カチンとくる夫のひと言にどう返す?「幸せな夫婦になる会話術10選」【専門家監修】
結婚生活も長くなると、夫の一言にカチンときたこともあるはず。言いたいことをがまんし続けていると、とっさに返答できないかもしれない。しかし、会話も筋トレと同じ。最初は難しくとも、繰り返し使えばできるようになる。夫も自分もラクになる賢い会話集をプロが伝授!
夫婦関係は会話を工夫すれば改善できる
「いい夫婦の日」が制定された1988年以降、同居期間20年以上の熟年離婚が年々増え続けている。その原因を心理カウンセラーの石原加受子(かずこ)さんはこう分析する。
「なんといってもコミュニケーション不足です。悪気がある・ないにかかわらず、夫が無神経な一言を発する。それに対して妻は言及せずにがまんをし、ある日それが爆発して離婚に至る、というケースが多いようです。
というのも、40代以上の妻の多くが“私ががまんをしてこの場をやり過ごせばいい”と考える傾向にあるから。これは、幼い頃から調和を尊ぶように育てられた、時代の影響も大きいでしょう」(石原さん・以下同)
不満をため込み続けていれば、表情や態度に出てしまうもの。すると夫は、“妻はいつもイライラしている”と思い、夫婦間の雰囲気がより悪くなるという負のスパイラルに陥ってしまう。
「しかし、夫婦関係が長い間悪くても、少し会話を工夫すれば改善できます。また、難事を協力して解決することで、互いの大切さに気づくこともあります。そのようなご夫婦をたくさん見てきました」
こんなせりふ、夫から吐かれたことはありませんか?
夫に「昼飯はうどんでいいよ」と言われたことがある人も多いのでは?家事で忙しいさなか、暇そうな夫からこう言われれば、カチンときて当然。「暇なら自分で作れば!」と叫びたくなるのをこらえ、うどんを作る妻がほとんどなのではないか。
「これを言う夫にも、腹を立てる妻にも、“妻が料理をして当然”という思い込みがあります。家事や育児は女性が担当するものという常識から互いに抜け出る必要があります」(石原さん・以下同)
夫婦は対等という意識を持てれば、自ずと、「うどんが食べたいの? それなら冷蔵庫に材料があるから、作っていいよ」 と返事ができるはずだ。
「大切なのは、妻の意思。自分が料理をしなければならないという思い込みを捨て、夫に自分の意見を伝えましょう」
夫も妻も楽になる「賢い実践会話集」
夫からのムカつく一言へのうまい返し方を紹介する。言葉に心を込めなくてもいい。まずは試してみて!
■「疲れているんだ」「また今度聞くよ」
【×】「じゃあ、もういいわよ!」
【○】「話を聞いてもらいたかっただけだから、後で時間をちょうだい」
夫が妻との会話を避けるのは、終わりがない話を聞かされるのが嫌だから。
「意見が欲しいわけでなく、ただ話を聞いてほしいだけなど、話の“目的”を伝えると◎」(石原さん・以下同)
■「手伝おうか?」
【×】「邪魔だからいいわよっ! 私がやるから!!」
【○】「じゃあ、宅配便を受け取ってくれる?」
「役に立ちたくても何をしていいかわからないという夫は多い。妻は“察してほしい” “手伝うんじゃなくて主体的にやって”と思いがちですが、それは無理というもの。具体的に指示を」
■「その服、また買ったのか」
【×】「セールで安かったの。別にいいじゃない(怒)」
【○】「そうよ、似合うでしょ♪」
自分の買い物に対して罪悪感を覚える主婦は多い。
「夫にとがめる気はなくても、罪悪感から責められたように感じ、言い訳をしがち。買った事実と自分の気持ちを言えばいいのです」
■「下手だな~。おれがやった方がうまいんじゃないか?」
【×】「じゃあ、あなたがやってよ!」
【○】「そう! やってほしかったの!! 次回からよろしくね」
掃除やDIY家具の組み立てなど、妻が頼んでもやらないくせに、やっているのを見ると難癖をつける。
「こういう夫には、“次はよろしく”と期待を込めてお願いを。人は頼られると弱い!」
■「結局、何が言いたいの?」
【×】「別にそんなものはないわよ」
【○】「あなたと話したかっただけなの」
「女性は結論がない会話を好みますが、男性は会話に結論や解決策を求める傾向が。夫は会話がどこに帰着するか知りたいだけなので、妻の会話の目的をわかってもらえばいいのです」
■「はいはい、おれが悪かったよ。謝ればいいんだろ?」
【×】「そういうことじゃないのよ!」
【○】「そう言われると悲しいな。問題がどこにあるか話し合おう」
とりあえず謝れば、妻の機嫌が収まると思っている夫は多い。
「根本的な解決にならないので、妻は冷静になって、問題を解決したいという意思を伝えることが大切です」
■「太ったな~」「老けたな~」
【×】「あんたのせいで苦労ばかりだからね!」
【○】「ショックだな。気にしているから、言わないで」
「容姿にまつわる心ない一言は、夫婦と言えど禁句。“もう言わないでほしい”とはっきり伝えましょう。それでも繰り返した場合は、毅然とした態度でやめるように言うか、無視を」
■(ばかにしたように)「おまえは楽しそうでいいな」
【×】「私だって大変なのよ」
【○】「そうなの」「つらいときこそ楽しむことにしてるの」
夫が妻をばかにする背景には仕事などがうまくいかず、妻にマウントをとってストレス発散をしている可能性も。
「挑発に乗る必要なし。自分の状態を前向きに伝えましょう」
■「どっちでもいいよ」「何でもいいよ」
【×】「いつも、後で文句を言うじゃない。ちゃんと決めて!」
【○】「じゃあ、私が好きな方に決めちゃうね」
「選択権を与えたのに、選ぶことを放棄し、後で文句を言ってくる場合、あなたが決めてしまうのがおすすめ。妻が選び、楽しそうにしていれば、夫も文句は言えないはず」
■「何時に帰ってくるんだ?」「遅くなるなよ」
【×】「早く帰ってくればいいんでしょ!」「自由にさせてよ!」
【○】「楽しみにしていたの」「思い切り楽しんでくるから遅くなるわ」
「この場合の夫は悪気がないケースも多いので、妻はまず、出かけることへの罪悪感を捨てましょう。そして夫に対し、自分の気持ちや状態を素直に伝えればいいのです」
教えてくれた人
石原加受子さん/心理カウンセラー、厚生労働省認定「健康生きがいづくり」アドバイザー。夫婦や親子などの対人関係の改善を目指すカウンセリングを30年近く続けている。『感情はコントロールしなくていい 「ネガティブな気持ち」を味方にする方法』(日本実業出版社)ほか著書多数。
取材・文/前川亜紀 イラスト/なとみみわ
※女性セブン2022年12月1日号
https://josei7.com/
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