猫が母になつきません 第293話「おとす」
「電気代がすごく高くなっている」という不満を母は最近よく言っていました。外出を控えるようになってずーっと家にいてエアコンを使っているのですから今までよりも電気代が高くなるのは当然です。そのことは何度も説明しましたが、母は「電線を通じてうちの電気が盗まれている」という妄想を持つようになり、ついにはうちのメインのブレーカーを落とすという行為に及んだのです。母が原因だったとわかりブレーカーをもとに戻しましたが、突然電気が遮断されたショックで家電やパソコンが壊れるのはよくあること。ちょうどパソコンを使っていたのでドキドキしながら電源を入れましたが、幸い大丈夫でした。一番大きな損害は空気清浄機でした。基盤がやられて再起不能、修理できないかとあがきましたが結局買い換えることに(泣)。デスクライトも点かなくなりましたが、こちらは切れたヒューズの交換で復活。ずっと愛用しているものなのでほっとしました。普通、停電は落雷などが原因ですが、まさかそれが故意に起こされることがあろうとは…。予測不能で忘れっぽいうちのカミナリ様のために、配電盤ボックスの扉に「ブレーカーを落としてはいけません」と大きく書いた紙を貼りました。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。