マスク生活で虫歯や歯周病が急増 コロナ時代の歯の健康ケア5つのポイント【医師監修】
この2年、“コロナ”ばかりを気にする生活が続いていますが、ほかの不調にも目を向けていますか? “患者さまの歯を100才まで残すホームドクター”として予防歯科に注力している歯科医の倉治(くらじ)ななえ先生は、「長引くマスク生活の影響でむし歯と歯周病の患者が増えている」と言います。まだまだ手放せないマスク、一体どうしたら歯の健康を守れるのか――倉治先生にアドバイスをいただきました。
マスク生活でむし歯と歯周病が急増
「コロナ禍で確実に増えたと実感しているのがむし歯と歯周病。原因は、自粛生活に伴うストレスとマスク生活により表情筋を動かさなくなったことによる唾液の減少です」(倉治さん・以下同)
【1】水+キシリトールガムで唾液の分泌量を増やす
「唾液の1日の分泌量は1~1.5L。唾液を増やすには、食事の際はひと口30回を目安によく噛むことが大切。加えて唾液の原材料となる水をこまめに補給しつつ、キシリトールガムを噛み、2分以内に口の中に唾液がたまるようにするのが望ましいです」
【2】ウィズコロナ時代の新習慣 1日1回の“舌磨き”
「マスク生活により舌のコケ(舌苔)(ぜったい)が増えた人が多いと思います。舌苔は口臭の原因になるだけでなく、コロナに感染しやすくなる酵素を含んでいることや、コロナの貯蔵庫になる可能性が指摘されています。ですから、1日1回、舌磨きをしましょう。おすすめは、指に巻き付けて使うシートタイプのケア用品。舌を拭くときは息を止めると、オエッとなりにくいですよ」
【3】歯磨きは1日3回 すすぎは10秒×1回
「コロナは口腔感染することがわかっています。体内に侵入させないためにも、ホームケアのレベルを上げましょう。特に歯磨きは、朝・昼・晩の1日3回は行うのがおすすめ。高濃度フッ素配合の歯磨き剤を約2cmつけ、フッ素を落とさないよう、すすぎは大さじ1杯程度の水で10秒×1回のみで充分。歯磨き剤の成分がコロナ感染予防にも役立つことがわかったので、たっぷりつけて磨きましょう」
【4】歯周病予防のために年に数回は歯科医院でチェックを!
「歯を失う理由として、20年前はむし歯が1位でしたが、現在最も多いのは歯周病です。歯が1本なくなると、その左右と、対になっている歯、さらにその左右の歯の計5本に影響が出ます。さらに、歯周病菌自体が脳に達することで認知症を引き起こすという研究結果もあります。特に閉経後の女性は歯周病が進行しやすいので、3か月から半年に一度、歯科医院でチェックを受けることをおすすめします」
【5】頭痛や肩こりの原因に! 急増する“TCH”にご用心
「TCHとは、『Tooth Contacting Habit』の略で、『歯列接触癖』のこと。通常、上下の歯は離れているものですが、TCHは無意識に上下の歯を接触させる悪癖。頭痛や肩こり、顎関節症などの原因になるとされ、最近増えている歯科疾患です。改善するには、舌の位置を意識すること。舌は上あごにくっついた状態が正常位置。この状態で口を閉じると、絶対に歯はくっつかないので普段から意識しましょう」
教えてくれた人
倉治ななえさん/テクノポートデンタルクリニック・院長
“患者さまの歯を100才まで残すホームドクター”として予防歯科に注力。『図解むし歯・歯周病の最新知識と予防法』(日東書院)ほか著書多数。
取材・文/佐々木めぐみ、鳥居優美
※女性セブン2022年1月20・27日号
https://josei7.com/
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