろうとつきます」(石黒さん・以下同)
とはいえ運動習慣のない人が始める場合はまず、習慣化することが大切。1日2分を目標に、ただ“毎日続ける”ことだけを考えよう。
「朝の空腹時に行うのが成長ホルモンの分泌が促されて効果的ですが、隙間時間に行ってもOKです」
筋トレを始めてもすぐに筋肉がつくわけではないし、お腹やお尻の脂肪が大幅に減ることもない。ただ、6か月程度続けると、ようやく筋肉が増え始める。それまで、続けることが何よりも大切なのだという。
「上記の回数はあくまで目安です。少しきついと感じる程度に筋肉を刺激して、翌日に疲れを残さないことが継続の秘訣です」
毎朝の習慣にしよう。