理想の「おしどり夫婦」には大きな落とし穴が!適切な夫婦関係を築く5つのポイント
どこに行くにもふたり一緒、妻は夫を立て、夫はそれを受けていつまでもりりしく妻を守る―そんな理想の「おしどり夫婦」には大きな落とし穴があった。長年連れ添ってきた相手だからこそ「期待しない」関係が必要だ。適切な夫婦関係を築くポイントを著名人や専門家の意見とともに紹介する。
行く当てがなければ公民館へ誘い出す
夫婦仲が崩壊するどころか、心身にも影響をきたす「おしどり夫婦」の落とし穴。はまらないためには、夫婦以外の交友関係を積極的に広げ、べったりとした関係から脱却することも重要だ。
女優の中村メイコさん(88才)は、作曲家の神津善行さん(90才)と結婚65年目を迎える。適度な距離を保ち、いい夫婦関係を続ける秘訣を語ってくれた。
「周囲の奥さんたちの多くは複数人で実践するスポーツを趣味として持っている人が多い印象です。テニスやバドミントンなどをうまく生活に取り入れています。積極的に屋外に出て仲間と体を動かすのは有用だと思います」(中村メイコさん)
とはいえ、いきなり訪ねてチームに加えてもらうのは、ハードルが高いという人も多いだろう。『定年ちいぱっぱ』(毎日新聞出版)など定年後の夫婦関係を題材にした著書がある作家の小川有里さんは、公民館を活用することを推奨する。
「もし、趣味や友人が見つからなければ手始めに地域の公民館に行ってみることをおすすめします。1回数百円で利用できるジムやスタジオレッスンに加え、料理や手芸教室から弓道まで幅広い講座を用意している自治体が多い。実際に私の夫も公民館がきっかけでダンスを始めました。安く済ませられるうえに、そこに来ている人たちのほとんどは近隣の地域に住んでいるため、人間関係もつくりやすい。定年後、家にこもりがちだった夫を公民館に一度連れていったら、友人と趣味を見つけてその後はひとりで外出するようになったという事例は多く聞きます」(小川有里さん)
新たな人間関係を築くための心遣い
ただし、新しい人間関係を広げる際、気をつけるべき点もある。「こころと体のクリニック」院長の和田秀樹さんは、こう指摘する。
「新しいグループに入って交友関係を広げるときはその関係性に注意しましょう。グループのリーダーになる人には2つのタイプがあり、厄介なのは自分の言うことを聞くイエスマンで固めて、自分がいちばんの有力者であることを確認するタイプです。『参照点』が高く、自分への支持を当然のものと考える人が少なくない」(和田秀樹さん・以下同)
こういったリーダーについてしまえば、もめ事に巻き込まれたり行事やイベントへの参加を強制されたりと、家庭内で感じる以上のストレスを抱えかねない。
「一方で、誰に対しても気さくで、自然と人が寄ってくるリーダーもいる。このタイプは他人への期待値が低く、相手にあまり要求しません。目指すにしてもつきあうにしても、後者の方がいい。ただし出会ってすぐに見分けることは難しいため、積極的に複数のコミュニティーに顔を出していろいろな人に話しかけ、相性が悪いと感じた人とは距離を取ればいい」
適度に働くことで金銭的・精神的に余裕が
外部の交友関係も夫婦同様、べったりとしたつきあいは避けた方がいいということ。夫婦揃って健康で幸福でいるためには、先立つものも必要だ。小川さんは賃金と社会とつながっている実感が両方得られる場所として「シルバー人材センター」を挙げる。
「夫が定年を迎えたら、夫婦ともにシルバー人材センターへの登録を推奨します。週に2~3回などのペースで気軽に働ける仕事が結構あります。自由になるお金が得られるのはもちろん、定年後、ほかの人がどういう働き方や生活をしているかを知ることができて、今後の生き方の参考にもなります。力まずに、『何か見つかるかも』くらいの気持ちで登録してみてはどうでしょう。私の友人は夫を誘い、小学生の登校の見守りを週に1回行い、地域での交流を広げています」(小川さん)
夫婦そろって地域のために、額に汗することができれば、それは理想的な老後といえるだろう。雨の日も晴れの日も―これまで長く生活をともにしてきたパートナーと、「有終の美」を飾るために、「期待しない愛」を実践してみてほしい。
“期待しない” 夫婦関係を築くための5つのポイント
■夫婦は「ギブアンドテイク」と心得る
年を重ねた夫婦はお互い体力が落ち、昔のようには行動できない。だからこそ、やってほしいことや自分の状況はしっかりと伝え、「取引」をする。ただし強い口調はNG。お互いの環境をよくするための交渉だと心得たい。
■一緒に行くならスーパーへ
趣味や友人同士の集まりなどなんでも一緒に行くことは新たな火種を生む。ただし、スーパーはものの値段や売っている場所を知ってもらうため、また重い荷物を持ってもらうためにも一緒に行くべし。
■参照点を下げる
相手に期待するのは自分の問題でもある。「参照点」を下げ、期待せず見守ることも1つの愛。
■公民館に通う
弓道や水泳、手芸など、さまざまな講座が安価で提供されているうえ、そこに集まる人は地域の近隣住民がほとんど。交友関係も広がる。
■シルバー人材センターに登録する
週に何度か働くだけでも老後の資金を増やすことにつながるうえ、定年後の生活のモデルケースを見ることもできる。
※女性セブン2022年6月30日号
https://josei7.com/
老後ストレスのない人間関係の築き方「夫婦の会話は“盛る”」「気の進まない誘いは断る」