脂肪肝の予防に医師が教える肝臓をケアする3つの生活習慣「入浴・睡眠・呼吸法」
最近よく耳にする「脂肪肝」は、今や日本人の4人に1人にその症状がみられるという。主な原因は糖質の多い食事と運動不足と考えられているが、ストレスも大敵だと専門家は話す。ストレスを軽減させるには休息をとることが大切。日々の生活の中で肝臓がリラックスする方法を専門家に伺った。
過度のストレスが「脂肪肝」を誘発している
肝臓にとっては、ストレスも大敵だと栗原クリニック東京の日本橋院長で肝臓専門医の栗原毅さんは言う。
「強いストレスを感じると、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪の数値が上昇。こうした状態が続くと、脂肪肝を誘発します。ストレスの受け止め方は人それぞれですが、競争心が強かったり、せっかちで怒りっぽかったりするタイプは、ストレスをためやすいので要注意です」
ストレスを軽減するいちばんの方法は休息をとること。ゆっくりお風呂につかってリラックスすると血行がよくなり、睡眠の質もよくなる。
「強いストレスは呼吸を浅くします。それが肩や首の凝りをはじめ、倦怠感や疲労感など、さまざまな不調の要因に。ですから、ストレスの多い生活を送っている人は、日常的に腹式呼吸を取り入れてみてください」
次の項目ではそれらの具体的な方法を紹介していく。
【入浴】湯温38~40℃の湯船に15分つかるのが基本
リラックスできる入浴も、肝臓ケアにはいい。
「肝臓に負担をかけない湯の温度は38~40℃。この湯船に15分ほどつかると血管が広がって血圧も下がります」
簡単なマッサージやストレッチもおすすめだ。
「ふくらはぎや腕、太ももなどをもみほぐしたら、湯船の中で両手を前に付き背中をそらすストレッチをしてみてください」
【呼吸&睡眠】毎日同じ時間に眠り腹式呼吸を習慣に
ストレスに弱い肝臓のためには、良質の睡眠をとることも重要だ。
「基本的には毎日決まった時間に起きて、決まった時間に就寝することが大切です。コロナ禍の自粛生活で、昼夜が逆転して、夜寝つけない人や、ストレスで寝ても疲れがとれない人などが増えています。しかし、こうした悩みも、起床と就寝時間を同じくするだけで、体内時計が整い、自然と解消されるはずです」
快適に眠るためのポイント
<寝具>
・布団はこまめに干す。
・シーツや枕カバーは清潔に。
・枕は頭や首、肩に負担をかけない高さと形を選ぶ。
<照明>
・目にやさしい白熱灯を使用。
・就寝の1時間前から間接照明に。
<香り>
・好みの香りでリラックス。
・よい睡眠のためには、白檀、ヒノキ、ラベンダー、カモミールなどの香りを活用。
<音楽>
・好きな音楽を小さめの音量で流す(眠りを誘う曲を集めたCDなどもおすすめ)
腹式呼吸でストレス解消&安眠にも
寝る前に避けるべきは、テレビやパソコン、スマホなどを見ることや、熱い風呂に入ること。そして、カフェイン入りの飲料を飲むことだという。いずれも、興奮の刺激を全身の器官に伝える交感神経が優位になってしまうからだ。
「ストレスを解消し、安眠に導くためには腹式呼吸もおすすめです。時間を決めて毎日行うなど、日常生活で習慣化するのがよいと思います」
腹式呼吸でリラックスする方法
【1】いすに座った状態でも、仰向けで行ってもOK。お腹に両手を置いて、口からゆっくりと息を吐く。このとき、お腹がへこむのを意識する。
【2】息を吐ききったら、今度はゆっくりと鼻から息を吸い込み、お腹を膨らませる。【1】【2】をセットにして5分以上繰り返す。
教えてくれた人
栗原毅さん/栗原クリニック東京・日本橋院長・肝臓専門医
取材・文/上村久留美 イラスト/ico
※女性セブン2022年3月3日号
https://josei7.com/
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