猫が母になつきません 第296話「はいってくる」
去年のはじめからうちに1年以上通い続けているシロ。ある日、いつものように庭から鳴いて呼ぶのではなく、私の部屋のドアから家猫みたいに入って来たのでびっくり。はじめてという感じではなかったので、家には何度も入ったことがあるのだなと思いました。母は天気がいいとすぐにあちこち窓を開け始めるのです。この日も縁側が開け放たれていました。まだかなり肌寒いし私は花粉症なので窓を開けっ放しにしないでといつも頼んではいるのですが…。部屋に入って来たシロも私と目があって一瞬「!」という顔をしましたが、私が驚いたそぶりを見せずに普段通りにシロのごはんの準備をはじめると「じゃあ、ここでいただいちゃいますね」という感じで近くに寄って来て、餌の入った器を床に置くと少し及び腰にいつもよりは警戒しながら食べ始める。シロは外で食べる時も私が見ているとなかなか食べないので、さりげなく背を向けてパソコンのほうを見ていたらいつのまにか食べ終えていなくなっていました。今年の冬は寒かった。シロもすこし痩せた気がします。さびとシロはとても仲が良い。でもさびはわびの時みたいにシロを家に入れることはしないのです。だから今もシロは通い猫。いつまたふっと姿を消してしまうかもしれない…そんな不確さもシロの魅力かもしれません。
【シロが登場する回】
第85話「せいする」
第150話「週末の恋人」
第151話「みせつける」
第237話「はるとおからじ」
第243話「でてくる」
第248話「にらむ」
第256話「さびとシロ」
第258話「まつ」
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。