心を穏やかにする7つの食習慣「イライラしたらスイーツより焼肉を」【医師監修】
近年の研究で、心のモヤモヤ&うつうつは環境のせいだけではなく、食事も大きく関係していることが判明している。不足すると心の病を引き起こすリスクを高める栄養素の中でも、大切なのが「たんぱく質」だと、心療内科医の姫野友美さんは語る。心を穏やかに保つために「たんぱく質」の働きや、効率的な摂り方を教えてもらった。
ストレスに対応できる脳を作るため「たんぱく質」が必要
「ストレスを感じても気持ちをコントロールできるのは、神経伝達物質のセロトニンやドーパミンが働いているから。ところがこれらを作る材料となる栄養素が不足すると、ストレスに対応できず、心が不安定になります」
と話すのは、ひめのともみクリニック院長で心療内科医の姫野友美さんだ。
そもそも人は1日に消費するエネルギーの20%を脳で使っている。ただ起きているだけでもエネルギーを消費しているので、心を安定させるとなると、脳に積極的に栄養を送らないといけない。
「そんな脳にとって最も必要な栄養素はたんぱく質。脳の40%はたんぱく質でできているからです。たんぱく質の多い食材には鉄やビタミンB群も含まれているので、何を食べるべきか迷うならまず、たんぱく質食品を摂りましょう」(姫野さん・以下同)
血糖値が下がると気分も落ち込む
糖質の摂りすぎも問題だ。
「糖質を摂りすぎると、血糖値が上がります。すると、インスリンが分泌されて血糖値を下げるのですが、このとき緊張ホルモンのノルアドレナリンが分泌されます。これが気分の落ち込みに繋がります」
下のリストで5個以上当てはまる人は要注意だ。
あなたは大丈夫? 糖質過剰度チェック
下記のリストで5個以上当てはまる人は要注意だ。
□ 甘いものが食べたくてしかたがない
□ 食事を抜いたり、時間が空いたりするとイライラする
□ 食事を抜くと疲れを感じ、決断力が鈍る
□ もの忘れが多い、または集中力が低下した
□ 食後1時間くらい経つと、だるさや眠気を感じる
□ うつ病、または気分にむらがある
□ 理想の体重より20%以上増えた
□ よく不安になり、神経過敏になる
□ ため息、生あくびが出やすい
□ 寝汗をかきやすい
□ 悪夢にうなされることがある
□ 寝ているときに、歯ぎしりをしていると指摘された
上手にたんぱく質を摂る7つの食習慣
イライラしたとき甘いものに手が出る人は要注意! 迷ったら「たんぱく質」を摂るべし!
【1】冬はとにかく鍋を食べよう
献立に迷ったら、肉、魚、大豆製品、野菜など、一度にたくさんの種類の栄養を摂れる鍋料理を。
「スープごと飲めば素材の栄養を丸ごといただけます」(姫野さん・以下同)。
【2】1食で2種類のたんぱく質を摂る
たんぱく質には主に動物性と植物性があり、含まれる栄養素もアミノ酸の組成も異なる。そのため、1食で2種類のたんぱく質を摂るのが理想だ。
「動物性と植物性たんぱく質の割合は2:1がおすすめです」。
【3】魚はなるべく刺身で食べる
蒸す→煮る→焼く→揚げるの順で、たんぱく質量は減っていくため、刺身など生で食べられるものほど効率よくたんぱく質を摂れる。
【4】イライラしたらスイーツより焼肉!
イライラ解消には甘いものがいいといわれるが、逆効果。
「セロトニンが不足しているので、甘いものより肉などのたんぱく質を摂ってセロトニンの合成を促して」。
【5】肉や魚を食べるときはレモンを搾って!
40代以降の日本人女性は、鉄不足の人が多い。鉄不足は前述の通り、イライラの原因に。
「鉄はビタミンCと摂ると吸収率が上がるので、肉や魚を食べるときはレモンを搾るか、ビタミンCが豊富な野菜と一緒に摂って」。
【6】プロテイン食品をうまく活用する
1日に必要なたんぱく質量は50代女性で約50g。食事だけで摂れないならプロテイン食品の活用を。
【7】果物は果糖の少ないものを
果物はビタミンCが豊富だが、果糖(糖質)が多いものも。さくらんぼやキウイ、いちご、みかんなど、果糖の少ないものを選ぼう。
教えてくれた人
姫野友美さん/心療内科医
医学博士。ひめのともみクリニック院長。テレビ東京系『主治医が見つかる診療所』のレギュラーも務めた。著書に『心療内科医が教える 疲れとストレスからの回復ごはん』(大和書房)など多数。
取材・文/鳥居優美 イラスト/オカダナオコ
※女性セブン2022年11月24日号
https://josei7.com/
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