「ラーメンサラダ」「冷やし担々麺」「盛岡冷麺」…お店発祥の人気冷やし麺を再現レシピ 発祥秘話も
日本各地で食べられている有名な冷やし麺を、おうちにいながらその味付けが楽しめるよう、食文化研究家 大和イチロウさんに発祥秘話も交えて再現レシピを教えてもらった。人気店の再現レシピも必見!
※分量は2人分です。記載のない食材や調味料は好みで調整してください。
※麺は袋の表示通りにゆで、冷水でしめたものを使用しています。
※電子レンジは600Wを使用しています。
大陸の麺料理がルーツ 独自に発展を遂げた大衆の味
「ラーメンや冷麺が日本に広まったのは戦後のこと。大陸からの引き揚げ者が、ラーメンや平壌冷麺を懐かしんで作り始めたのがきっかけです」
現在の具材や味付けになるまで、日本各地で独自に発展してきたご当地麺の数々。その発祥についても、大和さんに教えてもらった。
ラーメンサラダ
彩り野菜がたっぷりのってひと皿で大満足!
1980年代に『札幌グランドホテル』で発案され、いまでは北海道の学校給食や居酒屋の定番メニュー。具材は北海道産のグリーンアスパラを中心に、店によってさまざま。サラダ感覚で食べられると老若男女に人気の一品。
<作り方>
【1】器にレタスを敷き、中華麺ときゅうりのピクルス、きゅうり、トマト、ゆで卵、サラダチキン、塩ゆでしたグリーンアスパラとブロッコリーをのせる。
【2】ごまドレッシング適量をかける。
冷やし担々麺
豆乳のマイルドな甘みにピリッとラー油がアクセント
全国的に夏の定番麺となっているが、東京にある中国料理店『銀座 小はれ日より』のまかないが元祖とされる。蒸し暑い厨房で冷たいものを食べたいという思いから、約25年前に生まれた。
<作り方>
【1】ボウルに練りごま80g、しょうゆ大さじ2、酢小さじ2を入れて混ぜ、豆乳3カップを少しずつ加えて混ぜる。さらにラー油小さじ1を加えて混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やす。
【2】フライパンにサラダ油を入れて弱火で熱し、おろししょうが・おろしにんにく各小さじ1/3を炒める。香りが立ったら豚ひき肉150gを入れて色が変わるまで中火で炒め、甜面醤・酒各小さじ2、しょうゆ小さじ1、山椒少量を加えて炒め合わせる。
【3】器に【1】を入れ、中華麺、【2】、パクチー、白髪ねぎを盛り、ミニトマトをのせる。好みでラー油をかける。
盛岡冷麺
牛だしの旨みがスープに沁みるすいかで後味爽やかに
小麦粉とでんぷんで作る麺と、牛肉のだしが効いたスープが特徴。岩手・盛岡にある『食道園』の創業者が完成させたメニューとされ、口直しとしてすいかやりんごなどの果物が入る。
<作り方>
【1】牛すね(ブロック)500gに塩を振り、10分おく。鍋に牛肉、長ねぎのぶつ切り適量、皮付きのしょうがスライス1片分、水1ℓを入れて強火にかけ、煮立ったら弱火で1時間煮る。牛肉を取り出し、だしを漉す。
【2】牛肉は粗熱をとり、食べやすい大きさに切る。
【3】鍋に【1】のだし3カップ、鶏がらスープの素・しょうゆ各大さじ1、酢大さじ1/2を入れてひと煮立ちしたら塩で味を調え、粗熱をとり冷蔵庫で冷やす。
【4】きゅうりは5mm厚さの輪切りにして塩少量を振り、しんなりしたら水気をしぼる。
【5】器に冷麺、【2】、【4】、ゆで卵、白菜キムチ、大根キムチ、すいかを盛り付けて【3】を注ぎ、白髪ねぎをのせて白ごまを振る。
呉冷麺
パンチが効いたピリ辛スープ 酢からしで味の変化を楽しんで
広島・呉の『珍来軒』で、冬も冷たい麺が食べたいという客の声から生まれたとされる。まずはそのまま食べ、酢に唐辛子を漬けた酢からしで味変しながら食べるのが地元流。
<作り方>
【1】酢大さじ2、砂糖小さじ1/2を混ぜ、赤唐辛子の輪切り1本分を加えてひと晩おく。
【2】えび小6尾はよく洗って背わたを取り、殻付きのまま耐熱容器に並べる。酒大さじ1を振って電子レンジで1分加熱し、粗熱がとれたら殻をむく。
【3】市販の冷やし中華のたれ1カップ、粉唐辛子少量を混ぜる。
【4】器に中華麺を盛り、【2】ときゅうり、ミニトマト、ゆで卵、焼き豚をのせ、【3】をかける。好みで【1】の酢からしをかけて食べる。
冷やしローメン
ソースの香りがふわっと広がる肉と野菜で食欲を増進!
ローメンとは、太めの中華麺にマトンや野菜をのせた、長野・伊那で人気の麺料理。温かいタイプが有名だが、夏は豚肉のしょうが焼きをのせた冷やしローメンを提供する店も多い。
<作り方>
【1】水1カップ、鶏がらスープの素小さじ2、中華練りスープの素小さじ1/2、しょうゆ大さじ2、ウスターソース大さじ4を耐熱容器に入れてラップをかけ、電子レンジで2分加熱する。粗熱をとり、冷蔵庫で冷やす。
【2】フライパンにサラダ油を入れて加熱し、豚こま切れ肉100gを入れて色が変わるまで 炒める。市販のしょうが焼きのたれ大さじ11/2を加えて火を止め、粗熱をとる。
【3】鍋に湯を沸かし、キャベツと中華麺を一緒にゆでて冷水にとり、水気を切る。
【4】器に麺とキャベツ、【2】、紅しょうが、トマトを盛り、【1】をかけて和からしを添える。
冷やし朝ラーメン
かつおの風味が豊かなしょうゆ味で、朝からイケる!
県内有数のお茶の産地である静岡・藤枝では、早朝の仕事を終えた茶業関係者のために、朝早くからラーメン店が営業している。温かいラーメンを食べた後、追加で冷たいラーメンを食べるのがツウ。
<作り方>
【1】容器に水21/2カップ、和風だしの素(顆粒)・めんつゆ・しょうゆ各小さじ4を入れて混ぜ、冷蔵庫で冷やす。
【2】器に【1】と中華麺を入れ、チャーシュー、メンマ、のり、紅しょうが、万能ねぎをのせ、わさびを添える。
別府冷麺
和風だしにキムチが新鮮 牛チャーシューで食べごたえあり
元祖は大分・別府にある『胡月』とされ、そば粉入りの麺が特徴。太麺にキャベツキムチを入れる店と、中細麺に白菜キムチを入れる店とに、大きく分けられる。
<作り方>
【1】耐熱容器に酒大さじ2、しょうゆ・砂糖各大さじ1を入れて混ぜ、電子レンジで30秒加熱し、熱いうちにローストビーフ6枚と合わせてひと晩おく。
【2】キャベツ200gは3cm角に切ってボウルに入れ、塩小さじ1を振って混ぜたら20分おき、余分な水分をしぼる。キムチの素大さじ1~2を加えて和える。
【3】鍋にだし汁(かつお)21/2カップ、めんつゆ大さじ3、中華スープの素(顆粒)小さじ1を入れて混ぜ、火にかけてひと煮立ちしたら火を止め、粗熱をとり冷蔵庫で冷やす。
【4】器に冷麺、【3】を入れ、【1】、【2】、ゆで卵、万能ねぎをのせる。
ケンミンも通う人気店の味を再現!
地元出身の店主が提供するご当地麺は絶品揃い! その味を家庭でも気軽に再現できるよう、アレンジレシピを伝授してもらいました。
※写真は家庭用にアレンジしたもので、お店のメニューとは異なります。
◆広島県◆ 広島流つけ麺 からまる
大きなキャベツが主役! 辛さは好みで調整を
広島市内に専門店が多い「広島つけ麺」。全国的に冷たいつけ麺は珍しいが、唐辛子の辛さと酢の酸味、だしとごまの旨みが絶妙に合わさったたれは、唯一無二の味わい。
「具材のメインは大きく切ったキャベツです。つけだれの辛さは選べる店が多いので、辛さが得意な方はもちろん、普段は苦手な方も完食されますよ」(店主・熊原さん)
■たっぷり野菜と酸味と辛さがやみつき
「広島つけ麺」
<作り方>
【1】酢・白だし・しょうゆ各1/2カップ、水1カップ、砂糖大さじ3を混ぜ、冷蔵庫で冷やす。
【2】ごま油とオリーブオイルを3:7の割合で混ぜ、一味唐辛子、コチュジャンを好みで加える。少しおいて味をなじませたら【1】と混ぜ合わせ、白ごまをたっぷりと加える。
【3】市販の棒状ラーメンを規定のゆで時間より1分短くゆで、冷水でしめて水気を切り、器に盛る。ゆでて冷やしたキャベツともやし、チャーシュー、ねぎ、きゅうり、ゆで卵をのせ、レモンを添える。
★POINT★
たれと相性がよいのは、卵の分量が少なめであっさりとした味わいの麺。
麺が埋もれるほどに盛られた野菜。レモンをしぼるとさっぱり感が増す。
まずは野菜をたれにつけて、ビールのおつまみにするのが地元流。
「広島流つけ麺 からまる」
住所:東京都新宿区百人町1-20-7
広島出身の熊原さんが作る、本場の味が忘れられないと通う常連客も多い。店内には、広島東洋カtattuープのグッズがびっしりと飾られている。
店主 熊原淳さん
◆山形県◆ 麺ダイニング ととこ
暑さが厳しい山形ならではのまかないが一躍名物に!
盆地のため、夏は猛暑になる山形市。「冷やしラーメン」の始まりは、中華そばを冷やしたまかないを客に提供したところ、話題となったのがきっかけといわれている。いまや、年間を通して提供する店が多い大人気メニューだ。
「山形で県外の客人をもてなす際は冷やしラーメンが喜ばれます。脂を除くので、ヘルシーで女性にも好評です」(店主・菅原さん)
■ラーメンなのに氷たっぷり!? 油控えめでうれしい低カロリー
「冷やしラーメン」
<作り方>
【1】鍋に湯を沸かし、市販の生ラーメン(しょうゆ)のスープを袋のまま30秒ほど温める。脂の固まりが溶けたら取り出し、切り口を下にして常温で5分おいた後、氷水または冷凍庫で立てたまま10分冷やす。固まった脂を除き、器にスープだけを注いで規定の水量で薄める。
【2】【1】にめんつゆ(4倍濃縮)大さじ4、ねぎ(みじん切り)適量を加えて混ぜる。
【3】麺を規定のゆで時間より30秒長くゆで、冷水でしめて水気を切り、器に入れる。
【4】麺のまわりに氷を入れ、チャーシュー、きゅうり、刻みねぎ、メンマ、なるとをのせる。サラダ油とごま油を2:1の割合で混ぜ、刻みねぎに小さじ2かける。
★POINT★
脂は冷えると固まるため、冷やしラーメンには極力入れないようにするのがおいしく仕上げるコツ。スープの袋を立てた状態で冷やすことで、脂だけが上部に固まる。
脂を除いた分、ねぎに香味油をかけると風味豊かに仕上がる。
麺ダイニング ととこ
住所:東京都千代田区神田小川町3-10-9 斉藤ビル1F
料理には山形直送の新鮮な食材を使用。山形が誇る地酒も豊富に揃う。
店主 菅原由紀子さん
教えてくれた人
大和イチロウさん/食文化研究家
撮影/玉井幹郎 取材・文/スペースリーブ(加藤 瞳、竹内里奈)
※女性セブン2022年7月7・14日号
https://josei7.com/
●糖質オフ麺の極旨レシピを人気店の店主が伝授「ねぎ油やラー油で旨みをアップ」