「貧乏ゆすり3分」「バンザイ体操5分」筋肉を動かして体を温める簡単テクを医師が指南
「体がだるい」「病気になりやすくなった」などの不調を抱えていませんか。その原因は「血液の汚れ」によるものかもしれません。改善するためにできる簡単な生活習慣を専門家に提案してもらいました。血液をきれいにして、動きやすい体と健康を手に入れましょう。
腹巻きや入浴で体を温めてデトックス
食生活の改善と並行して取り組みたいのは、生活習慣を見直すことだ。自然療法の名医として知られ、自身も74才にして健診数値オールAをたたき出すイシハラクリニック院長の石原結實(ゆうみ)さんが最も重視するのは、冷え対策だ。
「体が冷えると熱を体外に逃がさないために血管は収縮します。すると全身の血流が悪くなり、老廃物や毒素が停滞して体内に残るため、病気にかかりやすくなります。そのため、こまめに体を温めることが必要です。特に女性は下半身が冷えやすいため、へそから下を温めると効果的。腹巻きや湯たんぽを使ったり、寝る前にカイロをお腹まわりに貼るのがおすすめです」(石原さん・以下同)
毎日の入浴も習慣づけたい。
「シャワーではなく湯船で温まれば、体温が0.5℃上がります。しっかりと下半身を温めるために、すぐにお湯から出ずに、湯船にいすを入れるなどして半身浴をしてみてほしい。腰から下が温まれば血液の汚れを落とすことができます」
筋肉の7割は下半身にあり!
直接温めるのはもちろん、運動して筋肉を動かすことも冷え対策につながる。
「体の熱の4割は筋肉から発せられるため、積極的に鍛えましょう。特に動かすべきは、全身の筋肉の7割を占める下半身です。ウオーキングやスクワットなど、足を動かす運動を日常生活に取り入れてください」
運動をする時間を確保するのが難しい場合は、「貧乏ゆすり」をするのも有効だ。
「座った状態で貧乏ゆすりを3分以上すると、20分歩いた時と同様の運動量があります。1日3回行えば、1時間歩いたのと同じ効果を得られるので試してみてほしい」
『バンザイ体操』で筋肉を鍛える
仕事や家事の合間に取り入れられる手軽な体操もある。
「1回5分でできる『バンザイ体操』を推奨します。やり方は簡単です。足を肩幅くらいに開いて立ち、そのまま手をバンザイの姿勢で持ち上げるだけ。ポイントは、手を上げるのと同時にかかとも上げること。腕は無理にまっすぐ伸ばさずに、ひじを少し後ろに出して、軽くものを投げるような感じでもかまいません。この動きをゆっくり10回やってみてください。体温が上がって、8回目くらいから汗が出てきます。90才になっても筋肉は鍛えられるので、年齢を理由に諦めずに取り組んでほしい」
ただし、無理は禁物だ。
「負荷の高い運動をして体に負担がかかればかえって血液の質は低下します。運動の内容、時間や距離は、いろいろ試して、自分に合っていると思えるものを見つけてほしい。楽しみながら長く続けるのが健康の秘訣です」
■バンザイ体操のやり方
【1】足を肩幅くらいに開いて立つ。
【2】手をバンザイするように上げながらかかとも上げる。【1】~【2】を10回繰り返す。
ストレスと怒りで血液が汚れる
食事や生活習慣に加え、きれいな血を作るために必要なのはストレスと怒りの感情から距離を置くこと。
「ストレスを受けると交感神経が優位になり、血管が収縮して血行が悪くなります。血圧が上がって脈も速くなり『緊張状態』が続くことになる。当然、血中の老廃物は増加してしまいます。また、イライラしたり強い怒りを感じているときは、ストレスホルモンのコルチゾールの分泌が増え、免疫細胞の働きが低下します。アドレナリンの分泌も増えるため高血圧になるうえ、発汗しやすくなる。体内の水分が失われて血液がドロドロになり、汗によって体が冷えるため、動脈硬化や血栓ができやすくなります」
適度なストレスは生きるために必要で、短期間なら問題ない。しかし、こうした状態が長く続けば血液の質にも影響してくるのだ。
「複雑化する現代社会では仕事先の人間関係や家庭内でのトラブルなどで長期にわたって悩みや不安をかかえ、ストレスを感じる人が多いように思います。しかし、生きている限り悩みはつきないもの。血液の汚れを落とすためにも、多少嫌なことがあっても『まあいいか』と気楽に考えてやり過ごせたらいちばんです。イライラしたときは温かいお茶をフーフーと息を吐いてゆっくり冷ましながら口にすれば、副交感神経が優位になってリラックスできるうえ、カテキンの力で血行も促進されます」
新しいことを始めたくなる春こそ、日常生活を足元から見直して血液の質を意識したい。
血液の汚れを落とす生活習慣・運動リスト
<生活習慣>
●腹巻き、カイロ
体が冷えると熱を体外に逃がさないために血管が収縮し、老廃物や毒素が停滞して体内に残ってしまう。特に下半身は冷えやすいため季節に限らず腹巻きやカイロで温めるべし。
●入浴
シャワーではなく湯船で温まれば、体温が0.5℃上がる。特に下半身はしっかり湯船につかるのがポイント。
●ストレスをためない
怒りやストレスは血管を収縮させて血圧を上げ、ドロドロとした血が作られるもとになる。なるべくストレスや怒りをためず、熱いお茶を飲んで副交感神経を優位に保ち、リラックスすることを心がけるべし。
<運動>
●ウオーキング、スクワット
体の熱の4割は筋肉から発せられるうえ、筋肉の7割は下半身が占める。足を動かす運動を積極的に取り入れたい。
●貧乏ゆすり
座った状態で貧乏ゆすりを3分以上すると、20分歩いた時と同様の運動量が。1日3回行えば、1時間のウオーキングに該当する。
教えてくれた人
石原結實(ゆうみ)さん
イシハラクリニック院長。自然療法の名医として知られる石原さん。生島ヒロシさんとの共著『70代現役!「食べ方」に秘密あり』(青春新書インテリジェンス)には血液の汚れを落とす方法ほか、健康長寿のヒントが満載。
イラスト/おしろゆうこ
※女性セブン2022年4月21日号
https://josei7.com/
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